*12:29JST バルテスHD Research Memo(9):中期経営計画目標は射程内。新中計を策定中
■中長期の成長戦略
1. 事業環境
バルテス・ホールディングス<4442>を取り巻く今後の事業環境(市場の拡大等)は、以下のような点から追い風であると言える。
(1) ターゲット業界の成長性
今後、同社が狙っていく市場は当然ながら各種のソフトウェアやIT業界となるが、世界のソフトウェアテスト市場の年平均成長率(CAGR(Compound Annual Growth Rate))は9.2%と予想されており、業界そのものが高い成長を遂げる可能性が高い。
(2) テスト工程のアウトソース化が加速(ソフトウェア開発会社)
以下のような現状から、今後ソフトウェアテストは、開発企業からテスト専門企業へアウトソーシングされる可能性が高まる。
(ソフトウェア開発企業の悩み)
・コスト高な開発エンジニアの労働時間の約4割がテスト・検証に割かれる
・テスト工程は開発者のモチベーションが上がらず、非効率
・開発者自身がテスト・検証を行うのは客観性がなく信頼性に欠ける
(テスト工程がアウトソースされなかった理由)
大手SIerが案件を一括受注し、傘下の下請け・孫請けに発注。その開発エンジニアがテスト工程まで行う構造であった。
(今後はテスト工程のアウトソース化が加速)
・開発担当者によるテスト時間の短縮により、開発コストが減少 (同社の調べでは、開発担当者がテストを実施する場合の60~70%程度で対応可能)
・再現性・共有性の高いテストの方法論(各社独自のメソッド)が確立することで網羅的で高効率なテストが実現可能に
・第三者のテスト専門会社によるテスト・検証の有効性が注目される
2. 基本戦略
主に(1) 人的資本への投資、(2) エンタープライズ領域拡大、(3) 知的財産の拡大、(4) M&Aと組織強化の4つの基本戦略を実行し、投資をコントロールすることで「規模成長」と「高利益率」を両立させる計画だ。
(1) 人的資本への投資
積極的、計画的な人材採用、未経験人材の早期戦力化、キャリア人材の高スキル化、外部人材の有効活用を推進することで、成長を持続させる。
(2) エンタープライズ領域拡大
専門部署の設置、ハイレイヤーの採用、外部との協業、ナレッジ蓄積を推進することで、利益率の向上と参入障壁の構築を目指す。
(3) 知的財産の拡大
テスト・教育ノウハウの蓄積、ナレッジ蓄積、新規技術の開発、新技術企業への投資・協業を推進することで、参入障壁を構築し、新たな価値を創造する。
(4) M&Aと組織強化
既存領域のM&A、ポートフォリオの多様化、M&A組織体制の最適化、グループガバナンスの向上を推進することで、売上、企業価値、環境変化対応力の向上を図る。
3. 数値目標
定量的な目標としては、2024年3月期に売上高100億円を掲げている。しかし2023年3月期の売上高実績が90.5億円であり、記述のように2024年3月期の売上高予想が111億円となっていることから、この目標は既に射程内と言える。同社は「2024年3月期の下期には新しい中期経営計画を発表する予定だ」と述べており、次のステップに向けてどのような計画が発表されるか楽しみである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<AS>
1. 事業環境
バルテス・ホールディングス<4442>を取り巻く今後の事業環境(市場の拡大等)は、以下のような点から追い風であると言える。
(1) ターゲット業界の成長性
今後、同社が狙っていく市場は当然ながら各種のソフトウェアやIT業界となるが、世界のソフトウェアテスト市場の年平均成長率(CAGR(Compound Annual Growth Rate))は9.2%と予想されており、業界そのものが高い成長を遂げる可能性が高い。
(2) テスト工程のアウトソース化が加速(ソフトウェア開発会社)
以下のような現状から、今後ソフトウェアテストは、開発企業からテスト専門企業へアウトソーシングされる可能性が高まる。
(ソフトウェア開発企業の悩み)
・コスト高な開発エンジニアの労働時間の約4割がテスト・検証に割かれる
・テスト工程は開発者のモチベーションが上がらず、非効率
・開発者自身がテスト・検証を行うのは客観性がなく信頼性に欠ける
(テスト工程がアウトソースされなかった理由)
大手SIerが案件を一括受注し、傘下の下請け・孫請けに発注。その開発エンジニアがテスト工程まで行う構造であった。
(今後はテスト工程のアウトソース化が加速)
・開発担当者によるテスト時間の短縮により、開発コストが減少 (同社の調べでは、開発担当者がテストを実施する場合の60~70%程度で対応可能)
・再現性・共有性の高いテストの方法論(各社独自のメソッド)が確立することで網羅的で高効率なテストが実現可能に
・第三者のテスト専門会社によるテスト・検証の有効性が注目される
2. 基本戦略
主に(1) 人的資本への投資、(2) エンタープライズ領域拡大、(3) 知的財産の拡大、(4) M&Aと組織強化の4つの基本戦略を実行し、投資をコントロールすることで「規模成長」と「高利益率」を両立させる計画だ。
(1) 人的資本への投資
積極的、計画的な人材採用、未経験人材の早期戦力化、キャリア人材の高スキル化、外部人材の有効活用を推進することで、成長を持続させる。
(2) エンタープライズ領域拡大
専門部署の設置、ハイレイヤーの採用、外部との協業、ナレッジ蓄積を推進することで、利益率の向上と参入障壁の構築を目指す。
(3) 知的財産の拡大
テスト・教育ノウハウの蓄積、ナレッジ蓄積、新規技術の開発、新技術企業への投資・協業を推進することで、参入障壁を構築し、新たな価値を創造する。
(4) M&Aと組織強化
既存領域のM&A、ポートフォリオの多様化、M&A組織体制の最適化、グループガバナンスの向上を推進することで、売上、企業価値、環境変化対応力の向上を図る。
3. 数値目標
定量的な目標としては、2024年3月期に売上高100億円を掲げている。しかし2023年3月期の売上高実績が90.5億円であり、記述のように2024年3月期の売上高予想が111億円となっていることから、この目標は既に射程内と言える。同社は「2024年3月期の下期には新しい中期経営計画を発表する予定だ」と述べており、次のステップに向けてどのような計画が発表されるか楽しみである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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