*16:01JST 粧美堂 Research Memo(1):化粧品・化粧雑貨を中心とするパーソナルケア商品の総合企画メーカー
■要約
粧美堂<7819>は1948年創業で、企業理念に「笑顔を、咲かせよう。」を掲げ、世界中の多様な個人の「心と体の美と健康をサポートする」ことを使命として、化粧品・化粧雑貨を中心に、日常生活で気軽に使えるメイクアップグッズなどのパーソナルケア商品を自社ブランド及びOEMで販売する総合企画メーカーである。
1. 豊富なキャラクターライセンスや各小売業態のトップ企業との太いパイプも強み
同社は、Z世代のように低価格で手軽におしゃれを楽しみたい若年層女性をメインユーザー層として、化粧品・化粧雑貨、コンタクトレンズ関連、服飾雑貨など、自社ブランド及びOEMのパーソナルケア商品を幅広く取り扱い、全国の小売業者、卸売業者、一般消費者向け(EC通販)に販売している。マーケティングから企画・デザイン・開発・販売・物流まで、一気通貫で対応可能な総合企画メーカーであることを特徴・強みとして、「DISNEY」「HELLO KITTY」「CHIIKAWA」など、ライセンサー25社・許諾IP80以上という豊富なキャラクターライセンスを取得している。販売面では、特にディスカウントストアのドン・キホーテ、しまむら、西松屋、ドラッグストアのウエルシア、スギ薬局、均一ショップのセリア、大創産業、バラエティストアのロフト、プラザ、総合スーパーのイオンなど、各小売業態のトップ企業との太いパイプを有していることも強みである。
2. 2023年9月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
2023年9月期の連結業績は、売上高が2022年9月期比18.3%増の20,443百万円、営業利益が同36.9%増の869百万円、経常利益が同57.7%増の972百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.1%減の475百万円だった。為替の円安影響、物流費や人件費の増加などのマイナス要因があったが、アフターコロナの消費正常化の流れやメインユーザーである若年層女性の外出機会増加という事業環境に加えて、重点販売先戦略や自社企画商品戦略の推進が奏功し、全体として前回予想(2023年8月10日付で2回目の上方修正)を上回る大幅営業・経常増益で着地した。自社企画商品の売上高は同25.2%増の17,048百万円で、自社企画商品の売上構成比は同4.6ポイント上昇して83.4%となった。為替影響への対応策としては、商品採算を意識した取扱商品の選択と集中、キャラクターを含む高付加価値商品の企画・開発を推進した。なお親会社株主に帰属する当期純利益は前期に計上した固定資産売却益192百万円の剥落、及び中国事業縮小に伴う事業整理損109百万円の計上により減益だった。
3. 2024年9月期は2ケタ営業増益予想、さらに上振れの余地がある
2024年9月期の連結業績予想は、売上高が2023年9月期比2.7%増の21,000百万円、営業利益が同15.0%増の1,000百万円、経常利益が同1.8%増の990百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同51.4%増の720百万円としている。円安等によるコスト増加がマイナス要因となるが、重点販売先戦略・自社企画品拡販戦略の推進に加え、コスト上昇分の商品価格への転嫁、仕入先見直しによる原価低減なども寄与して2ケタ営業増益予想としている。前期より進めているコスト上昇分の商品価格への転嫁については、一部製品の価格改定を実施している。なお不透明感を考慮して売上高は小幅増収、経常利益は営業外での為替差益を見込まず小幅増益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期計上の事業整理損が一巡して大幅増益予想としている。弊社では、全体として会社予想は保守的な印象があり、重点カテゴリー分野の高付加価値商品を中心に更なる拡販が予想されること、為替がやや円高方向に傾く可能性があること、前期より順次進めている価格改定効果の浸透、OEMビジネスの拡大により期末の在庫処分リスクの低減が進展していることなどを勘案すれば、会社予想は上振れの余地があると考えている。
4. 一層のメーカー的ビジネスへの転換を目指す
同社は祖業である問屋的ビジネスからメーカー的ビジネスへ転換して収益力の向上を進めてきたが、2019年9月期より更なる発展のために経営基盤の改革に取り組んでいる。2019年9月期~2021年9月期は創業的再出発による改革期と位置付け、各小売業態のトップ企業との深いパイプを活かした「モノづくりのパートナー」として成長するため、重点施策として固定費の圧縮によって損益分岐点の引き下げを図るとともに、販売先と商品の「選択と集中」戦略、並びに美と健康の「ニッチ分野シェアNO.1メーカーの集合体」戦略を推進した。そして2019年9月期~2021年9月期の改革期に得られた成果をベースに、2022年9月期~2026年9月期を発展期と位置付けている。総合メーカー化の促進、経営基盤の更なる強化により、「心と体の美と健康をサポートする」総合企画メーカーとして「粧美堂」ブランドを確立する方針としている。なお株主還元の基本方針は配当性向40%を目途としており、2024年9月期の配当予想は2023年9月期比3.00円増配の20.00円としている。連続増配で予想配当性向は36.7%となる。弊社では2024年9月期の会社業績予想は上振れの余地があると考えており、業績の動向によっては配当についても増額の可能性があるだろうと考えている。
5. 改革期の成果を評価、さらに発展期の進捗状況もフォロー
同社は、改革期と位置付けた2019年9月期~2021年9月期からスタートした「選択と集中」戦略により、社員1人当たりの営業利益が飛躍的に増加(2023年9月期実績は2019年9月期比で約4.0倍に増加)するという成果を実現した。弊社ではこの点を高く評価している。また、化粧品・化粧雑貨や服飾雑貨の市場は人気・トレンドの変化が激しいうえに、為替変動リスクなどにも注意が必要となるが、同社は発展期と位置付ける2022年9月期~2026年9月期も、引き続き「モノづくりのパートナー」としてOEMビジネス拡大を含む重点販売先戦略や自社企画商品拡販戦略を推進する方針としている。ニッチ分野シェアNO.1に向けた注力カテゴリーの商品開発・プロモーションの強化により、収益力が一段と向上する可能性があり、発展期の進捗状況もフォローしていきたいと弊社では注目している。
■Key Points
・化粧品・化粧雑貨を中心にパーソナルケア商品を自社ブランド及びOEMで販売する総合企画メーカー
・豊富なキャラクターライセンスや各小売業態のトップ企業との太いパイプも強み
・2023年9月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
・2024年9月期通期は2ケタ営業増益予想、さらに上振れの余地がある
・一層のメーカー的ビジネスへの転換を目指す
・改革期の成果を評価、さらに発展期の進捗状況もフォロー
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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粧美堂<7819>は1948年創業で、企業理念に「笑顔を、咲かせよう。」を掲げ、世界中の多様な個人の「心と体の美と健康をサポートする」ことを使命として、化粧品・化粧雑貨を中心に、日常生活で気軽に使えるメイクアップグッズなどのパーソナルケア商品を自社ブランド及びOEMで販売する総合企画メーカーである。
1. 豊富なキャラクターライセンスや各小売業態のトップ企業との太いパイプも強み
同社は、Z世代のように低価格で手軽におしゃれを楽しみたい若年層女性をメインユーザー層として、化粧品・化粧雑貨、コンタクトレンズ関連、服飾雑貨など、自社ブランド及びOEMのパーソナルケア商品を幅広く取り扱い、全国の小売業者、卸売業者、一般消費者向け(EC通販)に販売している。マーケティングから企画・デザイン・開発・販売・物流まで、一気通貫で対応可能な総合企画メーカーであることを特徴・強みとして、「DISNEY」「HELLO KITTY」「CHIIKAWA」など、ライセンサー25社・許諾IP80以上という豊富なキャラクターライセンスを取得している。販売面では、特にディスカウントストアのドン・キホーテ、しまむら、西松屋、ドラッグストアのウエルシア、スギ薬局、均一ショップのセリア、大創産業、バラエティストアのロフト、プラザ、総合スーパーのイオンなど、各小売業態のトップ企業との太いパイプを有していることも強みである。
2. 2023年9月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
2023年9月期の連結業績は、売上高が2022年9月期比18.3%増の20,443百万円、営業利益が同36.9%増の869百万円、経常利益が同57.7%増の972百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.1%減の475百万円だった。為替の円安影響、物流費や人件費の増加などのマイナス要因があったが、アフターコロナの消費正常化の流れやメインユーザーである若年層女性の外出機会増加という事業環境に加えて、重点販売先戦略や自社企画商品戦略の推進が奏功し、全体として前回予想(2023年8月10日付で2回目の上方修正)を上回る大幅営業・経常増益で着地した。自社企画商品の売上高は同25.2%増の17,048百万円で、自社企画商品の売上構成比は同4.6ポイント上昇して83.4%となった。為替影響への対応策としては、商品採算を意識した取扱商品の選択と集中、キャラクターを含む高付加価値商品の企画・開発を推進した。なお親会社株主に帰属する当期純利益は前期に計上した固定資産売却益192百万円の剥落、及び中国事業縮小に伴う事業整理損109百万円の計上により減益だった。
3. 2024年9月期は2ケタ営業増益予想、さらに上振れの余地がある
2024年9月期の連結業績予想は、売上高が2023年9月期比2.7%増の21,000百万円、営業利益が同15.0%増の1,000百万円、経常利益が同1.8%増の990百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同51.4%増の720百万円としている。円安等によるコスト増加がマイナス要因となるが、重点販売先戦略・自社企画品拡販戦略の推進に加え、コスト上昇分の商品価格への転嫁、仕入先見直しによる原価低減なども寄与して2ケタ営業増益予想としている。前期より進めているコスト上昇分の商品価格への転嫁については、一部製品の価格改定を実施している。なお不透明感を考慮して売上高は小幅増収、経常利益は営業外での為替差益を見込まず小幅増益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期計上の事業整理損が一巡して大幅増益予想としている。弊社では、全体として会社予想は保守的な印象があり、重点カテゴリー分野の高付加価値商品を中心に更なる拡販が予想されること、為替がやや円高方向に傾く可能性があること、前期より順次進めている価格改定効果の浸透、OEMビジネスの拡大により期末の在庫処分リスクの低減が進展していることなどを勘案すれば、会社予想は上振れの余地があると考えている。
4. 一層のメーカー的ビジネスへの転換を目指す
同社は祖業である問屋的ビジネスからメーカー的ビジネスへ転換して収益力の向上を進めてきたが、2019年9月期より更なる発展のために経営基盤の改革に取り組んでいる。2019年9月期~2021年9月期は創業的再出発による改革期と位置付け、各小売業態のトップ企業との深いパイプを活かした「モノづくりのパートナー」として成長するため、重点施策として固定費の圧縮によって損益分岐点の引き下げを図るとともに、販売先と商品の「選択と集中」戦略、並びに美と健康の「ニッチ分野シェアNO.1メーカーの集合体」戦略を推進した。そして2019年9月期~2021年9月期の改革期に得られた成果をベースに、2022年9月期~2026年9月期を発展期と位置付けている。総合メーカー化の促進、経営基盤の更なる強化により、「心と体の美と健康をサポートする」総合企画メーカーとして「粧美堂」ブランドを確立する方針としている。なお株主還元の基本方針は配当性向40%を目途としており、2024年9月期の配当予想は2023年9月期比3.00円増配の20.00円としている。連続増配で予想配当性向は36.7%となる。弊社では2024年9月期の会社業績予想は上振れの余地があると考えており、業績の動向によっては配当についても増額の可能性があるだろうと考えている。
5. 改革期の成果を評価、さらに発展期の進捗状況もフォロー
同社は、改革期と位置付けた2019年9月期~2021年9月期からスタートした「選択と集中」戦略により、社員1人当たりの営業利益が飛躍的に増加(2023年9月期実績は2019年9月期比で約4.0倍に増加)するという成果を実現した。弊社ではこの点を高く評価している。また、化粧品・化粧雑貨や服飾雑貨の市場は人気・トレンドの変化が激しいうえに、為替変動リスクなどにも注意が必要となるが、同社は発展期と位置付ける2022年9月期~2026年9月期も、引き続き「モノづくりのパートナー」としてOEMビジネス拡大を含む重点販売先戦略や自社企画商品拡販戦略を推進する方針としている。ニッチ分野シェアNO.1に向けた注力カテゴリーの商品開発・プロモーションの強化により、収益力が一段と向上する可能性があり、発展期の進捗状況もフォローしていきたいと弊社では注目している。
■Key Points
・化粧品・化粧雑貨を中心にパーソナルケア商品を自社ブランド及びOEMで販売する総合企画メーカー
・豊富なキャラクターライセンスや各小売業態のトップ企業との太いパイプも強み
・2023年9月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
・2024年9月期通期は2ケタ営業増益予想、さらに上振れの余地がある
・一層のメーカー的ビジネスへの転換を目指す
・改革期の成果を評価、さらに発展期の進捗状況もフォロー
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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