アイル Research Memo(4):DXを支援する「CROSS-OVERシナジー」戦略が特徴(2)

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最新投稿日時:2023/10/12 13:04 - 「アイル Research Memo(4):DXを支援する「CROSS-OVERシナジー」戦略が特徴(2)」(フィスコ)

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アイル Research Memo(4):DXを支援する「CROSS-OVERシナジー」戦略が特徴(2)

配信元:フィスコ
投稿:2023/10/12 13:04
*13:04JST アイル Research Memo(4):DXを支援する「CROSS-OVERシナジー」戦略が特徴(2) ■アイル<3854>の事業概要

(5) バックヤードプラットフォーム「BACKYARD(TM)」(Web)
日々複雑化するバックヤード業務を卸・小売やECなどの業態を超えてボーダレスに支援し、業務効率化だけではなく、バックサイドから変革することにより「BX」を実現するクラウドサービス(2023年11月より提供開始)である。「CROSS MALL」の次世代サービスという位置付けで、ボーダレス化と複数チャネル化に対応する管理機能と連携機能、自動処理による効率化とデータ融合により、ネットショップの範囲だけではなく、すべての業態を含めたバックヤード業務全体の一元管理を実現する。5つの管理機能(CROSS/連携管理、ORDER/注文管理、ITEM/商品管理、STOCK/在庫管理、COMMUNICATION/接客支援)で構成され、「自動化」「見える化」「カスタム」「コミュニケーション」をテーマにした機能実装により、バックヤードチームや顧客とのコミュニケーションを促進することで「ONE by 1」※を実現する機能である。

※「ボーダレスな1つのプラットフォームでオンリーONEなショップらしさを実現する」という、「BACKYARD(TM)」が目指す新しいスタンダードとなるビジョン。


EC業態のネットショップ管理からの提供となるが、今後は小売業態の実店舗管理、卸業態の受発注管理や販売管理、接客支援の問い合わせ管理などをバージョンアップ、またはオプションサービスとして順次提供してく予定である。なお「BACKYARD(TM)」の提供開始に伴い、神田ショールーム(東京都千代田区、2023年10月オープン)にバックヤード専用拠点「BACKYARD TOKYO」を開設するほか、バックヤードで利用する環境負荷に配慮したオリジナルダンボール棚「BACKYARD BOX」の展示・販売も予定している。また、バックヤードの“らしさ”に光を当てるメディア「LOVE by BACKYARD」も公開している。

3. 「CROSS-OVERシナジー」戦略
同社は、ITの有効活用が必要な中堅・中小企業の経営力アップを支援するための商材を「リアル」と「Web」の両面から開発・提案し、顧客の企業力強化を図る「CROSS-OVERシナジー」戦略を推進している。この戦略は同社独自の提案スタイルで、業務効率化を支援するシステムソリューション事業(リアル)の基幹業務システムと、販売力強化を支援するWebソリューション事業(Web)のサービスを複合的に提案することで「オール・ワンストップ」サービスを実現し、強力なシナジー効果を生み出している。

この「CROSS-OVERシナジー」戦略によって攻めの力も守りの力も強固となり、顧客企業数は増加基調である。2023年7月期の顧客企業数は前期比3.3%増の7,307社(システムソリューション事業が同2.7%増の5,054社、Webソリューション事業が同4.5%増の2,253社)となった。また、顧客企業数の増加に伴い同社が重視しているストック型商材の売上高が大幅に伸長し、利益体質が強化されている。

4. 特徴・強み
同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略、などが挙げられる。

(1) 中堅・中小企業市場への特化
会社創業以来、中堅・中小企業市場に特化して独自サービスを提供しており、顧客企業数に占める割合は年商50億円未満の中小企業が約9割となっている。それらの取り組みが評価され、2011年には経済産業省「中小企業IT経営力大賞2011」の特別賞(商務情報政策局長賞)を受賞している。なお、「(9) パートナー戦略」の強化の成果として、大手層からの受注も増加傾向となり、全体としての受注単価上昇につながっている(詳細は後述)。

(2) 特化業種の深耕戦略
卸売業・小売業や製造業のなかでも、特に中堅・中小企業の多い業種に絞り込んだ特化業種の深耕戦略も強みである。業種特化型システム開発や業種別専門チーム体制などサービス力・営業力で負けない体制を形成し、新規顧客獲得力アップにつなげている。具体的にはアパレル・ファッション業界、食品業界、医療機器業界、ねじ・金属部品業界、鉄鋼・非鉄業界を主力5業種と位置付けて、業種特化型パッケージソフト「アラジンオフィス」シリーズなどによる市場深耕を推進している。なお2023年7月には、鉄鋼・非鉄金属業界向け販売・在庫・加工管理システム「アラジンオフィス鐵王」をバージョンアップして提供開始した。拠点や事業部などセグメント別での債権・債務管理に対応したほか、加工業務の管理レベル向上の需要に対応して加工工程計画管理などの機能も強化した。

(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ
会社創業以来、顧客の業務への理解が求められる販売・在庫管理ソフトウェアの提供を続けている。製造・卸・小売などの業態や各業種、さらには個社ごとに管理方法が異なる販売・在庫管理において、「リアル」「Web」を問わず豊富な導入事例とノウハウを有している。

(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略
複数の商品群からなる商品生態系戦略も強みである。ネットショップ構築・運営支援サービスのインターネット領域、店頭での売上管理やバックヤードの在庫管理のリアル店舗・本部領域、さらに「リアル」と「Web」の在庫やポイントを一元管理するリアル・ネット融合領域をすべてカバーし、自社製品・サービスを開発・提供している。そして様々な商品を組み合わせることで複合的な提案を可能にし、顧客へのトータルソリューションを実現している。

(5) 社員の約7割が技術職の体制
2023年7月期末時点の単体ベース社員数852人(前期末比48人増加)の構成は、技術職72%、営業18%、スタッフ10%となっている。社員の約7割が技術職の体制で、システム提供後のサポートも重視している。今後も1人3役(業界・業務ノウハウ、基幹システム、Web)をこなす人材育成と技術力強化を促進する組織構成を目指し、技術部門の人員強化を継続する。一方で、労働集約型の生産体制から脱却するための環境整備や商品開発も推進している。

(6) 個別カスタマイズ対応力
中堅・中小企業は、業種ごともしくは個別企業ごとに業務運営方法が多様なため、多様なニーズに対応するソフトウェアの個別カスタマイズ対応を基本戦略としている。ソフトウェア開発市場における近年の動向として、ソフトウェアの個別カスタマイズに対応できる企業が減少傾向となっており、受注競合が減少していることも利益率の向上につながっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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