*12:07JST ファンペップ Research Memo(7):ヒトにマッチした開発化合物の特定に成功、花粉症治療薬の開発をスタート
■主要開発パイプラインの動向
3. FPP004X(花粉症)
「FPP004X」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。従前の「FPP004」がヒトとマウスの共通の遺伝子配列をもとに作製したエピドープであったのに対して、「FPP004X」はヒトの遺伝子配列をもとに作製したエピドープとなる。このため、ヒトのIgEと結合しやすく開発の成功率が高まったと判断し、2023年6月より前臨床試験を開始した。順調に進めば2025年に第1相臨床試験を開始し、10年後の上市を目指すことになる。
花粉症の患者数は年々増加傾向にあり、国内における有病率は1998年の19.6%から2019年には42.5%まで上昇している。有病率の高さや症状の激しさ、低年齢化が進行していることなどから、政府が国の社会問題と位置付け全国でスギの伐採を進める方針を打ち出したほどだ。治療薬としては、既に抗ヒスタミン薬を中心に多くの内服薬や点鼻薬、点眼薬が販売されているが、重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア®」※が処方されている。
※主にアレルギー性喘息治療薬として販売されていたノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア®」が、抗体医薬品として初めて花粉症への適応追加の承認を2019年12月に取得した。
「FPP004X」の対象患者をどのように設定するかは今後の開発状況によって決定することになるが、同社では効果の持続期間が長いというワクチンの特長を生かし、花粉症のシーズン(飛散時期)前に投与すればシーズンを通して症状を緩和できるという、新しい治療選択肢を患者に提供することを目指している。既に製薬企業とも共同開発に関する交渉を開始しているもようで、できるだけ早期に契約締結を行い、開発コストを軽減しながら上市を目指す戦略だ。
なお、2016年2月に同社の抗体誘導ペプチドプロジェクトの研究開発支援に関する提携契約※を締結していたメディパルホールディングス<7459>(以下、メディパル)が、利益分配等の対象開発品として新たに「FPP004X」を選定したことを発表しており、同社は「FPP004X」から今後得られる契約一時金及びマイルストーン収入の一定率をメディパルに支払うことになる。
※同社が、メディパルから抗体誘導ペプチドの研究開発資金に関する契約一時金及び3年間にわたる研究開発協力金を受け取り、メディパルは本研究から創出された抗体誘導ペプチドのうち一定数の対象開発品を選定したうえで、同開発品から得られる契約一時金及び開発マイルストーン収入の一定率を受け取る契約となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. FPP004X(花粉症)
「FPP004X」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。従前の「FPP004」がヒトとマウスの共通の遺伝子配列をもとに作製したエピドープであったのに対して、「FPP004X」はヒトの遺伝子配列をもとに作製したエピドープとなる。このため、ヒトのIgEと結合しやすく開発の成功率が高まったと判断し、2023年6月より前臨床試験を開始した。順調に進めば2025年に第1相臨床試験を開始し、10年後の上市を目指すことになる。
花粉症の患者数は年々増加傾向にあり、国内における有病率は1998年の19.6%から2019年には42.5%まで上昇している。有病率の高さや症状の激しさ、低年齢化が進行していることなどから、政府が国の社会問題と位置付け全国でスギの伐採を進める方針を打ち出したほどだ。治療薬としては、既に抗ヒスタミン薬を中心に多くの内服薬や点鼻薬、点眼薬が販売されているが、重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア®」※が処方されている。
※主にアレルギー性喘息治療薬として販売されていたノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア®」が、抗体医薬品として初めて花粉症への適応追加の承認を2019年12月に取得した。
「FPP004X」の対象患者をどのように設定するかは今後の開発状況によって決定することになるが、同社では効果の持続期間が長いというワクチンの特長を生かし、花粉症のシーズン(飛散時期)前に投与すればシーズンを通して症状を緩和できるという、新しい治療選択肢を患者に提供することを目指している。既に製薬企業とも共同開発に関する交渉を開始しているもようで、できるだけ早期に契約締結を行い、開発コストを軽減しながら上市を目指す戦略だ。
なお、2016年2月に同社の抗体誘導ペプチドプロジェクトの研究開発支援に関する提携契約※を締結していたメディパルホールディングス<7459>(以下、メディパル)が、利益分配等の対象開発品として新たに「FPP004X」を選定したことを発表しており、同社は「FPP004X」から今後得られる契約一時金及びマイルストーン収入の一定率をメディパルに支払うことになる。
※同社が、メディパルから抗体誘導ペプチドの研究開発資金に関する契約一時金及び3年間にわたる研究開発協力金を受け取り、メディパルは本研究から創出された抗体誘導ペプチドのうち一定数の対象開発品を選定したうえで、同開発品から得られる契約一時金及び開発マイルストーン収入の一定率を受け取る契約となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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