明日の株式相場に向けて=上昇気流に乗る「AI」と「半導体」関連
きょう(23日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比47円安の2万7419円と反落。米国株急落を受け朝方は下値リスクに身構えたが、思いのほか底堅かった。市場では巨額の配当再投資を見込んだ先回り買いの動きなどが指摘されたが、であるにせよ前日に日経平均が大幅高に買われていたことを考えると、驚くほどの底堅さであった。
前日の米国株市場ではビッグイベントであったFOMC通過後、取引の最終盤にNYダウが大きくバランスを崩し、500ドルを超える下げとなった。下落率では1.6%に過ぎず波乱とまではいかないが、意外なタイミングで揺さぶりが入った。FOMCの0.25%利上げは概ね織り込んでいたはずで、パウエルFRB議長の記者会見もタカ派的とは言えない内容だったのだが、マーケットは依然として神経質な状況下に置かれているということを再認識させられた。イエレン財務長官が「預金保険の保護対象の拡大を検討していない」と発言したことが悪役視されているが、「現時点ではまだ」というニュアンスがあったとすれば、この発言で金融不安が再燃したとするのは乱暴な解釈といえる。マーケットは、まだ「見えない魔物に怯えている」というのが本当のところではないか。
東京市場では個別株勝負の地合いが続いているが、AI関連株の物色人気に衰えがみられない。チャットGPTを起爆剤とした今回のテーマ買いのステージで先駆して大相場を演じ、シンボルストック的な輝きを放っていたのがインフォネット<4444.T>。目先は信用規制の強化もあって、さすがに上値追い態勢にブレーキがかかった。しかし3月相場ではMVP級の上げ足を披露したことに変わりはない。今月1日の終値821円から前日(22日)のザラ場高値2054円までちょうど2.5倍化の大変貌を果たした。モメンタム相場ゆえその反動も大きくなるのは仕方のないところだが、東京市場では次のインフォネットを探す動きが活発で、それらしき銘柄候補が間欠泉のようにあちらこちらで噴き上げている。
そのなか一気に頭角を現したのがTDSE<7046.T>。ビッグデータやAI技術を活用したソリューションを提供する。AI関連の看板を掲げる銘柄はシステムや人材への先行投資などで足もとの業績が悪い銘柄も多いが、同社については収益成長トレンドが明確で、特にトップラインの伸びが顕著である。目先の高値に買いつくのは躊躇するものの、長期波動で見れば底値離脱の初動であり、押し目買いで対処して楽しみの多い銘柄といえそうだ。
また、穴株では共同ピーアール<2436.T>にも注目してみたい。独立系で企業パブリシティ活動支援やコンサルティングなどを展開するが、次世代VRシステム開発企業と連携するなどメタバースへの布石も着々。更にAI領域への挑戦にも意欲的だ。昨年5月末に連結子会社化したAI・ビッグデータを手掛けるキーウォーカーの上場計画も俎上に載っている。これ以外では、株価的に今はまだノーマーク状態ながら、クラウド型映像プラットフォームの開発・運営を行い、AI搭載の監視カメラを手掛けるセーフィー<4375.T>もチェックしておきたい。防犯分野でもAIの活躍余地は大きく広がっており、同社はその急先鋒だ。
一方、ソフト代表がAIならば、そのインフラ基盤を担うハード代表は半導体にほかならない。きょうは半導体セクターの銘柄が強さを発揮し、全体相場を支えた。東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>、ディスコ<6146.T>など大手製造装置メーカーが買い優勢の展開となったことで、市場センチメント改善に一役買った。半導体市況を取り巻く環境は、辺りを見回せばまだ暗闇には違いないが、夜明けが近い闇と考えてよい。関連株には買い場が訪れているとの見方が、市場関係者の間にも広がっている。この時間軸を意識してマークしておきたい銘柄としては、半導体向けプラズマ用高周波電源装置の専業メーカーであるアドテック プラズマ テクノロジー<6668.T>や、半導体製造用インクジェット装置で高い競争力を誇るAIメカテック<6227.T>などが面白い存在となる。また、穴株では大口径シリコンウエハーの超精密平面研削盤で高度な技術力を有する和井田製作所<6158.T>に着目。受注増勢のなか、株価的にも出番到来が待たれるタイミングにある。
あすのスケジュールでは、2月の全国消費者物価指数(CPI)、3カ月物国庫短期証券の入札など。また海外では、2月の英小売売上高、3月の仏製造業PMI速報値、3月の独製造業PMI速報値、3月のユーロ圏PMI速報値などが注目される。米国では2月の耐久財受注額、3月の製造業PMI速報値などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前日の米国株市場ではビッグイベントであったFOMC通過後、取引の最終盤にNYダウが大きくバランスを崩し、500ドルを超える下げとなった。下落率では1.6%に過ぎず波乱とまではいかないが、意外なタイミングで揺さぶりが入った。FOMCの0.25%利上げは概ね織り込んでいたはずで、パウエルFRB議長の記者会見もタカ派的とは言えない内容だったのだが、マーケットは依然として神経質な状況下に置かれているということを再認識させられた。イエレン財務長官が「預金保険の保護対象の拡大を検討していない」と発言したことが悪役視されているが、「現時点ではまだ」というニュアンスがあったとすれば、この発言で金融不安が再燃したとするのは乱暴な解釈といえる。マーケットは、まだ「見えない魔物に怯えている」というのが本当のところではないか。
東京市場では個別株勝負の地合いが続いているが、AI関連株の物色人気に衰えがみられない。チャットGPTを起爆剤とした今回のテーマ買いのステージで先駆して大相場を演じ、シンボルストック的な輝きを放っていたのがインフォネット<4444.T>。目先は信用規制の強化もあって、さすがに上値追い態勢にブレーキがかかった。しかし3月相場ではMVP級の上げ足を披露したことに変わりはない。今月1日の終値821円から前日(22日)のザラ場高値2054円までちょうど2.5倍化の大変貌を果たした。モメンタム相場ゆえその反動も大きくなるのは仕方のないところだが、東京市場では次のインフォネットを探す動きが活発で、それらしき銘柄候補が間欠泉のようにあちらこちらで噴き上げている。
そのなか一気に頭角を現したのがTDSE<7046.T>。ビッグデータやAI技術を活用したソリューションを提供する。AI関連の看板を掲げる銘柄はシステムや人材への先行投資などで足もとの業績が悪い銘柄も多いが、同社については収益成長トレンドが明確で、特にトップラインの伸びが顕著である。目先の高値に買いつくのは躊躇するものの、長期波動で見れば底値離脱の初動であり、押し目買いで対処して楽しみの多い銘柄といえそうだ。
また、穴株では共同ピーアール<2436.T>にも注目してみたい。独立系で企業パブリシティ活動支援やコンサルティングなどを展開するが、次世代VRシステム開発企業と連携するなどメタバースへの布石も着々。更にAI領域への挑戦にも意欲的だ。昨年5月末に連結子会社化したAI・ビッグデータを手掛けるキーウォーカーの上場計画も俎上に載っている。これ以外では、株価的に今はまだノーマーク状態ながら、クラウド型映像プラットフォームの開発・運営を行い、AI搭載の監視カメラを手掛けるセーフィー<4375.T>もチェックしておきたい。防犯分野でもAIの活躍余地は大きく広がっており、同社はその急先鋒だ。
一方、ソフト代表がAIならば、そのインフラ基盤を担うハード代表は半導体にほかならない。きょうは半導体セクターの銘柄が強さを発揮し、全体相場を支えた。東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>、ディスコ<6146.T>など大手製造装置メーカーが買い優勢の展開となったことで、市場センチメント改善に一役買った。半導体市況を取り巻く環境は、辺りを見回せばまだ暗闇には違いないが、夜明けが近い闇と考えてよい。関連株には買い場が訪れているとの見方が、市場関係者の間にも広がっている。この時間軸を意識してマークしておきたい銘柄としては、半導体向けプラズマ用高周波電源装置の専業メーカーであるアドテック プラズマ テクノロジー<6668.T>や、半導体製造用インクジェット装置で高い競争力を誇るAIメカテック<6227.T>などが面白い存在となる。また、穴株では大口径シリコンウエハーの超精密平面研削盤で高度な技術力を有する和井田製作所<6158.T>に着目。受注増勢のなか、株価的にも出番到来が待たれるタイミングにある。
あすのスケジュールでは、2月の全国消費者物価指数(CPI)、3カ月物国庫短期証券の入札など。また海外では、2月の英小売売上高、3月の仏製造業PMI速報値、3月の独製造業PMI速報値、3月のユーロ圏PMI速報値などが注目される。米国では2月の耐久財受注額、3月の製造業PMI速報値などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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