*15:01JST 酒井重 Research Memo(1):第3四半期は前年同期比36.0%営業増益。計画に沿って推移、特に海外向けが堅調
■要約
酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が22,125百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益が1,585百万円(同36.0%増)、経常利益が1,586百万円(同31.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,172百万円(同40.2%増)となった。国内は、国土強靭化加速化対策を背景として販売は堅調に推移したが、生産用部材の不足により減収減益となった。一方で海外は北米とアジア(特にインドネシアやベトナム)が好調で、増収増益となった。この結果、第3四半期の営業利益は同36.0%の増益となり、おおむね計画に沿った結果となった。国内は減収となったが足元の受注は堅調であり、部材等のサプライチェーン問題がなければ、売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高で30,000百万円(前期比12.8%増)、営業利益で2,020百万円(同46.0%増)、経常利益で2,050百万円(同45.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,520百万円(同6.5%増)とする、2022年11月11日に上方修正した予想を据え置いた。親会社株主に帰属する当期純利益の伸び率が低いのは、前期に発生した一過性の繰延税金資産計上(381百万円)の剥落が主因である。所在地別の売上高・利益の見通しは開示されていないが、各地域とも増収を目指す方針だ。世界的にインフラ投資が拡大するなか、世界の建設機械需要は底堅い回復基調であるものの、部材価格のさらなる上昇やサプライチェーン再編圧力の高まりに加え、ロシア・ウクライナ情勢の見通しなど不透明な要因も多いことから、通期予想は慎重な見通しとなっている。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表している。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指す。初年度である2022年3月期の売上高は計画を上回り、2023年3月期も堅調に推移しているが、現時点で方針は変わらず、数値目標も据え置いている。2023年3月期の配当については、期初は年間配当165.0円(配当性向73.6%)を予定していたが、足元の業績は堅調でありROEが6.0%を上回る見込みであることから、公約どおり配当性向50%として、年間配当を180.0円(中間80.0円、期末100.0円)に増配することを2022年11月11日に発表した。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2023年3月期第3四半期は前年同期比36.0%の営業増益を達成、通期でも前期比46.0%の営業増益を予想
・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が22,125百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益が1,585百万円(同36.0%増)、経常利益が1,586百万円(同31.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,172百万円(同40.2%増)となった。国内は、国土強靭化加速化対策を背景として販売は堅調に推移したが、生産用部材の不足により減収減益となった。一方で海外は北米とアジア(特にインドネシアやベトナム)が好調で、増収増益となった。この結果、第3四半期の営業利益は同36.0%の増益となり、おおむね計画に沿った結果となった。国内は減収となったが足元の受注は堅調であり、部材等のサプライチェーン問題がなければ、売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高で30,000百万円(前期比12.8%増)、営業利益で2,020百万円(同46.0%増)、経常利益で2,050百万円(同45.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,520百万円(同6.5%増)とする、2022年11月11日に上方修正した予想を据え置いた。親会社株主に帰属する当期純利益の伸び率が低いのは、前期に発生した一過性の繰延税金資産計上(381百万円)の剥落が主因である。所在地別の売上高・利益の見通しは開示されていないが、各地域とも増収を目指す方針だ。世界的にインフラ投資が拡大するなか、世界の建設機械需要は底堅い回復基調であるものの、部材価格のさらなる上昇やサプライチェーン再編圧力の高まりに加え、ロシア・ウクライナ情勢の見通しなど不透明な要因も多いことから、通期予想は慎重な見通しとなっている。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表している。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指す。初年度である2022年3月期の売上高は計画を上回り、2023年3月期も堅調に推移しているが、現時点で方針は変わらず、数値目標も据え置いている。2023年3月期の配当については、期初は年間配当165.0円(配当性向73.6%)を予定していたが、足元の業績は堅調でありROEが6.0%を上回る見込みであることから、公約どおり配当性向50%として、年間配当を180.0円(中間80.0円、期末100.0円)に増配することを2022年11月11日に発表した。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2023年3月期第3四半期は前年同期比36.0%の営業増益を達成、通期でも前期比46.0%の営業増益を予想
・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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