今週のポイント
米FRBが積極的な利上げを続けるとの観測から、米ドル高圧力が加わりやすい地合いです。この状況は当面続く可能性があり、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは下値を試す展開になるかもしれません。
米国など主要国の株価動向には注意が必要です。FRBの利上げ観測は、株価にとってマイナス材料になると考えられるからです。主要国株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まってクロス円(豪ドル/円やカナダドル/円など)に対して下押し圧力が加わる可能性があります。米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、日本当局の対応に注目です。米ドル売り・円買いの為替介入が実施されれば、米ドル/円の下落にクロス円も引きずられそうです。
今週(10/17- )は、18日にNZのCPI(消費者物価指数)、19日にはカナダと南アフリカのCPIが発表されます。CPIがRBNZ(NZ中銀)やBOC(カナダ中銀)、SARB(南アフリカ中銀)の利上げ観測を変化させるような結果になれば、材料になる可能性があります。
TCMB(トルコ中銀)が20日に政策会合を開きます。トルコの9月CPI(消費者物価指数)は前年比83.45%と、上昇率は前月の80.21%から加速したものの、TCMBは3会合連続の「利下げ」を決定する可能性が高そうです。TCMBの金融政策に大きな影響力を持つエルドアン大統領が9月29日に「中銀に10月の会合で利下げを行うよう助言した」と述べ、10月8日に「私が政権の座にある限り、利下げを続ける」と語ったからです。トルコリラ/円については、米ドル/円の動向にも影響を受けるものの、TCMBが20日の会合で利下げすれば上値が重くなりそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.10000NZドル~1.13000NZドル>
豪ドル/NZドルは10月14日に一時1.11483NZドルへと下落。9月9日以来、約1カ月ぶりの安値をつけました。
10月に入ってからの豪ドル/NZドル下落は、RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンスの違いが市場で意識されたためと考えられます。RBAは4日の政策会合で利上げすることを決定したものの、利上げ幅をこれまでの0.50%から0.25%へと縮小しました。一方、RBNZは5日の政策会合で0.50%利上げすることを決定し、会合では0.75%の利上げを行うことも検討されました。RBAがハト派的な利上げ、RBNZはタカ派的な利上げと言えそうです。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場ではRBAは次回11月1日の会合で0.25%利上げを行い、RBNZは次回11月23日の会合で0.50%利上げするとの見方が有力です。
NZの7-9月期CPI(消費者物価指数)が18日に発表されます。CPIが市場予想の前年比6.6%を上回る結果になれば、RBNZは次回会合でより大幅な0.75%の利上げを行うとの観測が浮上する可能性があります。0.75%の利上げ観測浮上する場合、は豪ドル/NZドルは軟調に推移しそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.36000カナダドル~1.40000カナダドル>
米ドル/カナダドルは10月13日に一時1.39746カナダドルへと上昇。20年5月以来、2年5カ月ぶりの高値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル上昇の主な要因として、米FRBが積極的な利上げを続けるとの観測から、米ドル高が全般的に進行していることが挙げられます。FRBの利上げ観測に引き続き支えられて、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。
一方で、市場ではBOC(カナダ中銀)は次回10月26日の政策会合で0.50%の利上げを行うとの観測があります。19日発表のカナダの9月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回る結果になれば、次回会合での0.75%の利上げ観測が浮上する可能性があります。その場合には、米ドル高が進んだとしても、米ドル/カナダドルは伸び悩むかもしれません。