~医薬・ヘルスケア、ファインケミカルへ事業変革が本格化~
【ポイント】
・今上期の営業利益は前年同期比52%減となり、通期の会社計画も下方修正された。要因は3つある。① CMCを担うスペラファーマの新規需要開拓が遅れ、既存分野の落ち込みをカバーできないこと、②ジェネリック薬品の製造で生産性の低下を招いたこと、③円安も含めた原料・資源・エネルギー高がコスト負担として響くことによる。
・主力の医薬品原料とジェネリック医薬品で、新たな先行投資が必要になっている。業績は来期から回復に向かうが、そのテンポは従来の計画よりも緩やかなものになろう。中長期ビジョンで目指す方向に変更はないが、具体的な実行戦略については再検討を要する。中計のローリングは来期始めに公表されよう。
・中長期ビジョンAstena 2030“Diversify for Tomorrow.”では、CMC(スペラファーマ)のプラットフォームを軸に、新たなニッチトップを目指す。2020年に買収したスペラファーマをコアに、医薬品の開発・製造(CDMO)では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開できよう。これまでのM&Aを軸とした投資額は全体で約110億円、のれんの償却を入れても営業利益の拡大余地は大きい。
・1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI(有効成分)分野の強化、2)CMC研究開発受託事業の拡大、3)パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、4)シルバー世代に強みを持つ化粧品分野の広がりなどをリード役に、今後も事業投資が活発化しよう。商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は40%以上に上昇しよう。
・今期の落ち込みが大きいので、今後の回復パターンを見直す必要がある。2024年11月期までの3ヵ年計画で売上高600億円、営業利益38億円、ROE 8.9%を目標としていたが、営業利益で25億円が順当なところであろう。それでも、ピーク利益の更新は狙える。ビジネスモデルの変革に、新規需要が乗ってくれば、回復のピッチが早まろう。まずはPBR1.0倍が実現できるような市場開拓に注目したい。
目 次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み スペラファーマ買収を機に持株会社化を推進
3.中期経営計画 新10年ビジョンで収益力の向上を目指す
4.当面の業績 先行投資が必要に
5.企業評価 画期的なビジネスモデルの変革
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2022年8月5日) |
444円 |
時価総額 | 181億円 (40.77百万株) |
PBR | 0.64倍 |
ROE | 4.0% |
PER | 16.1倍 |
配当利回り | 4.1% |
総資本 | 63871百万円 |
純資産 | 27829百万円 |
自己資本比率 | 43.5% |
BPS | 693.3円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2015.11 | 55422 | 559 | 694 | -143 | -4.3 | 6.0 |
2016.11 | 55121 | 977 | 1071 | 8 | 0.3 | 6.0 |
2017.11 | 57387 | 1571 | 1778 | 1241 | 37.9 | 7.5 |
2018.11 | 60083 | 1849 | 2000 | 1414 | 43.8 | 10.5 |
2019.11 | 61647 | 2121 | 2318 | 1533 | 47.0 | 13.0 |
2020.11 | 65341 | 2035 | 1968 | 1983 | 60.3 | 16.0 |
2021.11 | 72322 〔47418〕 |
2233 | 2420 | 1736 | 46.9 | 18.0 |
2022.11(予) | 50000 | 1000 | 1000 | 1100 | 27.6 | 18.0 |
2023.11(予) | 54000 | 1400 | 1300 | 850 | 21.2 | 18.0 |
(2022.5ベース)
(注)(予)はアナリスト予想。ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2021年7月に第三者割当新株予約権によるファンナンス、発行株式数672万株(19.9%の希薄化)を完了。2021年11月期の売上高のカッコ内は新収益認識基準の参考値。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/asutenaHD202208.pdf
(開示)日本ベル投資研究所は、事業変革に関する実態と手続きの詳細を分析するために、当社株式10000株を少数株主として中長期的に所有している。〔〔アナリストレポートの原則について(詳しくはこちら)〕
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銘柄 | 株価 | 前日比 |
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