■今後の見通し
三栄コーポレーション<8119>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.0%増の36,000百万円、営業損失が700百万円(前期から212百万円改善)、経常損失が600百万円(前期から57百万円改善)、親会社株主に帰属する当期純損失が700百万円(前期から245百万円改善)と、業績の一定の回復を予想している。
売上高に関しては、前期の期初計画と同水準の緩やかな回復予想となった。この計画には、コロナ禍で影響を受けてきた服飾雑貨、トラベル商材や理美容家電などの急激な需要回復を見込んでいない。世界的な原材料価格や物流費の上昇や急激な円安もあり、外部環境の変化による消費への影響は予断を許さない面も加味された。家具家庭用品事業セグメントでは、インテリアEC事業が伸長するものの、OEM事業で巣ごもり需要の反動減の影響により、全体として若干の減収を予想する。服飾雑貨事業セグメントでは、OEMでは苦戦が続くものの、「BIRKENSTOCK」などブランド事業では業務改革が進むことにより増収を見込む。「BIRKENSTOCK」を扱う子会社ベネクシーの店舗削減計画はほぼ完了しており、店舗当たりの売上高は上昇する局面に入っている。家電事業セグメントにおいては、アジアの拠点を活用した現地での販売強化やEC事業の強化などにより増収を予想する。
営業利益面では、上期損失が500百万円予想、下期損失が200百万円予想であり、尻上がりに回復傾向が鮮明となる。同社では、2023年3月期を抜本的な体質改善の年度と位置付け、全社的な事業のたな卸やコスト構造の見直しなどに取り組む計画だが、その成果が表れるのは早くても2023年3月期下期以降と見込んでいるためである。セグメント別で大幅に増益に貢献するのが服飾雑貨事業セグメントである。ブランド事業を展開する子会社ベネクシー及び(株)L&Sコーポレーションにおいては筋肉質な体質への改善が効果を出してきており、セグメント利益で前期比586百万円増を見込む。外部環境面では、原材料価格の高騰、物流費の上昇、急激な円安等、いずれも輸入を主体とする同社にとってはマイナスの影響がある。ただし、原価高騰に関しては、販売価格への転嫁が可能な取引もある。また円安に関しては、為替の影響を受けない取引(海外拠点で製造し海外に販売する等)や為替予約などのリスク回避策なども活用しており、その影響は一定の軽減が可能である。弊社では、内部要因に関しては、筋肉質な体質への改善が着実に進捗しており、業績へのプラスのインパクトは確実性が高いと考えている。外部要因に関しては、不透明感は高いものの、外出・旅行の自粛傾向、ロシア・ウクライナ紛争、中国でのロックダウンなどのマイナス要因の多くは既に織り込み済みであり、環境が好転すればアップサイドの影響が期待できる。例えば、国内の外出・旅行需要は2022年6月時点で回復の兆しがあり、同社が得意とするトラベル・理美容商材へ好影響があるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
三栄コーポレーション<8119>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.0%増の36,000百万円、営業損失が700百万円(前期から212百万円改善)、経常損失が600百万円(前期から57百万円改善)、親会社株主に帰属する当期純損失が700百万円(前期から245百万円改善)と、業績の一定の回復を予想している。
売上高に関しては、前期の期初計画と同水準の緩やかな回復予想となった。この計画には、コロナ禍で影響を受けてきた服飾雑貨、トラベル商材や理美容家電などの急激な需要回復を見込んでいない。世界的な原材料価格や物流費の上昇や急激な円安もあり、外部環境の変化による消費への影響は予断を許さない面も加味された。家具家庭用品事業セグメントでは、インテリアEC事業が伸長するものの、OEM事業で巣ごもり需要の反動減の影響により、全体として若干の減収を予想する。服飾雑貨事業セグメントでは、OEMでは苦戦が続くものの、「BIRKENSTOCK」などブランド事業では業務改革が進むことにより増収を見込む。「BIRKENSTOCK」を扱う子会社ベネクシーの店舗削減計画はほぼ完了しており、店舗当たりの売上高は上昇する局面に入っている。家電事業セグメントにおいては、アジアの拠点を活用した現地での販売強化やEC事業の強化などにより増収を予想する。
営業利益面では、上期損失が500百万円予想、下期損失が200百万円予想であり、尻上がりに回復傾向が鮮明となる。同社では、2023年3月期を抜本的な体質改善の年度と位置付け、全社的な事業のたな卸やコスト構造の見直しなどに取り組む計画だが、その成果が表れるのは早くても2023年3月期下期以降と見込んでいるためである。セグメント別で大幅に増益に貢献するのが服飾雑貨事業セグメントである。ブランド事業を展開する子会社ベネクシー及び(株)L&Sコーポレーションにおいては筋肉質な体質への改善が効果を出してきており、セグメント利益で前期比586百万円増を見込む。外部環境面では、原材料価格の高騰、物流費の上昇、急激な円安等、いずれも輸入を主体とする同社にとってはマイナスの影響がある。ただし、原価高騰に関しては、販売価格への転嫁が可能な取引もある。また円安に関しては、為替の影響を受けない取引(海外拠点で製造し海外に販売する等)や為替予約などのリスク回避策なども活用しており、その影響は一定の軽減が可能である。弊社では、内部要因に関しては、筋肉質な体質への改善が着実に進捗しており、業績へのプラスのインパクトは確実性が高いと考えている。外部要因に関しては、不透明感は高いものの、外出・旅行の自粛傾向、ロシア・ウクライナ紛争、中国でのロックダウンなどのマイナス要因の多くは既に織り込み済みであり、環境が好転すればアップサイドの影響が期待できる。例えば、国内の外出・旅行需要は2022年6月時点で回復の兆しがあり、同社が得意とするトラベル・理美容商材へ好影響があるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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