軸は上向きも、懸念はウクライナ情勢
昨日の米国株式相場は上昇。ダウ工業株 30 種平均は 349.44 ドル高の 34707.94、ナスダック総合指数は 269.24 ポイント高の 14191.84 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 28095 円付近での推移。したがって、本日の日経平均は堅調スタートを想定。上値を試すものと思われる。
日経平均の日足チャートでは昨日、陽線が出現。上方の窓を一部埋める動きとなった。下方の窓を拒否する形で上昇したことで、軸が上向きであることを示唆。上昇相場は継続しているとみられる。日経平均は上値を試す動きとなり、埋め残した窓を試しに行くことになるだろう。
ただ、この窓埋めによって、再び「達成感」が出るのは要注意。今度は 29000 円台になるまで窓が存在しておらず、需給要因による上昇が見込めなくなるからだ。仮に窓上限(28129.66 円)に到達することになれば、窓と株価の位置関係が逆転。短期的に下落しやすい需給となる。一時的に上値が抑えられやすくなり、投資家は戻り売り圧力の強さを意識することになるだろう。
それでもチャート上での強気形状は継続しており、投資家は自ら利食い売りを出す必要はない。むしろ上方の埋め残した窓を力強く突破すれば、それだけ軸が大きく上向きに傾いていることになる。相場の強さを測る「リトマス試験紙」みたいなものであり、「窓埋めの経緯」を観察する必要があるだろう。基本的には「上方の窓→下方の窓」という見方をし、下方の窓を埋める気配がなければ、「それだけ相場は強い」と認識する必要があるのだ。投資家は「買いスタンス」を維持しながら、相場の強弱感を見極める局面となる。
その一方で、こういった「懐疑の中のリバウンド相場」も、ロシアの対応次第では一蹴されてしまう恐れがある。皮肉にもウクライナ侵攻が NATO 結束を強める結果となり、国際社会におけるロシア包囲網が強化されている。「あとは中国」といった感じであるが、現時点で習近平氏は西側になびく様子はない。中国が西側に歩み寄れば、それこそロシアは四面楚歌。プーチン氏を追い込むことになるだろう。当然、「最終兵器」の使用も視野に入ってくる。これはマーケットにとって最大のリスク要因。今の上昇相場は「プーチンの逃げ道」を確保できることを前提に動いている。ウクライナ戦争がうまくフェード・アウトすれば、中央銀行の引き締めの遅れがバブルを醸成させることになる。投資家は「金利上昇は株価にマイナス」という誤った先入観を捨て、インフレ・ヘッジとしての株式を買う必要がありそうだ。
最新人気記事
-
今日 06:20