■業績動向
1. 2021年年12月期連結業績の概要
エラン<6099>の2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比21.4%増の31,635百万円、営業利益が同35.3%増の2,798百万円、経常利益が同31.2%増の2,818百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.8%増の1,905百万円となった。契約施設数及び利用者数が順調に増加し、修正計画(2021年11月11日付の2回目の上方修正値、売上高31,400百万円、営業利益2,700百万円、経常利益2,720百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円)を上回る大幅増収増益となり、13期連続増収増益を達成した。
2021年12月期末の契約施設数は1,814施設となり、前期末との比較で200施設(12.4%)増加した。200施設増加の内訳は新規契約が264施設、解約が64施設となった。コロナ禍に伴う営業活動自粛の影響で新規契約施設数は計画(300施設)に届かず、前期の新規契約施設数282施設に対しても減少した形だが、獲得床ベースではおおむね前期と同水準となった。CSセットの認知度向上効果などによりおおむね順調に増加している。2021年12月期末の月間利用者数は341,410人となり、前期末との比較で57,855人(20.4%)増加した。月間利用者数は契約施設数の伸び率を大幅に上回った。契約施設数の増加に加えて、既存契約施設における利用率が上昇した。コロナ禍を背景とする衛生意識の向上なども利用者数の増加につながったようだ。
売上総利益は増収効果で前期比20.0%増加した。売上総利益率は24.9%で同0.3ポイント低下した。コロナ禍に伴う物流混乱・品不足・原材料価格高騰などの影響で一部消耗品の仕入コストが上昇した。販管費は人件費増加などで同13.0%増加したが、販管費比率は16.1%で同1.2ポイント低下した。生産性向上効果などに加えて、コロナ禍による営業活動自粛で営業経費が抑制されたことも寄与した。なお営業外収益では前期に計上した消費税等免除益59百万円が剥落した。この結果、営業利益率は8.8%で同0.9ポイント上昇、経常利益率は8.9%で同0.7ポイント上昇、当期純利益率は6.0%で同0.4ポイント上昇した。
2. 重点施策の進捗状況
営業拠点・エリア展開では、2021年7月に大阪支店を第一支店と第二支店に分割、2021年11月に千葉支店を開設して、2021年12月期末のグループ営業拠点は26ヶ所(松本本社、東京オフィス、顧客対応業務の松本村井事業所を含む、名古屋第一支店・第二支店と大阪第一支店・第二支店はそれぞれカウント)となった。きめ細かい営業活動を展開し、すべての営業エリアで契約施設数が順調に増加している。なお2021年11月には鹿児島県でCSセットを導入し、全国47都道府県での導入が完了した。
新サービス・新事業展開では、クラシコと共同開発したオリジナル患者衣「lifte」の導入を2021年11月に開始した。2022年12月期は10施設以上での導入を目指す方針だ。2020年7月に開始した困りごと相談「キクミミ」サービスについては、相談件数は100件程度にとどまっているが、相談ニーズに応じてサービス領域を拡大中である。
「CSセットR」と「CSセットLC入院保証」については、標準サービスとして新規顧客開拓時の提案初期段階から組み入れを開始して普及が本格化している。2021年12月期末の契約施設数は、前期末との比較で「CSセットR」が61件増加の101件、「CSセットLC入院保証」が37件増加の83件となった。
グループ力強化に向けた展開においては、2019年4月に個人請求業務・カスタマーサポート業務を開始したエランサービスにおける他社の請求業務請負が、2021年12月期末で入院セット運営会社4社・22施設まで拡大した。また自社物流による配送の拡大については、2021年12月期末で73施設まで拡大した。
なおコロナ禍の影響で一部の新サービス・新事業の実証実験やサービス開始が遅れている。外国人旅行者向けCSセットについてはコロナ禍で外国人の入国が制限されているためサービス開始を延期している。診察券アプリについては中止を検討している。
財務の健全性が一段と高まる
3. 財務の状況
財務面で見ると、2021年12月期末の資産合計は13,947百万円で前期末比2,258百万円増加した。事業拡大に伴って現金及び預金が1,134百万円増加した。負債合計は6,464百万円で同959百万円増加した。事業拡大に伴って買掛金が710百万円増加した。純資産は7,483百万円で同1,299百万円増加した。利益剰余金が1,481百万円増加した。
ROAは22.0%で1.5ポイント上昇、ROEは27.9%で2.1ポイント上昇、自己資本比率は53.7%で0.8ポイント上昇した。無借金経営であり、財務の健全性が一段と高まっていると言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
1. 2021年年12月期連結業績の概要
エラン<6099>の2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比21.4%増の31,635百万円、営業利益が同35.3%増の2,798百万円、経常利益が同31.2%増の2,818百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.8%増の1,905百万円となった。契約施設数及び利用者数が順調に増加し、修正計画(2021年11月11日付の2回目の上方修正値、売上高31,400百万円、営業利益2,700百万円、経常利益2,720百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円)を上回る大幅増収増益となり、13期連続増収増益を達成した。
2021年12月期末の契約施設数は1,814施設となり、前期末との比較で200施設(12.4%)増加した。200施設増加の内訳は新規契約が264施設、解約が64施設となった。コロナ禍に伴う営業活動自粛の影響で新規契約施設数は計画(300施設)に届かず、前期の新規契約施設数282施設に対しても減少した形だが、獲得床ベースではおおむね前期と同水準となった。CSセットの認知度向上効果などによりおおむね順調に増加している。2021年12月期末の月間利用者数は341,410人となり、前期末との比較で57,855人(20.4%)増加した。月間利用者数は契約施設数の伸び率を大幅に上回った。契約施設数の増加に加えて、既存契約施設における利用率が上昇した。コロナ禍を背景とする衛生意識の向上なども利用者数の増加につながったようだ。
売上総利益は増収効果で前期比20.0%増加した。売上総利益率は24.9%で同0.3ポイント低下した。コロナ禍に伴う物流混乱・品不足・原材料価格高騰などの影響で一部消耗品の仕入コストが上昇した。販管費は人件費増加などで同13.0%増加したが、販管費比率は16.1%で同1.2ポイント低下した。生産性向上効果などに加えて、コロナ禍による営業活動自粛で営業経費が抑制されたことも寄与した。なお営業外収益では前期に計上した消費税等免除益59百万円が剥落した。この結果、営業利益率は8.8%で同0.9ポイント上昇、経常利益率は8.9%で同0.7ポイント上昇、当期純利益率は6.0%で同0.4ポイント上昇した。
2. 重点施策の進捗状況
営業拠点・エリア展開では、2021年7月に大阪支店を第一支店と第二支店に分割、2021年11月に千葉支店を開設して、2021年12月期末のグループ営業拠点は26ヶ所(松本本社、東京オフィス、顧客対応業務の松本村井事業所を含む、名古屋第一支店・第二支店と大阪第一支店・第二支店はそれぞれカウント)となった。きめ細かい営業活動を展開し、すべての営業エリアで契約施設数が順調に増加している。なお2021年11月には鹿児島県でCSセットを導入し、全国47都道府県での導入が完了した。
新サービス・新事業展開では、クラシコと共同開発したオリジナル患者衣「lifte」の導入を2021年11月に開始した。2022年12月期は10施設以上での導入を目指す方針だ。2020年7月に開始した困りごと相談「キクミミ」サービスについては、相談件数は100件程度にとどまっているが、相談ニーズに応じてサービス領域を拡大中である。
「CSセットR」と「CSセットLC入院保証」については、標準サービスとして新規顧客開拓時の提案初期段階から組み入れを開始して普及が本格化している。2021年12月期末の契約施設数は、前期末との比較で「CSセットR」が61件増加の101件、「CSセットLC入院保証」が37件増加の83件となった。
グループ力強化に向けた展開においては、2019年4月に個人請求業務・カスタマーサポート業務を開始したエランサービスにおける他社の請求業務請負が、2021年12月期末で入院セット運営会社4社・22施設まで拡大した。また自社物流による配送の拡大については、2021年12月期末で73施設まで拡大した。
なおコロナ禍の影響で一部の新サービス・新事業の実証実験やサービス開始が遅れている。外国人旅行者向けCSセットについてはコロナ禍で外国人の入国が制限されているためサービス開始を延期している。診察券アプリについては中止を検討している。
財務の健全性が一段と高まる
3. 財務の状況
財務面で見ると、2021年12月期末の資産合計は13,947百万円で前期末比2,258百万円増加した。事業拡大に伴って現金及び預金が1,134百万円増加した。負債合計は6,464百万円で同959百万円増加した。事業拡大に伴って買掛金が710百万円増加した。純資産は7,483百万円で同1,299百万円増加した。利益剰余金が1,481百万円増加した。
ROAは22.0%で1.5ポイント上昇、ROEは27.9%で2.1ポイント上昇、自己資本比率は53.7%で0.8ポイント上昇した。無借金経営であり、財務の健全性が一段と高まっていると言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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