■事業概要
ワコム<6727>は、デジタルペンとインクの事業領域で、技術に基づいた顧客価値の創造を目指すグローバルリーダーである。世界150以上の国と地域で製品を販売し、映画制作や工業デザインのスタジオで働くデザイナー、アニメーターなどプロのクリエイターからの支持により高いブランド力と市場シェアを誇る。また「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」として、最新のデジタルペン技術をスマートフォンやタブレット、デジタル文具などをパートナー企業に幅広く提供しており、教育産業のパートナーとともに教育に特化した事業領域の構築にも取り組んでいる。
中低価格帯での競争激化をはじめ、デジタル技術(IoTやVR/MR、AI等)や通信環境(モバイル、クラウド、5G等)の進展に伴うユーザーニーズやワークフローの進化、オンライン教育やテレワークの普及拡大など市場環境が大きく変化するなかで、製品ラインナップの再構築や事業モデルのさらなる進化により、新たな成長機会の創出にも取り組んでいる。足元では、コロナ禍による影響をプラス・マイナス両面で受けているものの、ニューノーマル(新常態)に向けた新たな需要の取り込みにより、新たな成長ステージに入ってきた。
事業セグメントは、自社ブランドで「ディスプレイ製品」や「ペンタブレット製品」等を販売する「ブランド製品事業」のほか、スマートフォンやタブレットなど完成品メーカー向けに独自のデジタルペン技術をコンポーネントとして供給する「テクノロジーソリューション事業」の2つに区分される。売上高・営業利益は、2つの事業がほぼ均衡しておりバランスのとれた事業構成となっている。
海外販売比率(「テクノロジーソリューション事業」を除く海外現地法人売上の比率)は約87%※を占めており、為替相場の変動が業績に及ぼす影響(特に、ユーロ円の変動は営業利益への影響が大きい)には注意が必要である。
※2022年3月期上期の連結業績より、米国が全体の約33%、アジア・オセアニアが約31%、欧州(ドイツ)が約23%となっている。
また開発拠点については、デジタルインクやセキュリティ関連のソフトウェア開発(欧州中心)を除くとほぼ国内に集約する一方、生産については複数の海外パートナー(多くが中国本土に生産拠点を有する日系、台湾系資本の受託生産大手企業)に委託している。ただ、サプライチェーンの地域集中リスク緩和の観点から、周辺の東南アジア地域(台湾やベトナムなど)等へ生産拠点の分散を進めており、その成果として、2022年3月期第2四半期においては一部製品に係る米国の対中追加関税措置回避による過年度分の影響を含め、約7億円相当の売上原価の改善効果を一時的に計上している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
ワコム<6727>は、デジタルペンとインクの事業領域で、技術に基づいた顧客価値の創造を目指すグローバルリーダーである。世界150以上の国と地域で製品を販売し、映画制作や工業デザインのスタジオで働くデザイナー、アニメーターなどプロのクリエイターからの支持により高いブランド力と市場シェアを誇る。また「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」として、最新のデジタルペン技術をスマートフォンやタブレット、デジタル文具などをパートナー企業に幅広く提供しており、教育産業のパートナーとともに教育に特化した事業領域の構築にも取り組んでいる。
中低価格帯での競争激化をはじめ、デジタル技術(IoTやVR/MR、AI等)や通信環境(モバイル、クラウド、5G等)の進展に伴うユーザーニーズやワークフローの進化、オンライン教育やテレワークの普及拡大など市場環境が大きく変化するなかで、製品ラインナップの再構築や事業モデルのさらなる進化により、新たな成長機会の創出にも取り組んでいる。足元では、コロナ禍による影響をプラス・マイナス両面で受けているものの、ニューノーマル(新常態)に向けた新たな需要の取り込みにより、新たな成長ステージに入ってきた。
事業セグメントは、自社ブランドで「ディスプレイ製品」や「ペンタブレット製品」等を販売する「ブランド製品事業」のほか、スマートフォンやタブレットなど完成品メーカー向けに独自のデジタルペン技術をコンポーネントとして供給する「テクノロジーソリューション事業」の2つに区分される。売上高・営業利益は、2つの事業がほぼ均衡しておりバランスのとれた事業構成となっている。
海外販売比率(「テクノロジーソリューション事業」を除く海外現地法人売上の比率)は約87%※を占めており、為替相場の変動が業績に及ぼす影響(特に、ユーロ円の変動は営業利益への影響が大きい)には注意が必要である。
※2022年3月期上期の連結業績より、米国が全体の約33%、アジア・オセアニアが約31%、欧州(ドイツ)が約23%となっている。
また開発拠点については、デジタルインクやセキュリティ関連のソフトウェア開発(欧州中心)を除くとほぼ国内に集約する一方、生産については複数の海外パートナー(多くが中国本土に生産拠点を有する日系、台湾系資本の受託生産大手企業)に委託している。ただ、サプライチェーンの地域集中リスク緩和の観点から、周辺の東南アジア地域(台湾やベトナムなど)等へ生産拠点の分散を進めており、その成果として、2022年3月期第2四半期においては一部製品に係る米国の対中追加関税措置回避による過年度分の影響を含め、約7億円相当の売上原価の改善効果を一時的に計上している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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