■会社概要
2. 事業内容
ミアヘルサ<7688>の事業セグメントは医薬、介護、保育の3つの事業セグメントとその他(食品事業)に区分して開示している。売上構成比の推移を見ると、医薬事業が全体の5割を占める主力事業となっており、介護事業、保育事業が約2割の水準で続いている。ここ数年は、保育事業の構成比が園数の拡大によって上昇している。また、利益率については各事業とも比較的安定して推移しており、2021年3月期の水準を見ると保育事業が9.1%と最も高く、次いで医薬事業が6.5%、介護事業が4.6%、その他が4.2%となっている。
(1) 医薬事業
医薬事業では、「日生薬局」「ミアヘルサ薬局」というブランド名で調剤薬局を首都圏に展開している。2021年3月期末の店舗数は40店舗(東京36店舗、神奈川3店舗、埼玉1店舗)で、出店形態としては大型総合病院前の門前薬局が全体の6割以上を占めている。面対応型や医療モール型店舗を需要が見込める都市部の駅前立地等に出店している。また、在宅医療にも注力し、その中でも高度な技術を要するHIT(在宅輸液療法)調剤サービスを展開するなど、地域に密着した「かかりつけ薬局」として地域住民の健康をトータルでサポートしている。HITとは、輸液療法による在宅薬学管理のことで、在宅療養患者に対して点滴静脈注射や鼻からのチューブを通して栄養剤や薬剤を注入する療法で、注入する輸液は薬局内に設置した無菌調剤室で調合する必要がある。高齢化社会の進展に伴い在宅療養患者数の増加によって、HIT調剤サービスの需要も拡大することが見込まれている。同社では2005年より一部の店舗で無菌調剤室を整備し、HITの需要に対応している。
医薬事業の特徴としては、大学病院等の大規模病院の門前薬局が多いため、1店舗当たりの平均売上高が218百万円(2021年3月期)と業界平均の129百万円(2019年度実績)よりも約1.7倍大きいこと、また、店舗当たりの薬剤師の数も平均4人程度(非常勤含む)と業界平均の2~3人を上回っていることにある。門前薬局が多いため、必然的に抗がん剤の副作用対応や希少疾患医薬品の取り扱いなど、高度な薬学的管理のスキルが求められるため、薬剤師の知識レベルが総じて高く、また、ミッションに基づいた教育研修により、顧客満足度の高い丁寧な接客サービスを提供できていることが強みとして挙げられる。首都圏、特に都内に店舗が集中していることから学生からの人気も高く、薬剤師の採用については非常勤含めて問題なく採用できている。
ビジネスモデルとしては、主に「健康保険法」に基づき、処方箋に基づいて調合した医薬品の調剤報酬を患者及び保険機関から受領する格好となり、医薬事業の売上の9割以上を調剤報酬で占めている。調剤報酬は薬剤料と調剤技術料、薬学管理料で構成されており、調剤技術料は薬剤師の調剤作業に対して、また、薬学管理料は薬剤師の服薬指導や薬のデータ管理に対して厚生労働省が定める「調剤報酬点数表」を基に加算される料金となる。従来、これらは2年ごとに厚生労働省が見直しを行ってきたが、薬剤料に関しては2021年度より毎年見直しを行うことになった。
薬剤料は、医薬品そのものの料金のことで医薬品の価格は国が薬価基準により定めており、薬剤の内容や処方期間によって処方箋ごとに変動する。医薬品は医薬品卸会社から仕入れており、仕入価格については卸会社との交渉で決まるため、薬価と仕入価格の差(薬価差益)が売上総利益となる。調剤技術料は調剤基本料(特定医療機関への集中率等)があり、その中には地域支援体制加算(在宅患者向け業務実績、薬局の開局時間等)、後発医薬品調剤体制加算(後発医薬品の使用率)などそれぞれ算定項目ごとに基準と点数が決められている。調剤薬局は調剤技術料を引き上げるために、こうした算定項目への取り組みを推進していくことになる。また、薬学管理料についても同様で、薬剤服用歴管理指導料(お薬手帳の有無、オンライン服薬指導体制等)やかかりつけ薬剤指導料(かかりつけ薬剤師としての実績等)、在宅患者訪問薬剤管理指導料等、様々な算定基準に合わせて点数取得の強化を行っている。
この調剤報酬点数の算出は、厚生労働省が目指す方向に対して、各薬局の取り組み状況によって変動する部分となり、収益力に直結する部分でもある。薬価改定と調剤報酬改定は、国民医療費が年々増大するなかで、国民医療費の抑制と適正化を図ることが目的のため、改正年度については薬価の引き下げと、調剤技術料等の低下によって調剤薬局の収益は悪化する傾向にあるが、同社は、新規開発と改定方針に基づく加算等の改定内容に早期に対応することで収益回復を図っている。
(2) 介護事業
介護事業では、主に介護保険法に基づき、訪問介護・看護等の訪問系サービスやデイサービス等の通所系サービス、サービス付き高齢者向け住宅や認知症対応型グループホーム等の施設系サービスと幅広い介護サービスを東京都、埼玉県、千葉県で展開している。2021年3月期末のサービス拠点は61拠点(東京都31拠点、埼玉県21拠点、千葉県9拠点)となる。
同社の介護事業の特徴としては、サービス付き高齢者向け住宅等の施設系サービスを拠点として、同一建物内に通所系サービスや訪問系サービスなど他のサービス拠点も設置する複合型施設としてドミナント展開していることが挙げられる。また、国土交通省の高齢者等居住安定化モデルに「日生オアシス和光」が選定されたほか、UR都市機構の「団地再生モデル」の協業として「日生ケアヴィレッジひばりが丘」を開設するなど、「地域包括ケアシステム」の取り組みについても積極的に展開していることが特徴となっている。
売上高の内訳としては、通所系、訪問系を合わせた在宅系サービスで全体の7割弱となり、施設系サービスで約3割、残りを地域包括支援センター等の行政委託サービスやその他のサービスで占めている。ビジネスモデルとしては、「介護保険法」が適用されるサービスについては、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいてサービス提供し、その対価の一部を利用者から、残りを国民健康保険団体連合会から受領する格好となる。また、介護保険が適用されないサービス(サービス付き高齢者向け住宅の賃料、食事代、生活支援サービス費等)については、利用者から直接対価を受領している。介護保険についても3年ごとに実情にあわせて改正が行われており、前回の2018年度の改正では、自己負担割合が引き上げられたほか、地域ごとにばらつきのあった福祉用具のレンタル価格について全国平均を基準にした上限価格が決められた。2021年度においては、コロナ禍で介護事業者にとって厳しい経営環境が続くなかで、介護報酬の改定率は+0.70%と若干のプラス改定となっている。
主な改正ポイントとしては、高額所得者のサービス利用について一部、自己負担額が増加したほか、看取りへの対応の充実を図るため、有料老人ホーム等の特定施設で夜勤または宿直の看護職員を配置している場合において、看取り介護加算が新たに追加されたほか、訪問介護での看取り期に利用者にサービスを提供する場合においても、所要時間の算定が弾力化され、所定単位数が取得しやすくなった。同社においても今後、看取りに関するサービスの需要が拡大することを見越して、2020年8月よりサービス付き高齢者向け住宅「日生オアシス東新小岩」内に在宅ホスピス専用フロアを開設し、24時間対応の訪問看護ステーションを設置した。その他介護サービスや調剤薬局との連携を図ることで、最期まで住み慣れた地域で暮らせる環境づくりを構築しており、今後はホスピス専用施設の開発にも取り組んでいく計画となっている。
なお、同社は1999年に介護事業を開始して以降、「日生介護」の事業ブランドでサービスを展開してきたが、2021年6月より「ミアヘルサ ケア」に名称を変更している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業内容
ミアヘルサ<7688>の事業セグメントは医薬、介護、保育の3つの事業セグメントとその他(食品事業)に区分して開示している。売上構成比の推移を見ると、医薬事業が全体の5割を占める主力事業となっており、介護事業、保育事業が約2割の水準で続いている。ここ数年は、保育事業の構成比が園数の拡大によって上昇している。また、利益率については各事業とも比較的安定して推移しており、2021年3月期の水準を見ると保育事業が9.1%と最も高く、次いで医薬事業が6.5%、介護事業が4.6%、その他が4.2%となっている。
(1) 医薬事業
医薬事業では、「日生薬局」「ミアヘルサ薬局」というブランド名で調剤薬局を首都圏に展開している。2021年3月期末の店舗数は40店舗(東京36店舗、神奈川3店舗、埼玉1店舗)で、出店形態としては大型総合病院前の門前薬局が全体の6割以上を占めている。面対応型や医療モール型店舗を需要が見込める都市部の駅前立地等に出店している。また、在宅医療にも注力し、その中でも高度な技術を要するHIT(在宅輸液療法)調剤サービスを展開するなど、地域に密着した「かかりつけ薬局」として地域住民の健康をトータルでサポートしている。HITとは、輸液療法による在宅薬学管理のことで、在宅療養患者に対して点滴静脈注射や鼻からのチューブを通して栄養剤や薬剤を注入する療法で、注入する輸液は薬局内に設置した無菌調剤室で調合する必要がある。高齢化社会の進展に伴い在宅療養患者数の増加によって、HIT調剤サービスの需要も拡大することが見込まれている。同社では2005年より一部の店舗で無菌調剤室を整備し、HITの需要に対応している。
医薬事業の特徴としては、大学病院等の大規模病院の門前薬局が多いため、1店舗当たりの平均売上高が218百万円(2021年3月期)と業界平均の129百万円(2019年度実績)よりも約1.7倍大きいこと、また、店舗当たりの薬剤師の数も平均4人程度(非常勤含む)と業界平均の2~3人を上回っていることにある。門前薬局が多いため、必然的に抗がん剤の副作用対応や希少疾患医薬品の取り扱いなど、高度な薬学的管理のスキルが求められるため、薬剤師の知識レベルが総じて高く、また、ミッションに基づいた教育研修により、顧客満足度の高い丁寧な接客サービスを提供できていることが強みとして挙げられる。首都圏、特に都内に店舗が集中していることから学生からの人気も高く、薬剤師の採用については非常勤含めて問題なく採用できている。
ビジネスモデルとしては、主に「健康保険法」に基づき、処方箋に基づいて調合した医薬品の調剤報酬を患者及び保険機関から受領する格好となり、医薬事業の売上の9割以上を調剤報酬で占めている。調剤報酬は薬剤料と調剤技術料、薬学管理料で構成されており、調剤技術料は薬剤師の調剤作業に対して、また、薬学管理料は薬剤師の服薬指導や薬のデータ管理に対して厚生労働省が定める「調剤報酬点数表」を基に加算される料金となる。従来、これらは2年ごとに厚生労働省が見直しを行ってきたが、薬剤料に関しては2021年度より毎年見直しを行うことになった。
薬剤料は、医薬品そのものの料金のことで医薬品の価格は国が薬価基準により定めており、薬剤の内容や処方期間によって処方箋ごとに変動する。医薬品は医薬品卸会社から仕入れており、仕入価格については卸会社との交渉で決まるため、薬価と仕入価格の差(薬価差益)が売上総利益となる。調剤技術料は調剤基本料(特定医療機関への集中率等)があり、その中には地域支援体制加算(在宅患者向け業務実績、薬局の開局時間等)、後発医薬品調剤体制加算(後発医薬品の使用率)などそれぞれ算定項目ごとに基準と点数が決められている。調剤薬局は調剤技術料を引き上げるために、こうした算定項目への取り組みを推進していくことになる。また、薬学管理料についても同様で、薬剤服用歴管理指導料(お薬手帳の有無、オンライン服薬指導体制等)やかかりつけ薬剤指導料(かかりつけ薬剤師としての実績等)、在宅患者訪問薬剤管理指導料等、様々な算定基準に合わせて点数取得の強化を行っている。
この調剤報酬点数の算出は、厚生労働省が目指す方向に対して、各薬局の取り組み状況によって変動する部分となり、収益力に直結する部分でもある。薬価改定と調剤報酬改定は、国民医療費が年々増大するなかで、国民医療費の抑制と適正化を図ることが目的のため、改正年度については薬価の引き下げと、調剤技術料等の低下によって調剤薬局の収益は悪化する傾向にあるが、同社は、新規開発と改定方針に基づく加算等の改定内容に早期に対応することで収益回復を図っている。
(2) 介護事業
介護事業では、主に介護保険法に基づき、訪問介護・看護等の訪問系サービスやデイサービス等の通所系サービス、サービス付き高齢者向け住宅や認知症対応型グループホーム等の施設系サービスと幅広い介護サービスを東京都、埼玉県、千葉県で展開している。2021年3月期末のサービス拠点は61拠点(東京都31拠点、埼玉県21拠点、千葉県9拠点)となる。
同社の介護事業の特徴としては、サービス付き高齢者向け住宅等の施設系サービスを拠点として、同一建物内に通所系サービスや訪問系サービスなど他のサービス拠点も設置する複合型施設としてドミナント展開していることが挙げられる。また、国土交通省の高齢者等居住安定化モデルに「日生オアシス和光」が選定されたほか、UR都市機構の「団地再生モデル」の協業として「日生ケアヴィレッジひばりが丘」を開設するなど、「地域包括ケアシステム」の取り組みについても積極的に展開していることが特徴となっている。
売上高の内訳としては、通所系、訪問系を合わせた在宅系サービスで全体の7割弱となり、施設系サービスで約3割、残りを地域包括支援センター等の行政委託サービスやその他のサービスで占めている。ビジネスモデルとしては、「介護保険法」が適用されるサービスについては、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいてサービス提供し、その対価の一部を利用者から、残りを国民健康保険団体連合会から受領する格好となる。また、介護保険が適用されないサービス(サービス付き高齢者向け住宅の賃料、食事代、生活支援サービス費等)については、利用者から直接対価を受領している。介護保険についても3年ごとに実情にあわせて改正が行われており、前回の2018年度の改正では、自己負担割合が引き上げられたほか、地域ごとにばらつきのあった福祉用具のレンタル価格について全国平均を基準にした上限価格が決められた。2021年度においては、コロナ禍で介護事業者にとって厳しい経営環境が続くなかで、介護報酬の改定率は+0.70%と若干のプラス改定となっている。
主な改正ポイントとしては、高額所得者のサービス利用について一部、自己負担額が増加したほか、看取りへの対応の充実を図るため、有料老人ホーム等の特定施設で夜勤または宿直の看護職員を配置している場合において、看取り介護加算が新たに追加されたほか、訪問介護での看取り期に利用者にサービスを提供する場合においても、所要時間の算定が弾力化され、所定単位数が取得しやすくなった。同社においても今後、看取りに関するサービスの需要が拡大することを見越して、2020年8月よりサービス付き高齢者向け住宅「日生オアシス東新小岩」内に在宅ホスピス専用フロアを開設し、24時間対応の訪問看護ステーションを設置した。その他介護サービスや調剤薬局との連携を図ることで、最期まで住み慣れた地域で暮らせる環境づくりを構築しており、今後はホスピス専用施設の開発にも取り組んでいく計画となっている。
なお、同社は1999年に介護事業を開始して以降、「日生介護」の事業ブランドでサービスを展開してきたが、2021年6月より「ミアヘルサ ケア」に名称を変更している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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