■強み
1. 金融向けに強固な顧客基盤
TDCソフト<4687>は、金融・法人の部門では顧客との付き合いが長い。同社の基本姿勢として、顧客のビジネスを、どこまでも深く理解し、あるべき姿をともに考え、プロジェクトを成功に導く新しいアイデアを出す、というスタンスで臨んでいる。これにより顧客の信頼を得て、関係が長くなるため、顧客の業務にも精通する。仕事によっては同社がサブ・コントラクタ(2次請け)として受注する場合もあるが、その際も開発の中で徐々にプロジェクトの中核を担う存在となり、顧客の信頼も厚くなることから替えの効かない存在となることも多い。結果として事業規模は拡大しており、現在では年間で250社に対し、650のプロジェクトが稼働しており、そこからさらにノウハウ・信頼が蓄積していくといった好循環を作り出すことに成功している。
2. アジャイル開発における米国Scaled Agile, inc.とのパートナーシップ
同社は情報サービス産業の黎明期よりシステム開発事業を行っており、現在では業務アプリケーションからITインフラ・ネットワーク基盤構築やクラウドサービス等も手掛けており、着実に成長してきた。また社内認定制度で認められたトップスキル技術者や、高度情報処理技術者など、技術力の高い社員を擁している。昨今では顧客のビジネス環境変化に合わせ柔軟かつ迅速なシステム開発を行うために、アジャイル開発技術者の育成に注力し、技術動向を捉えて最新の技術を常に追い求め、ビジネスに活用することを強みとしている。同社のアジャイルの取り組みは、顧客のビジネススピードを加速させるためのサービスを提供する。「アジャイル」と言うとソフトウェア開発だけにフォーカスが当たりがちだが、DXの推進や、ビジネススピードを加速させるためには、組織のマインド・仕組みを戦略・企画立案段階から変えていくことが大事な要素として考えている。アジャイル型へ組織・プロセスを変えていくために、大規模アジャイル開発フレームワークである「SAFe®(Scaled Agile Framework®:スケールド・アジャイル・フレームワーク)」を提供する米国Scaled Agile, inc.とパートナーシップを組み、顧客の組織・プロセスをアジャイル型に変革していくためのコンサルティングサービスである「アジャイル型 組織/プロセス変革サービス」及び顧客とともに企画・検討から実装・運用までトータルサポートする「アジャイル開発支援サービス」等を提供する。
ウォーターフォール型では、企画→要件定義→設計→開発→テスト→リリース運用といった流れとなり、結果確認まで時間がかかるほか、外れた時の投資の無駄が大きく、後戻りしにくい(捨てにくい)ことがネックとなり、企画段階と運用段階でニーズが変わっていることが多い。DX化の流れが加速するなかにおいてIT技術は日々進歩していることから、新たな対応が後手に回りやすいと同社では考えている。一方、アジャイル型では同じ時間軸で、企画→実装→結果確認→振返り→企画→実装→結果確認→振返り→企画→実装→結果確認といった形で進められるため、結果確認までの時間が短いほか、外れた時の投資の無駄が少ない。さらに後戻りしやすい(捨てることが可能)ため、アジャイル型サービスの需要は高まりやすいだろう。
3. プロジェクトマネジメント総合力
目まぐるしく変わり不透明感の増す現代において、ITプロジェクトの重要性やリスクは高まりつつある。そのようななかで、同社はプロジェクトマネジメント力が重要だと考えている。システム開発において収益力が低下する要因の多くは、開発プロジェクトの収益性の低下であるが、同社はプロジェクトの収益性低下を個人の力と組織の力の両面からカバーしている。個人レベルではPMP※を技術社員の半数以上に取得させることや、ナレッジの共有などにより対処している。組織レベルでは、事業部門がCMMI成熟度Level4の認定を受けており、定量的な品質管理や、会社でのチェック制度、フォロー体制などが整備されている。同社はこれらを「個人のPM力」と「組織のPM力」を掛け合わせた「PM総合力」と定義し、再現性の高いシステム開発の源となっている。
※PMP:Project Management Professionalの略。プロジェクトマネジメントに関する国際資格。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<NB>
1. 金融向けに強固な顧客基盤
TDCソフト<4687>は、金融・法人の部門では顧客との付き合いが長い。同社の基本姿勢として、顧客のビジネスを、どこまでも深く理解し、あるべき姿をともに考え、プロジェクトを成功に導く新しいアイデアを出す、というスタンスで臨んでいる。これにより顧客の信頼を得て、関係が長くなるため、顧客の業務にも精通する。仕事によっては同社がサブ・コントラクタ(2次請け)として受注する場合もあるが、その際も開発の中で徐々にプロジェクトの中核を担う存在となり、顧客の信頼も厚くなることから替えの効かない存在となることも多い。結果として事業規模は拡大しており、現在では年間で250社に対し、650のプロジェクトが稼働しており、そこからさらにノウハウ・信頼が蓄積していくといった好循環を作り出すことに成功している。
2. アジャイル開発における米国Scaled Agile, inc.とのパートナーシップ
同社は情報サービス産業の黎明期よりシステム開発事業を行っており、現在では業務アプリケーションからITインフラ・ネットワーク基盤構築やクラウドサービス等も手掛けており、着実に成長してきた。また社内認定制度で認められたトップスキル技術者や、高度情報処理技術者など、技術力の高い社員を擁している。昨今では顧客のビジネス環境変化に合わせ柔軟かつ迅速なシステム開発を行うために、アジャイル開発技術者の育成に注力し、技術動向を捉えて最新の技術を常に追い求め、ビジネスに活用することを強みとしている。同社のアジャイルの取り組みは、顧客のビジネススピードを加速させるためのサービスを提供する。「アジャイル」と言うとソフトウェア開発だけにフォーカスが当たりがちだが、DXの推進や、ビジネススピードを加速させるためには、組織のマインド・仕組みを戦略・企画立案段階から変えていくことが大事な要素として考えている。アジャイル型へ組織・プロセスを変えていくために、大規模アジャイル開発フレームワークである「SAFe®(Scaled Agile Framework®:スケールド・アジャイル・フレームワーク)」を提供する米国Scaled Agile, inc.とパートナーシップを組み、顧客の組織・プロセスをアジャイル型に変革していくためのコンサルティングサービスである「アジャイル型 組織/プロセス変革サービス」及び顧客とともに企画・検討から実装・運用までトータルサポートする「アジャイル開発支援サービス」等を提供する。
ウォーターフォール型では、企画→要件定義→設計→開発→テスト→リリース運用といった流れとなり、結果確認まで時間がかかるほか、外れた時の投資の無駄が大きく、後戻りしにくい(捨てにくい)ことがネックとなり、企画段階と運用段階でニーズが変わっていることが多い。DX化の流れが加速するなかにおいてIT技術は日々進歩していることから、新たな対応が後手に回りやすいと同社では考えている。一方、アジャイル型では同じ時間軸で、企画→実装→結果確認→振返り→企画→実装→結果確認→振返り→企画→実装→結果確認といった形で進められるため、結果確認までの時間が短いほか、外れた時の投資の無駄が少ない。さらに後戻りしやすい(捨てることが可能)ため、アジャイル型サービスの需要は高まりやすいだろう。
3. プロジェクトマネジメント総合力
目まぐるしく変わり不透明感の増す現代において、ITプロジェクトの重要性やリスクは高まりつつある。そのようななかで、同社はプロジェクトマネジメント力が重要だと考えている。システム開発において収益力が低下する要因の多くは、開発プロジェクトの収益性の低下であるが、同社はプロジェクトの収益性低下を個人の力と組織の力の両面からカバーしている。個人レベルではPMP※を技術社員の半数以上に取得させることや、ナレッジの共有などにより対処している。組織レベルでは、事業部門がCMMI成熟度Level4の認定を受けており、定量的な品質管理や、会社でのチェック制度、フォロー体制などが整備されている。同社はこれらを「個人のPM力」と「組織のPM力」を掛け合わせた「PM総合力」と定義し、再現性の高いシステム開発の源となっている。
※PMP:Project Management Professionalの略。プロジェクトマネジメントに関する国際資格。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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