テノックス Research Memo(7):中期経営計画の目標達成は難しい可能性も

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最新投稿日時:2020/07/06 15:27 - 「テノックス Research Memo(7):中期経営計画の目標達成は難しい可能性も」(フィスコ)

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テノックス Research Memo(7):中期経営計画の目標達成は難しい可能性も

配信元:フィスコ
投稿:2020/07/06 15:27
■中期経営計画

1. 経営環境への取り組みと新型コロナウイルスの影響
テノックス<1905>は、東京オリンピック・パラリンピック後、受注環境の変化や米中貿易摩擦など世界情勢の影響などを懸念している。中長期的には、鉄道関連や2025年大阪・関西万博、都市再生など大型プロジェクトが見込まれる。しかし、少子高齢化など社会構造の変化から建設需要の減少が想定され、基礎工事業界においても競合と淘汰が進むと予想している。したがって、持続的な成長を果たし企業価値を高めていく必要があり、そのためには既存の事業で顧客からの高い信頼を得るとともに、市場ニーズの変化にいち早く対応することが必要と考えている。このため、基礎工事など基盤事業で新技術や新サービスを創出するほか、新規事業や海外などを成長事業として取り込んでいく方針である。

こうした経営環境への認識をベースに、同社は中期経営計画「To The Next Future 2018-2020」を策定し、創立50周年の2021年3月期に、売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%以上を目指していた。さらに、同社スローガンである「テノックスブランドの向上と新たなステージに向けて」を実現しつつ、2022年3月期以降の更なる収益拡大につなげる意向であった。ところが、中期経営計画最終年度を1年前にして、新型コロナウイルスの猛威が世界を襲い、東京オリンピック・パラリンピックは延期になり、リーマンショック以上の影響があるかもしれないという状況となった。このため、同社は2021年3月期業績見通しを未定としたが、中期経営計画の目標値の達成は少し難しくなったかもしれない。


2年目だが中期経営計画の成果は十分
2. 5つのテーマと2年間の成果
このように、新型コロナウイルスが中期経営計画の最終年度に影響を与えてはいるものの、2020年3月期までの2年間に実施してきた施策の成果は十分にあったということができる。同社は、「テノックスブランドの向上と新たなステージに向けて」進化していくため、1)市場や顧客から求められる安全・品質面での信頼性の確保、2)新技術や新サービスの創出による新たなイノベーション、3)生産性の向上、4)受注力の強化、5)将来の中核セグメントとしての海外事業の橋頭堡づくり——といった5つの課題をテーマとした。その課題解消へ向けたテーマ別の施策と2年間の成果は、次のとおりである。

1)については、現場力の強化、施工リスクの早期発見・早期対応、開発中の新施工管理装置への投資を重点施策とした。具体的には、施工マニュアルの改訂、独自の資格制度の再構築及び講習会・管理士試験の実施、現場と関係部署を映像で結ぶシステムの導入、施工状況をリアルタイムで可視化(見える化)する施工管理装置「VCCS」の運用などである。例えば現在、全国40台のVCCSが稼働しているが、2020年3月期には利益率の向上につながったと考えられている。

2)に関しては、ICT技術を取り入れた施工管理システムの実用化、施工品質のリアルタイム確認、外部との交流による技術開発などの施策を講じる一方、M&Aや研究開発など将来を見据えた積極投資も実施する予定だった。現状、次世代型新施工管理装置の開発、ICT技術による本社と現場を結ぶ施工データの共有化、大学・研究機関との共同研究、M&Aに関する情報収集などを進めているところである。なかでも、大地震による液状化に対するテノコラム工法の効果に関する東大との検証や、新材料を活用した同社工法の改良に関する大手素材メーカーとの共同研究が進捗している。今後は環境に配慮した新工法の開発を実現する意向である。また、2年以内にVCCSをテノコラム工法以外に適用し、将来的には新基幹システムと連携して施工情報をビッグデータ化し、地域性や施工の特殊性から工程管理の最適解を導き出すデータサイエンスの分野も開拓する意向である。

3)では、「働き方改革」の支援体制の整備や業務効率化システムの構築を進めており、現場作業者の連休取得の励行、タブレットなどを利用した業務フローの見直し、顧客情報共有化のための名刺管理システムの導入などの実績を積み重ねていく考えだった。現状は、現場作業者の連休取得励行を元請の理解を得ながら徐々に進め、新基幹システムが遠からず導入される予定となった。

4)は、技術営業力の向上による既存市場での受注量の確保や、物流倉庫・土木物件をターゲットにした営業強化を進めてきた。同社のガンテツパイル工法が北陸新幹線の基礎工事に採用されるという実績ができたことから、「技術提案検討チーム」を結成し、建設コンサルタントや物流施設業者、再生エネルギー業者への営業強化を進めているところである。

5)に関しては、保有技術の海外展開と現地企業とのコラボ、子会社TENOX ASIAのASEAN展開、海外要員と現地スタッフの人材育成を図った。現状は、ベトナムでテノコラム工法の技術認証を取得、ホーチミンに加えハノイにも事業所を設置、自社施工機を2台導入し実働する段階となった。また、現地スタッフの日本研修及び日本語資格取得の奨励などを進めているところである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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