USENNEX Research Memo（10）：中期的に充実が期待される株主還元

■株主還元策

1. 配当政策
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は、株主に対する利益還元を経営の重要政策の1つに位置付けており、長期にわたる安定的配当の継続を基本方針としている。2019年8月期の期末配当については1株当たりの配当金を5円と、4期ぶりに復配した。2020年8月期の年間配当については、1株当たり8円とすることを予定しており、中期経営計画「NEXT for 2024」においては10%～30%を配当性向の目線として配当していく方針としている。配当性向が30%と言うと、ずいぶん大きく引き上げるイメージがあってキャッシュ・フローが心配されるが、同社の場合、中期成長イメージで見たように、投資と配当の原資となる償却前利益が大きいため、一定の成長投資を続けながら株主還元を厚くしていくことは可能と言える。


大幅に拡充された株主優待制度
2. 株主優待制度
同社は、同社株式の投資魅力を一層高め、株主に中長期的に保有してもらうことを目的として2019年11月21日と12月18日に、矢継ぎ早に2つの株主優待制度の拡充策をリリースした。

第1弾の株主優待拡充策はこれまでの優待制度に、新たに1,000株以上の優待区分を追加したものとなっている。100株以上1,000株未満を保有する株主には従来どおり動画配信サービス「U-NEXT」の90日間分の利用料と1,000円分のポイントを贈呈（加入済みの株主にはポイントのみ贈呈）し、1,000株以上を保有する株主には1年分の利用料と毎月1,800円分のポイントを贈呈する。

第2弾では、毎年2月末時点で500株以上を保有する株主を対象に、保有する株式数に応じて株主優待ポイントを贈呈し、新設した「USEN-NEXT HOLDINGSプレミアム優待倶楽部」株主限定特設サイトにて、食品や電化製品、ギフト、旅行・体験など2,000点以上の商品に交換することができる。株主優待ポイントは保有株式数によって細かく設定されており、1年以上株式を保有するとポイントは初年度の1.1倍になる。また、「WILLsCoin」に交換することで「プレミアム優待倶楽部」を導入した他社の株主優待ポイントとの合算や有効期限の延長をすることもできる。

同社の株主優待制度第1弾は2019年8月末日現在の株主名簿に登録された株主より、第2弾2020年2月末日現在の株主名簿に登録された株主より適用されるが、両者は併用することができる。第1弾、第2弾ともに多く長く持つほど株主に手厚い制度となっている。仮に1,000株を長期で保有する株主にとっては、第1弾で「U-NEXT」の月額利用料1,990円、別途毎月の贈呈分1,800円に加え、第2弾で27,500ポイント（初年度の1.1倍：1ポイント＝1円）が贈呈されることになる。

2020年3月16日に東京証券取引所1部上場維持を目的に宇野社長が持株を売り出したが、同社の新たな株主優待制度が個人投資家を中心に人気となり、株主数が5,000人から15,000人へと大きく増える原動力になったと思われる。

（執筆：フィスコ客員アナリスト　宮田仁光）


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