欧州の金融危機が注目される
この戻りの意味合いは、米国金融政策への評価だ。3月17日以降発表されたFRBなどの政策により、「米国では最低限、金融崩壊のリスクが遠ざかった」という評価がされたのだ、と言える。中国の状況も、徐々に落ち着きを取り戻しつつあり、一旦は最悪の事態は去ったように思われる。しかし一方で、欧州の金融危機はまだ存在しており、今後はそちらに注目が移るだろう。
今後の株式市場の展開については、感染拡大の状況や各国の政策によるが、日経平均はまず18000円までの調整が入り、その後、さらに下の水準で二番底を改めてつける想定を基本としておきたい。ブラックマンデー、リーマンショックいずれのときも2番底を形成しており、ブラックマンデー時は最初の底値からほぼ40日、リーマンショックの際には約90日後に2番底を付けている。
この2回の事例から日経平均の動きを想定するなら、NY市場が3連休に入る前、4月9日にかけて17000円~18000円のゾーンまで下がり、その後一旦は5月連休前後に19000円へ反発、その後6月~7月にかけては2番底の17000円近辺への急落が待っている、という想定がされる。相場が本格的な反発に入るのは、それからだろう。検討すべきことは、2番底が前回安値の16500円近辺で留まるか否かであり、その議論はもう少し先の話になる。
注目すべきポイントは、欧州の金融危機、原油価格、ドル円レートだ。欧州金融政策が機能せず、金融システムに疑わしい点が出ること、原油価格が20ドルを割る状況になり、米国エネルギー会社の破産が中型企業にまで拡大すること、ドルが大きく下落し、100円近辺に下落すること、これらの懸念が現実になれば、前記のシナリオから下振れを起こすことが考えられる。毎日の世界のニュースを、常に把握しておくことが必要となる局面が来る、ということだろう。