9月10月の暴落恐怖症
今週は、欧州中央銀行(ECB)の政策会議が注目されるが、引き続き、金融緩和姿勢を鮮明にするものと思われる。任期満了が近いドラギ総裁が、大きな金融緩和策に出れば、ドル高となり、東京株式市場にさらに上昇圧力がかかることになるかもしれない。その場合は、22000円を視野に入れてくる可能性も出てくる。一方で、ECBの判断が市場予想に反し、緩和策に消極的になれば、株式市場にはマイナスとなる。しかし、その可能性は低いと考えて良いだろう。
■中国の政策転換が上昇要因に
先週は、「香港での逃亡犯条例の撤回」、「米中貿易摩擦に関する中国の歩み寄り」というサプライズがあり、雇用統計などへの警戒感や解釈を超え、株式市場には久しぶりに上昇圧力がかかった。
先週指摘したように、時間的にもそろそろ1か月間のボックス形成を終える頃だった日経平均は、上記の材料に素直に反応し、21000円を超えてきた。21000円を抜けるのは今週と考えていたが、好材料によってそれが若干早まった形だ。
今後も年終盤の株式市場を左右するのは中国の政治姿勢だと言って良いだろう。2019年の中国経済成長率は6.3%という見通しが発表されているが、実際はこれを下回っている可能性は高い。その分、中国はこれ以上の経済摩擦の激化を望んでいない、と考えられる。また、習近平氏の健康不安説も根強く、中国共産党は、全体的に融和政策の色が濃くなるという見方が増えている。
■9月10月の暴落恐怖症
現状では、上記のように、比較的楽観的な見方が優勢となっている。しかし、9月10月は、暴落の季節でもある。ブラックマンデー(10月19日)、リーマンショック(9月15日)、米国同時多発テロ(9月11日)など、本当の大きな暴落は、この季節に起きている。不確実性が高い世界情勢で、資金は常に逃げる準備をしている、と考えるべきだろう。ちょっとしたことで大きく崩れるリスクがある時期だ、ということは認識しておくべきだろう。