■会社及び事業概要
1. グループ概要
アストマックス<7162>は2012年10月に設立された「金融事業」及び「総合エネルギー事業」を展開するグループの持株会社で、事業を通じて、“将来にわたり、豊かで安心して生活できる環境づくりに貢献する企業グループ”を目指しており、東証JASDAQスタンダード市場に上場している。
アストマックス(ASTMAX)の社名には、「Advanced Strategic Trading Management & Advisory」の各単語の頭文字に、無限の可能性の象徴としてのXを加え、“最先端で戦略的な投資運用を行う会社を目指す”という趣旨が込められている。
持株会社傘下には、アセット・マネジメント事業のアストマックス投信投資顧問(株)(2019年4月、ヤフー<4689>への株式の追加譲渡に伴い、持株比率は49.9%の持分法適用会社になったが、引き続きグループの重要な事業の一翼を担う)及びアストマックス・ファンド・マネジメント(株)(間接保有)や、再生可能エネルギー関連事業、ディーリング事業、電力取引関連事業のアストマックス・トレーディング(株)(持株比率100%)、アストマックス・エナジー・サービス(株)(同100%)等を擁する。牛嶋英揚(うしじまひであき)氏が代表取締役会長、本多弘明(ほんだひろあき)氏が代表取締役社長を務め、グループの役職員数は97名である。
2. 事業内容
同社グループは、創業時は、アセット・マネジメント事業及びディーリング事業の金融事業からスタートした。その後、金融事業で培ったノウハウ等を生かすことで、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連に取り組み、これら総合エネルギー事業にも事業分野を拡大してきた。現在はこれらコア4事業を展開しているが、金融事業と総合エネルギー事業の間には、投資案件の発掘等のノウハウを生かした協働、ファイナンス機能やリスクコントロール機能、リスク管理業務を含む市場取引の経験等の点で、シナジーが発揮されている。ただ、同社グループでは、現在の事業分野にとどまることなく、今後も新たな事業へのチャレンジを続ける方針である。
(1) アセット・マネジメント事業
創業時より、国内外の金融市場及び商品先物市場を中心とした顧客資産の運用業務に加え、ヘッジファンド、プライベートエクイティファンド等に投資を行うファンド・オブ・ファンズ業務、ベンチャー企業等に投資するベンチャーキャピタルファンド等の運用業務を行い、国内機関投資家、国内個人投資家、国内年金基金及び海外投資家等の資産運用を行っている。また、個人投資家向けの積立型長期資産形成ビジネスにも注力している。ヤフーとの業務提携に伴い、公募投資信託のYjamシリーズの販売拡大を目指している。同事業は、アストマックス投信投資顧問及びアストマックス・ファンド・マネジメントが担っている。
(2) ディーリング事業
創業時より、国内外の主要取引所において、商品先物を中心に、株価指数等の金融先物、さらにはOTC市場(取引所を介さない相対取引の市場)等を利用した自己勘定取引を行っている。資金枠や数量枠の設定等リスク管理を徹底し、少人数で安定的な利益を稼いでいる。国内市場の縮小に伴い、同事業における同社グループの現在の取引比率は、凡そ国内3割、海外7割の割合になっているが、日本取引所グループ(JPX)と商品先物を扱う東京商品取引所との経営統合が視野に入っており、国内市場復活、ひいては国内外取引所間の裁定取引拡大への期待が高まる。また、開放された中国先物市場の活用も計画する。同事業は、アストマックス・トレーディングが担っている。
(3) 再生可能エネルギー関連事業
2012年より、主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っている。エネルギー問題、気候変動問題を中心とした環境への取り組みにより包括的で持続可能な社会の構築のための開発目標(SDGs)の実現に貢献したいと考えており、国のエネルギー基本計画に基づき、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指し、再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針。現在は既に開発済みの太陽光発電所の売電、保守・運用管理に加え、新たな太陽光発電所の開発及び地熱発電の事業化に向けて取り組んでいる。同事業は、アストマックス・トレーディングが担っている。
(4) 電力取引関連事業
2016年より、自由化された日本の電力小売市場において、小売電気事業の業務をサポートするシステム提供や業務代行サービスを行っている。また、顧客の電力調達ニーズに対応するため、電力先渡取引や電力スワップ取引等、電力取引の多様化に積極的に取り組み、小売電気事業会社向けに電力の卸売販売も行っている。電力取引には、ディーリング事業の経験が生かされている。同事業は、アストマックス・トレーディング及びアストマックス・エナジー・サービスが担っている。
(5) その他事業
子会社の長万部アグリ(株)(持株比率82.3%)があり、北海道長万部町における「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指している。
2019年3月期の事業別営業収益内訳を見ると、アセット・マネジメント事業17.7%、ディーリング事業4.4%、再生可能エネルギー関連事業5.2%、電力取引関連事業72.5%、その他事業0.3%である。電力取引の営業収益が、新規取引先が増加し、電力の卸売りが増加したことに伴い前期比2.8倍に急増したが、見合いの電力仕入れの増加や先行投資に伴い営業費用も大幅に増加しており、セグメント損益は赤字にとどまっている。ただ、2020年3月期には黒字化を目指している。一方、アセット・マネジメント事業、ディーリング事業、再生可能エネルギー関連事業の3事業は黒字を計上しており、今後も収益貢献を続けると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. グループ概要
アストマックス<7162>は2012年10月に設立された「金融事業」及び「総合エネルギー事業」を展開するグループの持株会社で、事業を通じて、“将来にわたり、豊かで安心して生活できる環境づくりに貢献する企業グループ”を目指しており、東証JASDAQスタンダード市場に上場している。
アストマックス(ASTMAX)の社名には、「Advanced Strategic Trading Management & Advisory」の各単語の頭文字に、無限の可能性の象徴としてのXを加え、“最先端で戦略的な投資運用を行う会社を目指す”という趣旨が込められている。
持株会社傘下には、アセット・マネジメント事業のアストマックス投信投資顧問(株)(2019年4月、ヤフー<4689>への株式の追加譲渡に伴い、持株比率は49.9%の持分法適用会社になったが、引き続きグループの重要な事業の一翼を担う)及びアストマックス・ファンド・マネジメント(株)(間接保有)や、再生可能エネルギー関連事業、ディーリング事業、電力取引関連事業のアストマックス・トレーディング(株)(持株比率100%)、アストマックス・エナジー・サービス(株)(同100%)等を擁する。牛嶋英揚(うしじまひであき)氏が代表取締役会長、本多弘明(ほんだひろあき)氏が代表取締役社長を務め、グループの役職員数は97名である。
2. 事業内容
同社グループは、創業時は、アセット・マネジメント事業及びディーリング事業の金融事業からスタートした。その後、金融事業で培ったノウハウ等を生かすことで、再生可能エネルギー関連事業及び電力取引関連に取り組み、これら総合エネルギー事業にも事業分野を拡大してきた。現在はこれらコア4事業を展開しているが、金融事業と総合エネルギー事業の間には、投資案件の発掘等のノウハウを生かした協働、ファイナンス機能やリスクコントロール機能、リスク管理業務を含む市場取引の経験等の点で、シナジーが発揮されている。ただ、同社グループでは、現在の事業分野にとどまることなく、今後も新たな事業へのチャレンジを続ける方針である。
(1) アセット・マネジメント事業
創業時より、国内外の金融市場及び商品先物市場を中心とした顧客資産の運用業務に加え、ヘッジファンド、プライベートエクイティファンド等に投資を行うファンド・オブ・ファンズ業務、ベンチャー企業等に投資するベンチャーキャピタルファンド等の運用業務を行い、国内機関投資家、国内個人投資家、国内年金基金及び海外投資家等の資産運用を行っている。また、個人投資家向けの積立型長期資産形成ビジネスにも注力している。ヤフーとの業務提携に伴い、公募投資信託のYjamシリーズの販売拡大を目指している。同事業は、アストマックス投信投資顧問及びアストマックス・ファンド・マネジメントが担っている。
(2) ディーリング事業
創業時より、国内外の主要取引所において、商品先物を中心に、株価指数等の金融先物、さらにはOTC市場(取引所を介さない相対取引の市場)等を利用した自己勘定取引を行っている。資金枠や数量枠の設定等リスク管理を徹底し、少人数で安定的な利益を稼いでいる。国内市場の縮小に伴い、同事業における同社グループの現在の取引比率は、凡そ国内3割、海外7割の割合になっているが、日本取引所グループ(JPX)と商品先物を扱う東京商品取引所との経営統合が視野に入っており、国内市場復活、ひいては国内外取引所間の裁定取引拡大への期待が高まる。また、開放された中国先物市場の活用も計画する。同事業は、アストマックス・トレーディングが担っている。
(3) 再生可能エネルギー関連事業
2012年より、主として再生可能エネルギー等を利用した発電及び電気の供給に関する事業を行っている。エネルギー問題、気候変動問題を中心とした環境への取り組みにより包括的で持続可能な社会の構築のための開発目標(SDGs)の実現に貢献したいと考えており、国のエネルギー基本計画に基づき、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指し、再生可能エネルギーの導入及び拡大に寄与する方針。現在は既に開発済みの太陽光発電所の売電、保守・運用管理に加え、新たな太陽光発電所の開発及び地熱発電の事業化に向けて取り組んでいる。同事業は、アストマックス・トレーディングが担っている。
(4) 電力取引関連事業
2016年より、自由化された日本の電力小売市場において、小売電気事業の業務をサポートするシステム提供や業務代行サービスを行っている。また、顧客の電力調達ニーズに対応するため、電力先渡取引や電力スワップ取引等、電力取引の多様化に積極的に取り組み、小売電気事業会社向けに電力の卸売販売も行っている。電力取引には、ディーリング事業の経験が生かされている。同事業は、アストマックス・トレーディング及びアストマックス・エナジー・サービスが担っている。
(5) その他事業
子会社の長万部アグリ(株)(持株比率82.3%)があり、北海道長万部町における「町と東京理科大学の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業」の確立を目指している。
2019年3月期の事業別営業収益内訳を見ると、アセット・マネジメント事業17.7%、ディーリング事業4.4%、再生可能エネルギー関連事業5.2%、電力取引関連事業72.5%、その他事業0.3%である。電力取引の営業収益が、新規取引先が増加し、電力の卸売りが増加したことに伴い前期比2.8倍に急増したが、見合いの電力仕入れの増加や先行投資に伴い営業費用も大幅に増加しており、セグメント損益は赤字にとどまっている。ただ、2020年3月期には黒字化を目指している。一方、アセット・マネジメント事業、ディーリング事業、再生可能エネルギー関連事業の3事業は黒字を計上しており、今後も収益貢献を続けると期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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