■サイオス<3744>業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前期比5.8%増の7,231百万円、営業利益は同19.3%減の115百万円となり、EBITDAは同14.5%減の140百万円となり、EBITDAマージンは前期の2.4%から1.9%に低下した。
主要製品の売上動向を見ると、「LifeKeeper」は前期に大幅伸長した海外向けが反動減により減収となったものの、国内向けについては販売パートナーとの協業体制を強化したことで下期にかけて売上が回復、通期では若干ながら増収を維持した。また、Red Hat, Inc.関連商品の販売はIT投資拡大を追い風に引き続き順調に拡大したほか、OSSサポートサービスも堅調な増収となった。
一方、利益面では商品販売の粗利率が前年に引き続き低下基調となったことや、「SIOS Coati」の新バージョンリリース関連費用の増加が減益要因となった。
(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比1.2%減の5,568百万円、営業利益は同1.4%減の174百万円と微減収微減益となった。営業利益に関しては、前期にのれん等の減損処理を実施したことでのれん償却額等が減少したため、微減益にとどまっているが、本来の収益力を表すEBITDAでは同29.4%減の235百万円と2ケタ減益となり、EBITDAマージンは前期の5.9%から4.2%に低下した。
売上高の内訳を見ると、クラウドサービスの「Gluegentシリーズ」は契約社数が順調に積み上がり、好調な増収となったが、MFP向けソフトウェア製品や金融機関向けシステム開発・構築支援が減収となった。また、金融機関向け経営支援システムの販売については主力顧客である地方金融機関の設備投資の意思決定が引き続き長期化の傾向にあるため、減収となった。一方、利益面ではのれん等の償却費が減少したものの、新規事業関連費用が増加したほか金融機関向けシステム開発・構築支援の一部案件で開発遅延が発生し不採算案件となったことが減益要因となった。
MFP向けソフトウェア製品については、上期の落ち込みが響いて減収となったものの、下期だけで見ると販売パートナーとの協業体制を強化したことにより増収に転じている。具体的には、同社のソフトウェア製品の利用価値(各種文書の自動電子化による業務効率向上、全ログ保存による情報漏えい対策等)を顧客にうまく訴求するため、導入事例の紹介や販促資料などを制作し、販売パートナーの商品理解力を高めたことが売上の回復につながったようだ。
3. 重点施策の取り組み状況
同社は中期経営戦略の基本方針として、「Fintechを含む新たな領域での新規事業創出」「継続的な研究開発投資」「コアビジネスの競争力強化」を掲げており、2018年12月期は以下の取り組みを実施した。
(1) Fintechを含む新たな領域での新規事業創出
新規事業創出への取り組みとして、2018年8月に「SIOS Coati」の新バージョンをリリースした。2017年2月にリリースした「SIOS Coati」は、パブリッククラウドであるAmazon EC2のサービスを利用する企業向けの運用自動化サービスで、システム運用担当者の業務負担軽減につながるサービスとなる。今回のバージョンアップは、顧客の様々な要望に応えるためのものである。新バージョンでは、機能設定を顧客ニーズに合わせて細分化したほか、気軽に試してみたいというニーズに応えるためフリーミアムモデルの導入や料金プランの変更も合わせて実施している。
機能面では、監視対象の範囲や内容、障害検知後の復旧動作の内容などを個別に設定できるようにしたほか、障害対応レポート送信のタイミングをモード選択できるようにした。料金プランは従来まで、最低月額利用料金3万円+従量課金制としていたが、監視時間に応じた完全従量課金制(1時間1インスタンス※当たり5円)に変更した。
※インスタンス…Amazon EC2の機能として提供される仮想コンピューティング環境を指し、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークキャパシティなど、サーバー環境を構成する基本リソースを言う。
2017年9月よりソニーネットワークコミュニケーションズ(株)が提供する「マネージドクラウド with AWS」(AWSの導入・運用管理支援サービス)のオプションメニューにも採用されており、今後、販売提携先を増やしていくことで、契約社数を増やしていく方針だ。
(2) 継続的な研究開発投資
研究開発投資に関する取り組みとして、2018年6月に米子会社のSIOS Technology Corp.がサウスカロライナ大学の工学・コンピュータ学部内にR&Dセンターを開設した。従前の研究開発拠点を閉鎖し、同大学内に移転した。大学で最先端のAI技術を学生、教授らとともに共同で研究開発し、新技術・サービスの開発につなげていくほか、優秀な人材の獲得を進めていくことが狙いとなっている。
(3) コアビジネスの競争力強化
コアビジネスの競争力強化に関する取り組みとして、2018年12月にサイオステクノロジーが(株)サードウェアを吸収合併している。サードウェアは主に事業継続ソリューションであるDRBD※製品の販売を主に行っている。DRBDの特徴は10年以上の長い実績と安定性、機器の多重化による高信頼性、大容量ディスクサポートが可能といった点が挙げられる。同社の主力製品である「LifeKeeper」にも同様の機能があるが、今回、顧客層の拡大を図ることを目的に吸収合併した。
※DRBD(Distributed Replicated Block Device):ネットワーク経由で、データを多重化するソフトウェア。
また、MFP向けソフトウェア製品についても、販売パートナーの協業体制を強化したことによって、競争力が向上したと見ている。今後もAI技術などを活用した新機能の開発を進めていく方針となっている。国内のMFP市場は飽和状態にあるものの、MFP(リコー製品)における同社ソフトウェア製品の搭載率はまだ低く、搭載率の上昇による売上成長余地は大きいと見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前期比5.8%増の7,231百万円、営業利益は同19.3%減の115百万円となり、EBITDAは同14.5%減の140百万円となり、EBITDAマージンは前期の2.4%から1.9%に低下した。
主要製品の売上動向を見ると、「LifeKeeper」は前期に大幅伸長した海外向けが反動減により減収となったものの、国内向けについては販売パートナーとの協業体制を強化したことで下期にかけて売上が回復、通期では若干ながら増収を維持した。また、Red Hat, Inc.関連商品の販売はIT投資拡大を追い風に引き続き順調に拡大したほか、OSSサポートサービスも堅調な増収となった。
一方、利益面では商品販売の粗利率が前年に引き続き低下基調となったことや、「SIOS Coati」の新バージョンリリース関連費用の増加が減益要因となった。
(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比1.2%減の5,568百万円、営業利益は同1.4%減の174百万円と微減収微減益となった。営業利益に関しては、前期にのれん等の減損処理を実施したことでのれん償却額等が減少したため、微減益にとどまっているが、本来の収益力を表すEBITDAでは同29.4%減の235百万円と2ケタ減益となり、EBITDAマージンは前期の5.9%から4.2%に低下した。
売上高の内訳を見ると、クラウドサービスの「Gluegentシリーズ」は契約社数が順調に積み上がり、好調な増収となったが、MFP向けソフトウェア製品や金融機関向けシステム開発・構築支援が減収となった。また、金融機関向け経営支援システムの販売については主力顧客である地方金融機関の設備投資の意思決定が引き続き長期化の傾向にあるため、減収となった。一方、利益面ではのれん等の償却費が減少したものの、新規事業関連費用が増加したほか金融機関向けシステム開発・構築支援の一部案件で開発遅延が発生し不採算案件となったことが減益要因となった。
MFP向けソフトウェア製品については、上期の落ち込みが響いて減収となったものの、下期だけで見ると販売パートナーとの協業体制を強化したことにより増収に転じている。具体的には、同社のソフトウェア製品の利用価値(各種文書の自動電子化による業務効率向上、全ログ保存による情報漏えい対策等)を顧客にうまく訴求するため、導入事例の紹介や販促資料などを制作し、販売パートナーの商品理解力を高めたことが売上の回復につながったようだ。
3. 重点施策の取り組み状況
同社は中期経営戦略の基本方針として、「Fintechを含む新たな領域での新規事業創出」「継続的な研究開発投資」「コアビジネスの競争力強化」を掲げており、2018年12月期は以下の取り組みを実施した。
(1) Fintechを含む新たな領域での新規事業創出
新規事業創出への取り組みとして、2018年8月に「SIOS Coati」の新バージョンをリリースした。2017年2月にリリースした「SIOS Coati」は、パブリッククラウドであるAmazon EC2のサービスを利用する企業向けの運用自動化サービスで、システム運用担当者の業務負担軽減につながるサービスとなる。今回のバージョンアップは、顧客の様々な要望に応えるためのものである。新バージョンでは、機能設定を顧客ニーズに合わせて細分化したほか、気軽に試してみたいというニーズに応えるためフリーミアムモデルの導入や料金プランの変更も合わせて実施している。
機能面では、監視対象の範囲や内容、障害検知後の復旧動作の内容などを個別に設定できるようにしたほか、障害対応レポート送信のタイミングをモード選択できるようにした。料金プランは従来まで、最低月額利用料金3万円+従量課金制としていたが、監視時間に応じた完全従量課金制(1時間1インスタンス※当たり5円)に変更した。
※インスタンス…Amazon EC2の機能として提供される仮想コンピューティング環境を指し、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークキャパシティなど、サーバー環境を構成する基本リソースを言う。
2017年9月よりソニーネットワークコミュニケーションズ(株)が提供する「マネージドクラウド with AWS」(AWSの導入・運用管理支援サービス)のオプションメニューにも採用されており、今後、販売提携先を増やしていくことで、契約社数を増やしていく方針だ。
(2) 継続的な研究開発投資
研究開発投資に関する取り組みとして、2018年6月に米子会社のSIOS Technology Corp.がサウスカロライナ大学の工学・コンピュータ学部内にR&Dセンターを開設した。従前の研究開発拠点を閉鎖し、同大学内に移転した。大学で最先端のAI技術を学生、教授らとともに共同で研究開発し、新技術・サービスの開発につなげていくほか、優秀な人材の獲得を進めていくことが狙いとなっている。
(3) コアビジネスの競争力強化
コアビジネスの競争力強化に関する取り組みとして、2018年12月にサイオステクノロジーが(株)サードウェアを吸収合併している。サードウェアは主に事業継続ソリューションであるDRBD※製品の販売を主に行っている。DRBDの特徴は10年以上の長い実績と安定性、機器の多重化による高信頼性、大容量ディスクサポートが可能といった点が挙げられる。同社の主力製品である「LifeKeeper」にも同様の機能があるが、今回、顧客層の拡大を図ることを目的に吸収合併した。
※DRBD(Distributed Replicated Block Device):ネットワーク経由で、データを多重化するソフトウェア。
また、MFP向けソフトウェア製品についても、販売パートナーの協業体制を強化したことによって、競争力が向上したと見ている。今後もAI技術などを活用した新機能の開発を進めていく方針となっている。国内のMFP市場は飽和状態にあるものの、MFP(リコー製品)における同社ソフトウェア製品の搭載率はまだ低く、搭載率の上昇による売上成長余地は大きいと見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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