海外勢の日本再評価が起きる前夜にある
Q)海外勢の日本株に対するスタンスをどう見ていらっしゃいますか?
武者) 依然として日本株式の潜在的強さを認識していないと思う。海外勢は相変わらず日本は世界経済の劣等生だと思っているが、武者リサーチの分析では日本は世界の優等生だ。企業のビジネスモデル、稼ぐ力という点で、世界最高の評価が適切になされるべきと考える。
東証出来高の6~7割を占める外国人投資の過半はヘッジファンドなど短期筋の取引であり、長期投資家は日本株式比重をせいぜいニュートラルにとどめている。特に今年は年初来累計で日本株式を売り越している。今回の相場クラッシュは海外の年金など長期投資家が日本株式のポジションを高める契機になるかもしれない。
ただこんな見方もできる。日本に対する直接投資は諸外国に比して著しく小さく、日本は投資障壁が大きな国との歪んだ評価がある。日本企業の対外直接投資が175兆円であるのに対し、海外企業による対日直接投資は29兆円と著しい不均衡となっていることが、その証拠とされている。確かにM&Aなどに関して日本企業には投資の閉鎖性がある。しかし他方、外国人はものすごい規模で日本株を買っている。外国人の日本株の保有比率は1990年5%前後、2000年18%から毎年増加し今では30%に達している。株式投資で見れば、対外株式投資は86兆円に対して対内株式投資は217兆円と、ここでは逆の著しい不均衡がみられる。
外国人は日本において自らビジネスをするのではなく企業を買う形で日本に対する投資をしていると言える。日本の経営力を外国人が買うということで日本のビジネスに参画する、と言う事が起こってきたわけである。実は外国人が日本の企業のビジネスモデルを評価していることのあらわれと考えられるのではないか。
海外勢の日本企業に対する評価が高いことを日本人が知れば、今度は日本の個人の投資家も株式を買い、市場はいよいよ厚みを増してくると思う。米中冷戦がはっきりしたことによって、日本の世界の地政学上のプレゼンスは著しく高まっている。日本は中国とアメリカの冷戦のどちらが勝つかのカギを握るポジションにいる。日本のポジションが地政学的に有利であるということは、日本の経済やマーケットに対して追い風になる。
(2018年10月15日記 武者リサーチ「ストラテジーブレティン210号」を転載)
詳細はホームページをご覧ください。 http://c.bme.jp/18/1961/241/
日 時 2018年12月7日(金)18:30~21:30(受付開始18:00)
会 場 紀尾井フォーラム 千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニ ガーデンコート1F
受講料 20,000円(税込)領収書有
※芝大門・社中特製サンドウィッチBox&コーヒーor紅茶付き
※キャンセルは12月5日迄。キャンセル料が発生しますので代理の方のご参加をお願い致します。
講演者
藤本隆宏 東京大学大学院経済学研究科教授
南川明 IHSグローバル株式会社 主席アナリスト
武者陵司 武者リサーチ 代表
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プログラム
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受付開始
18:30~19:10
藤本隆宏氏 講演『デジタル化と日本のものづくり―課題と勝機』
・ケイパビリティとアーキテクチャから見る日本の産業構想
・現場の戦後産業史‐グローバルコスト競争から米中技術摩擦へ
・「上空・低空・地上」競争と日本企業‐強い現場・強い本社へ
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・PC/スマホから5GとIoT時代へ
・IoT時代の技術開発の焦点と米中貿易戦争
・日本企業に有利なビジネス領域の展開
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武者陵司 講演『経済と市場をどう見るか』
・新産業革命と株式市場の新段階
・米中貿易戦争、トランプ政権と日本の投資チャンス
・人生100年、日経平均10万円の確かさ
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コメンテーターからの論評、Q&A会場を交えた討論
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