日本証券業協会 稲野和利会長インタビュー

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最新投稿日時:2014/06/17 11:22 - 「日本証券業協会 稲野和利会長インタビュー」(みんかぶ株式コラム)

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日本証券業協会 稲野和利会長インタビュー

投稿:2014/06/17 11:22

NISAの恒久化目指す

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稲野 和利(いなの・かずとし)氏
プロフィル

1976年東京大学法学部卒業、野村証券入社。97年取締役、2000年専務。02年野村アセットマネジメント社長、野村ホールディングス(HD)取締役を兼務。03年野村HD副社長就任。09年野村アセットマネジメント会長。13年7月日本証券業協会会長に就任。
 
 

個人投資家の資産形成促進の有効な手段としてNISA(少額投資非課税制度)がスタートして半年が経過しようとしている。そこで、NISAの現状と今後の国民各層への投資の普及・啓発活動などについて、日本証券業協会の稲野和利会長に聞いた。

(聞き手 株式経済新聞編集長・冨田康夫)

投資の普及・啓発に全力

 ――個人にとっての投資の重要性とは

 「日本国民にとって、資産形成というのは非常に重要なテーマだ。賦課方式の年金システムは、人口減少傾向のなかでは大きなプレッシャーを受け、支給の所得代替率で50%をキープすることはそう簡単なことではない。1970年には現役世代約10人で高齢者1人を支えていたのが、2020年には2人弱で1人を支えることになる。生涯幸せな生活を送るためには、資産を十分蓄積できるかが重要なテーマとなる。こうした自助努力が上手くいかないと、社会的に膨大なコストが発生しかねない。個人の資産形成は極めて重要で、そのための手段として投資を活用していくことが大きな意味を持つ」

 ――普及・啓発で心掛けているのは

 「一般に誤解があるのは“投資”という言葉を聞いた瞬間に、100万円単位といったまとまった金額を一度に投じるというイメージを持たれることだ。そうではなく、まとまったお金を形成するために、少額でも十分投資という手段を活用できるという理解を得たい。投資の習慣化は重要で、NISAのような、身近で便利な投資の枠組みが存在していることの意義は大きい」

少額でも投資活用は可能
「ジュニアNISA」導入は急務

photo2 「また、投資を敬遠する理由として“知識がない”という声を聞く。協会として知識が得られるような機会を多く提供していかなければならない。また、初等・中等教育から始めて、生活に必要な金融・証券についてのきちんとした教育が必要と思う」

 ――3月末のNISAの状況は

 「証券129社合計で421万5774口座(前回1月1日調査比31.6%増)となった。銀行などの金融機関に開設された口座は不明だが、約200万口座以上とみられることから、少なくとも合計600万口座以上に達しているのではないか。非常に順調に推移していると思う。年代別では、60歳以上が61%を占めるが、1月1日時点では65%であり、50歳代以下の開設が相対的には増加している。1~3月に証券会社で開設された口座は約100万あるが、60歳以上に比べ50歳代以下が若干上回ってきた。買い付け金額は6080億円で、内訳は、上場株式に3645億円(60.0%)、投資信託2257億円(37.1%)。ただし、銀行の取り扱い分を含めると、投資信託が上回るのではないか。ここからは、投資未経験層、若年層に焦点を当てて啓発・広報活動を展開したい。究極的には、NISAの恒久化が必要と考えている。今後、利用実績を踏まえた上で制度改善を要望していきたい。現状の5年間非課税、口座開設可能期間10年などでは、必ずしも長期とはいえない。また、足もとの課題としては、ジュニアNISAの導入、投資枠(金額)の拡大などについて、成長戦略での実現を期待している」

 ――20歳未満を対象とした「ジュニアNISA」について

photo3 「現在のNISAは20歳以上が対象で、0~19歳が空白となっている。ジュニアNISAは、0~19歳の層に親世代、祖父母世代が、子供・孫の名義で口座を開設し、贈与というかたちで資産を形成していく制度だ。近年日本では高等教育の費用が大きくなり、それをどう準備するかが重要なテーマとなっている。多くの人が利用できる制度を提案したい」

初心者対象に支援イベント開催

 「ジュニアNISAは、仕組み自体は既存のNISAと同様に年間一定の拠出枠を設け、そこで買い付けできるものとする。使途は制限を設けない方が利用率は高まるだろう。信託銀行を使った贈与資金スキームは、世代間資産移転が中心。ジュニアNISAは、移転できる資産が多くない人でも子供のために、資産形成を可能にすることが特長。NISAが恒久化された場合には、ジュニアNISAで形成された資産が既存NISAに継続できるようにしたらいいのではないか」

 ――NISAの普及促進について具体策は

photo4 「個々の証券会社の営業活動自体がNISAの普及につながる面は大きい。一方、協会としての広報活動は、ボーナス支給時期に合わせた6~7月、11~12月を重点にし、年末にかけては今年の非課税枠が無くなることへの注意を喚起したい。また、来年以降を見据えてさまざまなセミナー、イベントの開催も計画している。普及を促進するためには制度自体の理解を幅広く得ることが必要で、特に若年層、投資未経験者層に焦点を当てたさまざまな活動を展開したい。私自身も、6月には北陸3県の証券会社18社合同で開催する投資初心者をターゲットとした“投資デビュー応援イベント”に出向いて基調スピーチを行うほか、関西学院大学で“NISAを知る”というテーマで講義をするなど、NISAに関連した情報を分かりやすく伝えていく。その後も各地で同様の啓発活動を図る。また、少人数でも要望があれば、全国どこにでも協会から講師を派遣する草の根的な、“NISA応援!出張講座”や、一般市民の金融や資産運用に関する疑問の解決や金融リテラシー(知識やそれを活用する能力)の向上を目指す“金融リテラシー習得講座”などの活動も広く展開していきたい」

配信元: みんかぶ株式コラム

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