「中国ICO禁止も、投資家心理に悪影響」
日経平均の日足チャートでは昨日の急落によって、下方の窓を完全に埋める動き。強い達成感が漂っているが、これは「軸下向き」ならではの動き。ここからさらに下方向に引っ張られれば、下方のテクニカルの壁は完全に崩壊。「軸下向き」は確定的となる。
米国株の下落幅が大きかったのは、前日の休場の影響もあるだろう。改めて北朝鮮リスクを織り込む形となっており、投資家のリスク回避姿勢は続いている。外国為替市場では円相場が1ドル=108円台半ばまで上昇。東京株式市場でも輸出関連株を中心に売りが優勢となりそうだ。
昨日、マザーズ指数が急落したのは、個人投資家が相場の見通しを悲観的に捉えた要因が大きい。北朝鮮のミサイル・核実験はもちろんのほか、中国がICOを全面的に禁止したことも影響しているのだろう。ICOとは「イニシャル・コイン・オファリング」の略。我々はIPOという言葉を知っており、資金調達を仮想通貨の発行で行うのがICOである。
そもそも、仮想通貨にはちょっとした危うさがあった。それは、中央銀行が正式にその価値を保証していないことだ。現在の国際金融の仕組みはBIS(国際決済銀行)をトップとしたピラミッド型となっている。その下にFRBやECBそして日銀がぶら下がっている仕組みだ。
基本的に中央銀行は通貨を発行する権利がある。それをもし他の機関が行えてしまえば、通貨発行権という既得権益を失うことになりかねない。国際金融を牛耳る人々がそれを嫌ったわけであり、中国でそれがいち早く表面化したのである。もちろん仮想通貨を支えるブロックチェーンという技術は、将来的に発展・成長性のあるものだ。だから、あえて金融当局はこの技術を「放置」し、技術進歩させた。将来的にこの仕組みそのものを「乗っ取る」予定であり、今は単に泳がせているのである。
株式市場においては、ビットコインなどの仮想通貨の急落を受けて、リミックス(3825)などの関連銘柄が軒並み下落した。投資家が改めてこの通貨に対するリスクを認識することになり、しばらくこの流れは続くだろう。全体相場は本当に危険な状態となっている。投資家は暴落に備え、改めて準備を進めるべきだ。