イエレン、フィッシャー講演が最後のヒントになり得るか

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最新投稿日時:2017/03/03 20:10 - 「イエレン、フィッシャー講演が最後のヒントになり得るか」(津田隆光)

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イエレン、フィッシャー講演が最後のヒントになり得るか

著者:津田隆光
投稿:2017/03/03 20:10

今夜、注目のFRB正副議長講演!

先般行われたトランプ大統領による初の米上下両院合同本会議での施政方針演説は、大手メディア記者を前にした会見で見せるような“高圧的”ないしは“エキセントリック”な発言や態度を微塵も見せることなく、まさに大統領然とした余裕や貫禄を見せ、総括すると適温を表す<ゴルディロックス演説>に終始したと表現していいのかもしれません。

裏を返せば、トランプ大統領のエキセントリックな発言を警戒(期待?)していた一部マーケット参加者にとっては、「拍子抜け」「肩透かし」といった内容に映ったこともあり、“トランプノリスク”の予防線として布陣させていたショートポジションを買い戻す“踏み上げ”が加勢する形となったのも、リスク選好フローが押し上げられた一つの要因と言えそうです。

今回のトランプ大統領による施政方針演説の中で、特にウォール街を中心に好感したのが1兆ドル(約113兆円)に上るインフラ投資と「歴史的な税制改革」に関する言及。

ただし、その具体的な中身や時期は示されず、これから問題となり得るのは、その財源をどうやって捻出するのかどうか、また議会とどのような折衝をしていくのかに絞られます。

そもそも、マンデル・フレミングの法則に従うと、大型財政出動を伴うインフラ投資や減税を実施すると、早晩クラウディング・アウト効果と呼ばれる民間投資の減少→株安をもたらすとされており、また、実質金利の上昇が続けば、「悪いドル高」が起因する株安へとつながるとされています。左上のマンデル・フレミングの法則を単純化したフローをご覧ください。

このフロー図から勘案すると、現時点(3/3時点)における米ドル高・円安フローは、上図Aの進展を予想したマーケット参加者が、足もとで日米金利差が拡大するであろうと予測した動きも一因と言えます。しかしながら、このまま「債券安」「金利高」が継続すると、前述の通り、クラウディング・アウト効果による株安(上図B)になってしまうこと、また結果的には「悪いドル高」(上図B)をもたらしてしまうことが想定されます。(※ 理論上、「悪いドル高」は結局「株安」[上図D]へとつながるとされています。)

直近では、クリストファー・シムズ氏(マクロ経済学者、プリンストン大教授)が提唱する「シムズ理論」により、「将来的に増税をしない」との条件下での財政出動は、金融政策とのポリシー・ミックスを行うことによって景気回復をもたらすとされており、一概に「財政出動=株安・米ドル安」とはならないことにも留意する必要がありますが、やはり今後のトランプ政権による財政出動に関する動きからは目が離せそうにありません。

トランプ大統領の施政方針演説を終えた今、次のボールはFRBに渡されたと見てもよく、その意味でも、今夜行われるフィッシャーFRB副議長(日本時間4日午前2時30分~、場所:NY)およびイエレンFRB議長(同4日午前3時~、場所:シカゴ)の講演内容については、ブラックアウト期間(3/4~)に入る前の最後のヒントとして大いに耳目が集まりそうです。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想

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