「日銀の見せ玉で円安、白鬼登場までの猶予期間」

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最新投稿日時:2016/11/19 08:33 - 「「日銀の見せ玉で円安、白鬼登場までの猶予期間」」(黒岩泰)

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「日銀の見せ玉で円安、白鬼登場までの猶予期間」

著者:黒岩泰
投稿:2016/11/19 08:33

「踏み込んで勝負する時節柄」

 先週末の日経平均は104.78円高の17967.41円で取引を終了した。朝方は米株高、円安を受けて買い先行となったものの、買い一巡後は上値の重い展開。週末要因も重なり、積極的な買いは入らなかった。

 それでも日経平均の日足チャートでは、窓を空けて上昇。強気相場が継続しており、強い先高観がある。安倍首相とトランプ次期大統領の初会談も無事終了。市場にはイベント通過の安心感が漂っている。日銀がイールド・カーブ・コントロールを鮮明しており、それが円安を助長。日本株の後押し要因となっている。
 日銀は一昨日、固定金利で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」を初めて通告。2年債と5年債のマイナス金利幅が拡大した。トランプ大統領誕生以降、足元で中長期の利回りは徐々に上昇。そこで日銀が手を打ち、金利上昇を抑制したというわけだ。

 この「指値オペ」は、株式投資でいえば、違法行為の「見せ玉」だ。どうせ入らない注文だから、大量に入れても構わない――そういった思考が背景にある。これを株式市場で個人投資家がやれば、一発でアウト。刑務所行きだ。

 しかし、日銀がやれば、それがいわゆる金融政策となる。正当な行為として認められ、投資家たちから恐れられる存在となるのだ。「次に日銀(空)砲が入るのはいつか?」と、市場への牽制として働くのである。

 だが、そのせいで為替がどんどん円安・ドル高になっている。日銀の「金利固定政策」によって、内外金利差がどんどん広がっているからだ。これは正当な行為なのか――必ず海外から批判くるだろう。特にトランプ政権になれば、これは「為替操作」というレッテルが貼られ、それなりの制裁を受けるだろう。白鬼登場までのモラトリアム(猶予期間)――そんな感じになってきた。「日銀だから何でも許される」――ということには、いずれならなくなるだろう。それぐらい日本は「ヘンテコリンな政策」をやっているのだ。「需給を無視した金利誘導」――これの弊害、副作用は計り知れないだろう。

 だから、一連の上昇相場は、投資家たちは「ミズモノ」と認識しなければならない。イカサマ金利操作による根拠のない円安が株高の要因となっており、かなり「危うい橋」を渡っているのだ。途中で「バキッ」と折れても何も文句は言えないのである。

 それでも、「投資」となれば話は別だ。その「白鬼登場」までに、何とか稼がなくてはならない。「少なくとも年末まで持続する」というのならば、この円安・株高をフルに享受するしかない。どんなに危険と思われる銘柄でも、ここは踏み込んで勝負するしかない――そういう時節柄なのである。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想

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