完全雇用と株高はピークアウトする可能性も
■これまでの大統領選の中で最も評判の悪い選挙であったことは、いうまでもなく最低と言えます。
これだけメディアやスキャンダル、そしてFBIを巻き込み騒がせたものは無かったはずです。そして、今回の選挙は最悪な一票が投じられることを世界はどう見ているのか?
それは、米国民の判断材料があまりにもなかったことではないでしょうか。つまり、国民の判断が消去法で票を投じ、その一票が大統領を選出し、更には世界のリーダーとなるのです。そのこと自体が、世界経済の長期混迷の入り口に立たされたのではないかと感じてしまいます。
■これまでの株価の流れを見る限り、既にピークアウトしているようにも見えます。
特に大幅な金融緩和や大型の財政政策の結果が、NYダウ指数を始め既に価格に反映しています。
仮にクリントン氏が当確した場合、一時的に買われることがあったとしても、直近高値(18600ドル)を大幅に超えることは無く、むしろ打ち上げ花火のようになる可能性があるとみています。
■反対に、トランプ氏が当確した場合、ショックで一時的に下落するものの、来年以降の米経済の調整局面を公共投資や大型減税政策でカバーすることで、高値圏を維持できるのではないかとみています。
■いずれにしても、米経済は完全雇用と株高はピークアウトする可能性があるので、内政重視の保護主義を色濃く出す可能性があります。
それ故に、日本サイドの影響としては、プラス材料は少なく、むしろマイナスに作用するの可能性が高そうです。
当時の米国はアメリカンドリーム、そして「強い米国、強いドル」と言われ、これまでも世界のリーダーとして君臨してきました。しかし、最近は「有利な米国、都合のいいドル」という若干偏見でもありますが、とにかく米国ありきの色が強くにじみ出ています。
特に、今年の米国の雇用は完全雇用に近いです。
しかも年初から見れば200万人以上の雇用を創出しているにもかかわらず、ドル高には一向に傾きません。
それどころか20%以上の円高ドル安局面となっています。通常のセオリーは「雇用拡大→景気見通し良好→通貨高」という感じですが、通貨高どころか、日本にしわ寄せがきている始末です。
米国や日本もそうですが、一部の富裕層だけ報われ、一般庶民や農民が潤わない格差社会がいつまでも継続できるとは決して思いません。
これだけグローバル経済が進む中で、独り勝ちの国はどこかでしっぺ返しが来ます。
四民平等とまでは言わないものの、ある程度格差是正を行い、将来に向けた政治経済を運営しなければ、大きなブラックホールに落ちてしまいます。
■その意味では、一次産品価格の底上げ、将来性のある規制緩和、伝統文化の見直しを前提に、TPPを始めグローバル経済のリーダー国でもある日米が連携するべきだと考えます。
最後は、株価とドル円の短期及び中期的な予想をしています。
【株価の目安です】
(クリントン氏当確)
・日経平均… 一時的反発 → 18,000円→ その後大幅な調整局面→ 15,000円
・NYダウ… 一時的反発 → 18,600ドル→ その後大幅な調整局面 → 15,500ドル
(トランプ氏当確)
・日経平均… 一時ショック安 → 15,000円 →その後緩やかに回復 → 17,000円
・NYダウ… 一時ショック安 → 16,000ドル →その後緩やかに回復 → 17,000ドル
【為替の目安です】
(クリントン氏当確)
・ドル円… 一時的反発 → 106円台 →その後レンジ相場 → 100~107円
(トランプ氏当確)
・ドル円… 一時ショック安 → 98円台 →その後レンジ相場 → 95~100円