環境に優しいメタノール、世界需要拡大の波に乗る企業
同社は独自技術で幅広い領域に事業展開する日本有数の化学品メーカーです。
売上高の5%を研究開発費に投じ、その成果として自社開発製品が占める割合は9割に上ります。
中でも代表製品である酸化防止剤(脱酸素剤)「エージレス」は、酸化による食品などの劣化を防止する化学製品として、市販食品や医薬品、化粧品などに使用され、標準装備的存在ともいえる製品です。
そしてメタノール販売量では世界第4位に位置します。
メタノールは主に天然ガスから生産され、最終的には接着剤や農薬、塗料、高機能プラスチック、合成樹脂などの製造に必要な化学品材料として使用されてきました。
また輸送・貯蔵コストがLNGより安価であること、硫黄や窒素を含まないクリーンエネルギーという点などにおいて優位性を持つため、近年では、燃料用途としても注目されています。
このような特徴を持つメタノールの世界需要は年間約6500万トンとされ、2018年には9000万トン超えまで増加すると予測されています。
さらに、ペットボトルなど日用品の基礎化学原料をナフサからメタノールに代替する取り組みも多くなり、地球温暖化対策が強化されていく中で、一層の需要拡大が見込まれます。
このようなメタノール市場において、同社のメタノール販売量で世界第4位、年間約250万トンを取り扱っています。
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本日11月2日発表の
【2017年3月期第1-2四半期の業績】
売上高が前年同期比10.8%減の2679億3500万円、営業利益が25.7%増の192億6900万円、持分法利益が7.4%減の75億円、経常利益が16.5%増の246億1200万円、親会社に属する純利益が0.0%減の185億2400万円、一株当たり利益(EPS)が85.34円(前年同期83.10円)となりました。
財務状況は、自己資本比率55.8%、有利子負債1324億700万円、現金等715億9400万円、ネット有利子負債は608億1300万円DEレシオは0.34倍、ネットDEレシオは0.16倍と健全です。
同社の利益構造は持ち分法投資損益が大きく占めており、持分法利益75億円の内、海外メタノール生産会社が40億円、エンジニアリングプラスチックス関連会社が27億円、特殊機能材関連会社2社で6億円を計上しています。
機能化学品・芳香族化学品の営業利益増加に加え、メタノールやエンジニアリングプラスチックス関連会社に係る持分法利益も増加したことなどが業績に貢献。
第2四半期累計期間の業績は前回予想に対して、売上高が3.1%、営業利益が60.6%、経常利益が64.1%、純利益が105.8%の上振れる結果となりました。
一方通期では、円高による収益悪化、エレクトロニクスケミカルの競合激化、メタノール市況の低位推移などにより減収減益の見通しとなっています。しかし、芳しくない外部環境を見込む一方、機能化学品や電子材料など差別化された製品での業績拡大が見込まれます。
休止中のメタキシレン(MX)生産装置1系列を17年3月から再稼働させると発表しており、これによる業績への寄与なども期待されます。
【2017年3月期通期業績予想】
売上高が前年比14.1%減の5100億円、営業利益が11.8%減の300億円、経常利益が18.6%減の370億円、純利益が23.8%減の260億円、一株当たり利益(EPS)が120.12円の見通しで、配当は2円増配の18円とする方針。
上期の業績発表と共に通期見通しの修正を発表しており、減益幅が縮小、また配当金の増額が行われました。
売上高を引下げ(5200億円>>5100億円)、営業利益以下を引き上げ(営業利益:250億円>>300億円、経常利益:320億円>>370億円、純利益:210億円>>260億円)、また配当金を2円増額しています。
(なお、業績修正は前回も実施しています)
さらに想定為替レートについて、前回に引き続き今回発表でも円高に傾け、1ドル=105円を100円に、1ユーロ=115円を110円に見直しました。
16/3期実績の為替レートは1USドル=120円で、業績に対する為替の影響は売上高が289億円、営業利益が67億円、経常利益が85億円のプラスでしたので、今期はこれが剥落する格好です。想定為替レートは2度に渡り見直されてきましたが、現在の実勢レートで行けば減益幅は縮小することになります。
エンジニアリングプラスチックスや、独自性の高い芳香族化学品において採算性が想定以上に拡大している点から、通期業績も上振れ期待が大きいのではないかと思われます。