◆売り方と日銀による我慢比べは、日銀に軍配が上がった。
今年一大ブームを巻き起こした(7974)任天堂は、米大リーグ・シアトルマリナーズの運営会社の持ち分の売却益と「ポケモンGO」のライセンス料を計上し、中間決算の純利益は前年同期比で+234%増の382.99億円で着地。
ただ、中身を見てみると売上は33%減、営業益に至っては円高の影響がありポケモンGO効果も虚しく赤字。通期見通しの下方修正まで発表したが、それでも買われるという事は配信を予定しているゲームアプリ『Super Mario Run(スーパーマリオラン)』への期待が高いという事だろう。
再度、世界的な社会現象を巻き起こしてくれるのを楽しみにしている。
ところで、日経平均はと言うと半年ぶりに高値を更新。
今回の上昇が「本物」か、疑問視する声がチラホラと聞こえているが、みなさんはどう感じているだろうか?
夏頃から為替は100円台を割り込み、商いも低迷し閑散相場が続いていた。
売り方から無理やり売り崩しを狙われてもおかしくない状態だったが、「下げそうで下げない」・・そこに日銀によるETF買いがあった為に、東京株式は「上げ下げ」を繰り返し現在に至ったのだ。
実際の所、玄人筋が売りで担がれた格好となっており、いつも勝率の高い海外投資家もここにきて渋々、買いに転じてきている。
売り方と日銀による我慢比べは、日銀に軍配が上がったと見ても良さそうだ。
◆日経に反して、新興市場は下落。押し目買いの好機か。
25日に東京証券取引所に上場した(9142)JR九州は、日本株上昇の後押しを受けて、買い気配でスタートすると、公募価格を19.2%上回る3100円の初値をつけた。
売出額が4160億円と今年最大の上場案件だったが、好調な滑り出しにひとまず安心といったところ。
ただ、投機目的の資金がJR九州に吸い上げられる事となり、新興市場にとっては逆風。日経平均の上昇が続いていることもあって、市場の関心は主力大型株に向かいマザーズ指数は週間ベースで2%弱の下落としている。
では、新興株は買わない方が良いのかと聞かれれば、そうではない。
これから年末にかけてはIPO(新規上場)の時期。あと2週間ほどは決算相場が続くが、その後は再び関心が向かうことが予想されるため、今のうちに仕込んでおくのも一手だろう。
決算という個別材料に左右されやすいが、週明けも為替が安定していれば、ここは素直に順張りで買っていける所だと考えている。
★個人的に気になる銘柄
(1835)東鉄工業
今週は、東鉄工業に注目したい。
同社は、JR東日本の駅「ホームドア」の設置や鉄道の保守・沿線再開発工事などを手掛ける会社。
先日、82歳の誕生日を迎えられた皇后美智子様だが、この1年間を振り返る記者の質問に対して、文章で回答され「最近心にかかること」として「視覚障害者の駅での転落事故が引き続き多い事」を挙げ、「ホームドア」の普及が理想と訴えた。
最近では、目まい・体調不良や会社終わりの飲酒によりホームに転落する人も多いそうだ。
東京五輪で海外の方がたくさん日本に訪れるが、ただスポーツ観戦をするのではなく日本の文化にも触れることとなる。
治安の良さだけでなく、国民の足である電車の駅にもホームドアを設置し、目に見える形での安全をアピールしてほしいところだ。
株価に目を向けると、5日と25日の移動平均線でゴールデンクロスを形成しておりPERも11倍と割安で貸借倍率も対等。1日の出来高が少ないことから株数には注意が必要だが、安定した企業なので中長期の投資スタンスで考えてみるといいだろう。
本村