明日の株式相場に向けて=「ナスダック暴落気配」に身構える市場
週明け27日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比366円安の3万9565円と続落。好事魔多しというが、今回こそはトランプ・エフェクトによって打ち破ると期待された日経平均3万8000~4万円のボックスを抜けきれず、またも踵を返す展開に変わった。下値では押し目買いが厚く、今しばらく逡巡した後に4万円台活躍へ再チャレンジする場面も当然考えられるが、このボックス圏をブレークする作業はそう簡単ではないことを改めて投資家の脳裏に焼き付けたともいえる。きょうの相場はある意味異色で、値上がり銘柄数が全体の8割近くを占めるなか一時400円を超える下げとなった。
ここまで相場の牽引役を担っていた銘柄が売りのターゲットとなった形だ。その最たる銘柄はアドバンテスト<6857.T>で、一時900円を超える急落をみせ一気に9100円台に売り込まれた。同社は米エヌビディア<NVDA>の製造するGPU向けに半導体テスターを半ば独占的に供給している。したがって、東京市場ではエヌビディアの関連最右翼という位置づけで急速人気化し、直近は再び1万円大台を突破して上場来高値圏で強調展開を見せつけていたのだが、きょうは予期せぬ横殴りの突風にバランスを大きく崩した。
横殴りの突風が生じたのは、中国の新興AI企業が開発した画期的なオープンソース型AIモデル「DeepSeek」が米メディアを賑わしたことによるもので、高性能かつ低価格のAIモデルとして脚光を浴びた。エヌビディアが米国の対中半導体規制に抵触しないように中国向け仕様で設計した「H800」というワンランク下の半導体にもかかわらず、米国のトップレベルのAIを上回る性能を実現したと報じられ耳目を驚かせた。これによって何が起こるかということを想像するのは容易だ。端的に言えば、エヌビディアがドル箱とする最先端スペックのGPUを、高い金額で購入する必要性に疑問符が付く。
DeepSeekに関する報道が事実として、生成AI市場の拡大については福音と言える部分もある。AI開発投資がデフレ化することで周辺企業のビジネスコストが低減され、結果として最先端AI開発の障壁が低くなり、市場活性化へとつながっていく。しかし、AI用半導体を製造・販売している側にとっては由々しき事態である。エヌビディアは前日の米株市場で3%安に売られた後、時間外取引ではそれほど深押しはしていなかったが、今晩の米株市場で売り直される可能性が高く、それを見込んでアドテストへの売り攻勢が助長された格好となった。これに併せてデータセンター関連株への売りが波及、アドテストと両輪で全体相場を盛り上げていたフジクラ<5803.T>や古河電気工業<5801.T>といった電線株も急落。更にトランプ米大統領が打ち出した米AIインフラへの巨額投資計画の司令塔としてクローズアップされた孫氏率いるソフトバンクグループ<9984.T>も、3兆円拠出の方針が報じられた直後で、カウンターパンチを食らったような下げとなった。
きょうは、アドテスト、ソフトバンクG、東京エレクトロン<8035.T>の3銘柄で何と日経平均を530円あまりも押し下げた。この3銘柄を除けば日経平均は楽々プラス圏で着地していたことになる。実際、値上がり銘柄数がプライム市場の約8割を占め、TOPIXの方は終盤上げ幅を縮小したものの終始プラス圏で推移した。
前述したようにAI関連が総見送りとなるような材料ではないが、今晩のナスダック市場は大荒れとなりそうで、東京市場でも急ピッチで株価を切り上げてきた銘柄は当面様子見か。ただし、マーケットを取り巻く資金はしたたかであり、きょうあたりはバイオ関連の中低位株に短期筋のローテーションが観測された。先駆するレナサイエンス<4889.T>の背中を見ながらの鉄火場だが、割り切り前提でキャンバス<4575.T>やセルシード<7776.T>の押し目、もしくは免疫生物研究所<4570.T>の初動買いなどに妙味がある。このほかバイオ以外では、農業総合研究所<3541.T>の300円絡みのもみ合いは仕込み好機に映る。
あすのスケジュールでは、24年12月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に、また基調的なインフレ率を捕捉するための指標が午後取引時間中に開示される。海外ではハンガリー中銀が政策金利を発表するほか、12月の米耐久財受注額、11月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、1月の米消費者信頼感指数などに関心が高い。このほか、米債券市場では7年物国債の入札が行われる。なお、この日は香港市場が短縮取引で、韓国、中国、台湾、インドネシア、ベトナムなどアジア市場が休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
ここまで相場の牽引役を担っていた銘柄が売りのターゲットとなった形だ。その最たる銘柄はアドバンテスト<6857.T>で、一時900円を超える急落をみせ一気に9100円台に売り込まれた。同社は米エヌビディア<NVDA>の製造するGPU向けに半導体テスターを半ば独占的に供給している。したがって、東京市場ではエヌビディアの関連最右翼という位置づけで急速人気化し、直近は再び1万円大台を突破して上場来高値圏で強調展開を見せつけていたのだが、きょうは予期せぬ横殴りの突風にバランスを大きく崩した。
横殴りの突風が生じたのは、中国の新興AI企業が開発した画期的なオープンソース型AIモデル「DeepSeek」が米メディアを賑わしたことによるもので、高性能かつ低価格のAIモデルとして脚光を浴びた。エヌビディアが米国の対中半導体規制に抵触しないように中国向け仕様で設計した「H800」というワンランク下の半導体にもかかわらず、米国のトップレベルのAIを上回る性能を実現したと報じられ耳目を驚かせた。これによって何が起こるかということを想像するのは容易だ。端的に言えば、エヌビディアがドル箱とする最先端スペックのGPUを、高い金額で購入する必要性に疑問符が付く。
DeepSeekに関する報道が事実として、生成AI市場の拡大については福音と言える部分もある。AI開発投資がデフレ化することで周辺企業のビジネスコストが低減され、結果として最先端AI開発の障壁が低くなり、市場活性化へとつながっていく。しかし、AI用半導体を製造・販売している側にとっては由々しき事態である。エヌビディアは前日の米株市場で3%安に売られた後、時間外取引ではそれほど深押しはしていなかったが、今晩の米株市場で売り直される可能性が高く、それを見込んでアドテストへの売り攻勢が助長された格好となった。これに併せてデータセンター関連株への売りが波及、アドテストと両輪で全体相場を盛り上げていたフジクラ<5803.T>や古河電気工業<5801.T>といった電線株も急落。更にトランプ米大統領が打ち出した米AIインフラへの巨額投資計画の司令塔としてクローズアップされた孫氏率いるソフトバンクグループ<9984.T>も、3兆円拠出の方針が報じられた直後で、カウンターパンチを食らったような下げとなった。
きょうは、アドテスト、ソフトバンクG、東京エレクトロン<8035.T>の3銘柄で何と日経平均を530円あまりも押し下げた。この3銘柄を除けば日経平均は楽々プラス圏で着地していたことになる。実際、値上がり銘柄数がプライム市場の約8割を占め、TOPIXの方は終盤上げ幅を縮小したものの終始プラス圏で推移した。
前述したようにAI関連が総見送りとなるような材料ではないが、今晩のナスダック市場は大荒れとなりそうで、東京市場でも急ピッチで株価を切り上げてきた銘柄は当面様子見か。ただし、マーケットを取り巻く資金はしたたかであり、きょうあたりはバイオ関連の中低位株に短期筋のローテーションが観測された。先駆するレナサイエンス<4889.T>の背中を見ながらの鉄火場だが、割り切り前提でキャンバス<4575.T>やセルシード<7776.T>の押し目、もしくは免疫生物研究所<4570.T>の初動買いなどに妙味がある。このほかバイオ以外では、農業総合研究所<3541.T>の300円絡みのもみ合いは仕込み好機に映る。
あすのスケジュールでは、24年12月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に、また基調的なインフレ率を捕捉するための指標が午後取引時間中に開示される。海外ではハンガリー中銀が政策金利を発表するほか、12月の米耐久財受注額、11月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、1月の米消費者信頼感指数などに関心が高い。このほか、米債券市場では7年物国債の入札が行われる。なお、この日は香港市場が短縮取引で、韓国、中国、台湾、インドネシア、ベトナムなどアジア市場が休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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