「米利上げの目的は、明らかにドル防衛」
日経平均の日足チャートでは、陽線が出現。ザラ場中での買い意欲の強さを示唆している。チャートは強気形状を維持しており、上昇しやすい状況。上方の近くに目指すべき窓は存在していないが、軸の傾き(恐らく緩やかに上向き)にしたがって上昇することになるだろう。
株価の押し上げ要因として意識されているのは、早期の米利上げ観測だ。FOMCメンバーの発言によって、「6月利上げ説」がにわかに浮上。実際の米国経済は利上げなんてしている場合ではないのだが、足元の経済指標がそこそこ良好。「利上げは可能」と判断しているようだ。
だが、米国が利上げしようとする理由は、ただひとつ。「ドル防衛」だ。米国は巨額の財政赤字を抱えており、ニッチもサッチもいかない状況となっている。毎年のように債務上限問題が浮上し、政府と議会の対立が恒例行事みたいになっている。常にギリギリの状態で延命しているのが実情であり、実体経済もそれにリンクしてまったく浮上の兆しは見えていない。重要な経済指標は為政者によって恣意的に操作されており、まったく信用できるものではない。利上げの判断となる経済指標そのものが信用に足るものではないのだ。
NYに拠点を置く金融支配者にとって、ドルという不換紙幣の通貨発行権は、誰にも譲ることができない大きな既得権益となっている。それを維持するためには、ドルそのものの価値を保つ必要があり、そのための利上げというわけだ。
通貨というのは、金利に対して敏感だ。あくまでも短期的な要因ではあるのだが、お金は金利の高い方へと流れる。日欧がマイナス金利を導入するなか、米国だけが利上げ方向となれば、当然、金利裁定の面から為替相場はドル高へと誘導される。それが米利上げの狙いとなる。通貨発行権を半永久的に維持するために、ドル高を誘導しているのである。FRBという打ち出の小槌を使って、米国のみならず世界を支配する道具として「ドル」が使われている。だから、FRBは性善説に基づいて、「米国民のために景気調整を行っている」などと、決して思わないほうが良いだろう。FRB自体は米銀行群の親玉みたいな存在なのであり、決して国民目線で行動していない。あくまでも「ドル延命」に主眼を置いているのである。
そのようななか、マスコミは「舛添攻撃」の手を緩めていない。自民党の推薦を受けて誕生した都知事だったはずだが、なぜここまで攻撃されなければならないのか――。もちろん背景には、「舛添不要論」があるのだろう。
東京オリンピックというは、「利権の塊」であるとも言える。舛添氏は政府の意向に反して、都予算からの巨額拠出を渋ってきた。「自民党のおかげで都知事になれたのに、恩を仇で返すとは何事か」ということであり、最近の舛添攻撃はそういった確執が背景にあるのだろう。そもそも都知事選においては、「猪瀬票と舛添票の妙な連動性」も指摘されている。そのような意味で政府サイドによる「恣意的な人選」は明らかと言えよう。なので、「都合が悪くなったらあらゆる手段を使って切る」ということにもなる。それが、最近の「舛添バッシング」の背景であると言えよう。そのようななか、IOCのバッハ会長は招致不正疑惑に対して大激怒。展開次第では、「東京五輪返上」も辞さない様相となってきた。これは東京株式市場にとって、末恐ろしいリスクとなっている。「東京都はもっと金を出せ!」「舛添は威張るな!」なんて内輪もめしていると、「五輪消滅」という鉄槌が下るかもしれない。