「偽者サンタが登場、参加者は失望」

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最新投稿日時:2015/12/18 20:06 - 「「偽者サンタが登場、参加者は失望」」(黒岩泰)

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「偽者サンタが登場、参加者は失望」

著者:黒岩泰
投稿:2015/12/18 20:06

「やってはいけない米利上げで市場は大混乱へ」

 本日の日経平均は366.76円安の18986.80円で取引を終了した。朝方は米株安などを受け小幅安のスタートとなったものの、お昼過ぎに日銀金融政策決定会合の結果が発表されてからは株価が急伸。その後は大失速となった。日銀が「追加緩和もどき」の「補完措置」を発表し、それをマーケットは好感。しかし。その中身を吟味していくと、「大したことはない」との見方が広がり、株価は下げ足を速めた。

 日銀は、「ETF買い入れ枠の増額」「REITの買い入れ限度額引き上げ」「長期国債買い入れの平均残存期間の長期化」を発表した。細かい話は割愛するが、かいつまんで言うと、「次回バズーカのための準備」ということになるのだろう。だから、「追加金融緩和」ではなく、「補完措置」という名前になっている。たとえるならば、「サンタクロースがプレゼントを大量に配るため、大きな袋を用意した」といった感じだ。実際にプレゼントを配るわけではなく、袋だけを用意したのだ。マーケットが失望するのも当たり前である。

 マーケットはいたって冷静だ。初期反応こそ、アルゴの先物買い、売り方の買い戻しに翻弄されたが、その後は徹底的に売り叩く形。マーケットは「偽者サンタ」を10分ほどで見抜いたのだ。「そんな小手先の言葉遊びには騙されません」と言わんばかりに、売りで反応した。結果、日経平均は大幅安となり、チャートは一瞬にして弱気形状へと変化。米利上げを契機としたリバウンド相場も、あっさり終了ということになる。

 日経平均の日足チャートでは、非常に珍しい形が出現した。上下の窓を同日に埋めるという「窓理論の法則4の買い」の形状。まさかこんな激しい動きになるとは、誰が想像したであろうか。

 でも、チャートではきっちり上方の窓を埋めたことで、その後、下方の窓を埋める展開。きれいな窓埋めの形が出現している。チャート上の“低いところ(出来高が少ないところ)”を埋めただけであり、特別、変な動きはしていない。いたって素直に動いているのだ。

 しかし、窓理論では「買い」となっているが、実際には下値メドとなる下方の窓下限(19054.89円)を下抜けている。軸が下向きに傾いている可能性が高く、目先は下方向に動く公算が大きい。チャートはそう語っている。

 これだけ激しい値動きになると、正直、投資家の疲労感は尋常ではないだろう。特にザラ場にトレードしている個人投資家は、うまく波に乗れていれば良いが、「単に振り回されて終わり」というケースも多いことだろう。「動けば動くほど損をしていく」――そんな不甲斐ない自分に苛立っているはずだ。

 なぜそうなってしまうのか。それは自分の相場観で動いているからだ。特に本日のような急騰劇を目の当たりにすると、どうしても買いたくなってしまう。売り方ならば、急いで買い戻ししたくなってしまう――それが間違いということだ。「自分が損をしたくないから損切りする」――この行為がいかに愚かなことか、投資家はあまり気づいていない。「損失を回避するのは、当然の行動だ」と自信を持って言うが、結果として「損失の上塗り」となることが実に多い。そして今度は下がってくると、売りたくなってしまう――。一体全体、何をやっているのだろうか・・・。

 株式投資には戦略が必要だ。「こうなったら買う」「こうなったら売る」と予めルールを決めておき、その通りに行動する。例外は許されないのだ。

 もし、途中で我慢できなくなって、損切りするのであれば、そのルール自体が甘いということになる。リスクの許容範囲の設定が不完全ということであり、最初から設定をやり直さなければならない。

 株式市場は誰も経験したこともない「波乱の時代」を迎えている。なぜ、そう言えるのか。それは米国がやってはいけない利上げを実施してしまったからだ。これは究極的にはドルや米国債の消滅を含む恐ろしい選択肢となっており、ある意味「禁断の果実」。一時的に自分たちが浮上するために利上げに踏み切ったのだが、将来的にはその危機が米国へと回帰してくる。溺れかけた友達の肩に乗り、何とか延命しようとしている――そう見えなくもないのだ。しかし、結局のところ「総溺死状態」になるのは不可避であり、誰も助けることはできない。そういった意味で米利上げは自爆行為であり、新たな金融システム構築のきっかけとなるだろう。当然、日本も巻き添えを食うのは必至であり、究極的には円消滅もありうると考えたい。円という通貨でリスク資産を買いまくるという危険行為を、日銀は平然と行っているからだ。ここに危機意識を持たざるを得ないのである。
投資家たちはそこに銀行があり、証券会社があり、そして株式市場があると考えている。しかし、いったんコトが起こると、それは普通ではなくなる。あるとき、突然、市場が閉鎖されたり、預金封鎖が起こったりする。投資家は常に、その緊急事態を考えておく必要があり、心の準備をしておかなければならない。それは明日、突然起こっても、何の不思議もないからだ。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想

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