~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
日本銀行は18日まで開催した金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」を補完するための措置を導入すると発表しました。
株価指数連動型上場投資信託(ETF)の買入れについて、現在の年間3兆円の買入れに加え、新たに年約3000億円の枠を設け、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象するETFを買入れます。
当初は、JPX日経400に連動するETFを買入れ対象とし、この施策の趣旨に合致する新規のETFが組成された場合は、速やかに買い入れ対象に加えるとしています。
日銀が新たな枠組みを示したことで、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を投資対象にするETFが、今後組成される可能性がありそうです。
■「日銀ETF買い」資金流入の有力候補は?
政府も企業に対して設備投資を拡大するように促しており、日銀としても政府の方針に歩調を合わせた形です。
まず設備投資額が大きい業種として挙げられるのが、業績好調な自動車メーカーです。(7203)トヨタ自動車は、燃料電池車などの研究開発費を増やし、前年から1.9%増の1兆2000億円の設備投資を実施する見通し。(7201)日産自動車は、同18.8%増の5500億円と2ケタ増を見込んでいます。
また、増加幅が大きいところでは、電機大手の(6758)ソニーが筆頭格。需要が伸びる画像センサーなどへの設備投資を増やし、前年比103%増の5100億円と攻勢をかけます。
円安の追い風を受けて業績が好調な自動車、電機などの製造業は、設備投資に積極的に取り組んでいるとして、投資対象に組み入れれるものとみられます。
■「人手不足」の業種にも注目を
他方、人材投資に積極的な企業には、(9983)ファーストリテイリングや(3382)セブン&アイ・ホールディングスなど小売り業の顔ぶれが目立ちます。
接客が必要なサービス業は、人間が行う作業を機械に置き換えることが難しい業種です。小売りや外食、旅行産業などは人手不足を受けて積極採用を行っており、人材投資に積極的な企業といえそうです。
小野山 功