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内閣支持率と株価


オリンピックも終わり株価に関心が集まるようになりました。

早速朝日新聞のデジタル版に、8日に実施した調査で「菅内閣の支持率が30%を切り最低を更新した」とあります。ただこの新聞社は、社説でオリンピック開催に反対をとなえ、その後も執拗に菅内閣のコロナ対策に異論を唱えていましたので、またかと注目されなかったようです。そのうえオリンピックが成功だったと答えた人が6割を超えていたため、ヘッドラインとの格差から、調査の正確性に疑問を持った人も多かったのでは。そのためか、この記事は午後にはネット上から姿を消してしまいました。

私は、「投資環境は内閣が作る」としていますので、内閣支持率には特別な関心を持っています。事実、株価は、安倍内閣が誕生し、民主党政権が自民党を中心とする政権に移ったことで、大きく変わりました。総選挙が決まった2012年12月14日の8,664円から、2020年9月16日の23,360円まで、8年間に2.7倍にまで上昇したのです。

政治が株価を押し上げたことは間違いありません。ところで安倍首相退陣の後を引き継いだ菅内閣の1年間の株価は、1時期30,000円を超える時期もありましたが、その後はコロナ感染者の増大懸念から値を下げ、現在は28,000円を割り込む状況にあります。

菅内閣は、発足以来安倍内閣で取り残した政策を矢継ぎ早に実行しています。
(1)学術会員の任命権の行使
(2)通信料金の大幅な値下げ
(3)憲法改正の国民投票制度制定
(4)原発処理水の海洋投棄
(5)日米防衛力強化とクワッド体制の確立
(6)マスコミの反対下でもオリンピックの強行
(7)コロナワクチン確保のための先行投資
個々についての功罪は省きますが、安倍首相が8年間かけて計画した(実行できなかった)ことが、菅内閣の1年間でやってのけたことになります。

それなのにどうして支持率が低迷しているのでしょうか。桜を見る会や、大規模な選挙違反をあげる人がいますが、それは安倍内閣の問題で、それを菅内閣の政局にしても、対政党の支持率は相変らず低迷したままで、マスコミの論調も政治の世界では空回りしているように見えます。

ただ、気になるのはSNSの支持率が、マスコミに引きずられていることです。SNSでは理屈ではなく、首相の態度が気に食わないとか、目つきが悪いとか、好き嫌いで判断している人の投稿が目立つことです。SNSは大衆の意見の反映かもしれませんが、数字が独り歩きをすることが問題で、コロナ対策では一層浮き彫りになった感じです。

菅首相はコロナ対策で一部のマスコミから政治責任を問われていますが、世界のコロナ感染者が2億人に達した以上、経済活動を止めるロックダウンやソーシャル・ディスタンスでは限界があり、ワクチンによる社会免疫以外考えられない状況となっています。ワクチンを打ち重症化を防ぎ、死亡者を少なくし、その間に副作用のないワクチンと回復薬の開発を進め、獲得を待つよりほかに方法がないのです。

菅首相はワクチンの開発では遅れを取りましたが、現在主流を占めているメッセンジャータイプのワクチンに先行投資し、獲得に先手を取っています。この辺の事情は、8月8日の韓国中央日報日本語版で、「韓国、ワクチン接種完了率でOECD最下位…コロンビアにもリードされた」と題して報道しています。

それによると、「韓国が8日現在、経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国の中で新型コロナワクチン接種完了率が最も低いということが分かった。……韓国のように接種を2月に始めた日本とコロンビアの接種完了率はそれぞれ32.9%、25%で、韓国との格差はさらに広がっている。……8日、ブルームバーグのワクチントラッカーによると、最近一日平均接種回数が日本は226万9209回である反面、韓国は30万1333回だった。韓国はワクチンさえ充分であれば、一日に100万回接種も可能な医療力を備えているというのが専門家の意見だ」と。

世界では有効なワクチン獲得に向けて国家間の熾烈な取り合いとなっています。一方では、ワクチン接種が進んだ国でも、コロナ感染の再拡大に面して、その効果に疑問が投げかけられていますが、ワクチンが最終的な解決策になることに意義を挟む専門家はありません。

日本ではオリンピックが終わっても、夏休みや高校野球と感染増大に対するリスクは減りそうにありませんが、8月は、コロナ感染とワクチンとの綱引きで、何とか今のままの位置でとどまるようでしたら、トンネルの出口は見えてきます。

内閣の支持率発表は、朝日新聞が先行しましたが、世界的にこれだけの感染者が出る中で、どのような対策があるというのでしょうか。この会社が主催する高校野球を無観客でやれというのでしょうか。オリンピックが成功裏に終了したことを受けて、これから発表される支持率にどのような影響が出てくるのでしょうか。

山の日の休日が日曜日になった関係から、日本では株取引は9日(火曜日)がオリンピック終了後の初日となります。オリンピック期間中、アメリカの株価だけが突出して堅調でしたが、米中問題はより深刻化し、中国でも市場での株価形成が国家統制色を強め、一部のゲームを「アヘン」とまで決めつけています。これを受けてアメリカ市場では、中国銘柄が大幅に下落し、日本でも7日付の日経で、「ソフトバンクグループ」と「任天堂」株が2番天井を付けた可能性を指定しています。

世界的にみて金利は上昇局面に入り、余剰資金が物価の上昇を招くインフレ経済に移行してきています。日本でも日銀が早々と株式購入を取りやめ、資金供給を抑えにかかっています。今までのようにアメリカ株、グロース株一辺倒ではなく、インフレを前提とした資産株に目が向きそうです。最近物色されてきた海運、鉄鋼、金融などのオールドファッション銘柄が年末までの主力となるとみています。

皆様方のご活躍願っています。


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