【投資脳のつくり方】検証・小泉時代、不良債権処理…

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【投資脳のつくり方】検証・小泉時代、不良債権処理…

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みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下 晃伸(きのした てるのぶ)です。

本日の日経平均株価は下落、投資家の心理を表す騰落レシオも、
前回楽観を示す130ポイントをつけてから、
三度目の75ポイント割れとなりました。

これだけ株式市場が軟調だと、投資に参加する方も減少傾向にあると思います。
これは直近でいえば、2002年、2003年ごろに近いというイメージがあります。

実際には、このタイミングで株式投資を始めれば、
大きなリターンが上がったのですが、当時は邦銀の不良債権問題等、
金融危機の真っただ中。投資参加者は少ない状況だったのです。

今回は、そのタイミングを、日経新聞の特集記事をベースに
取り上げてみたいと思います。ヒントは過去に眠る。
日本の金融危機を振り返ることは、非常に意義のあることだと考えています。

●不良債権
金融危機は古今東西、時が癒してきました。
しかし、時が癒す前までは、悲観論一色。いまは、まさに悲観一色です。
このタイミングで市場に居続けるだけでも相当な精神力が求められます。

投資は基本的に苦しい時が多いもの。いまの市場環境は、
投資家の精神力を試していると思います。
乗り越えるためには、学ぶしかない、というのが
いつも苦境に立たされたときに私が心がけていることです。

●それでは、雑誌「マネージャパン」ホームページに平日毎日連載している
「経済アナリストが斬る!投資に役立つ3大ニュース」をご覧下さい。

本日もよろしくお願い申し上げます。

※本資料の利用については、必ずプロフィール画面の
重要事項(ディスクレーマー)をお読みいただいた上、ご利用ください。

┏━ 【経済アナリストが斬る!投資に役立つ3大ニュース】 ━━━━━┓

1.検証・小泉時代、不良債権処理、厳格措置で危機克服
2.ハードディスク駆動装置、富士通、米大手に売却へ
3.米政府の低利融資実現
http://www.terunobu-kinoshita.com/20081002-toushinou.pdf

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1.検証・小泉時代、不良債権処理、厳格措置で危機克服

(出所)2008年10月2日付日本経済新聞朝刊4面より

 ●小泉時代を検証することは、意義あること
 ●米金融危機は、小泉時代を検証することで分かる
 ●米金融株は、現時点だからこそ投資妙味がある

日経新聞の特集記事、小泉構造改革の検証。賛否両論あろうが、
小泉改革は、投資家目線から見れば、評価に値すると考えている。
たしかに、小泉氏が前半の政権運営で直面したのが深刻な不良債権問題だった。
金融市場は対処の甘さを突き、
日経平均株価は03年4月に7,607円のバブル後最安値をつけ、
01年4月の首相就任直後の半分の水準に落ち込んだ。
しかし、強力な不良債権処理策に景気好転も加わって株価はV字回復し、
不安は解消した。

この期間をファンドマネジャーとして最前線で経験したことは、
今回の米金融危機を考える上で非常に役立っている。
というのも、金融危機に陥った流れ、
さらに危機が解消に向かおうとしている流れも、
日本の金融危機とほぼ同じ流れであるからだ。

当時、節目となったのは竹中経財相(当時)に金融担当相を兼務させた02年。
大手銀行に従来と段違いで厳しい資産査定や自己資本の充実などを求めた
「金融再生プログラム」を示した。
りそな銀行が実質国有化され、
みずほフィナンシャルグループなども資本増強に走った。
金融庁による基準の見直しなどに銀行の不信も募ったが、
結果的に不良債権の呪縛(じゅばく)から抜け出すきっかけになった。
いま米ポールソン財務長官が行おうとしている戦略は非常に近いものがある。
米金融株に対して強気のスタンスに転換しているのは、
小泉・竹中改革をしっかりと学んだためだ。

なお、日本の金融危機をさらに知りたい方には
「検証バブル 犯意なき過ち」という書籍が有効だ。ご一読いただきたい。

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2.ハードディスク駆動装置、富士通、米大手に売却へ

(出所)2008年10月2日付日本経済新聞朝刊1面より

 ●国内電機大手の事業売却、過去最大規模
 ●買収よりも撤退が株価を上昇させる
 ●景況感悪化時期には、リストラに注目

富士通はパソコンやデジタル家電のデータ記憶に使う
ハードディスク駆動装置(HDD)事業を、
同市場で世界2位の米ウエスタンデジタルに売却する方向で調整に入った。
年内の合意を目指す。富士通のHDD事業は同6位で年間売上高は3,300億円強。
国内の電機大手の事業売却では過去最大規模になる。
ただ、これは予想されていたことだ。

米調査会社ガートナーによると、富士通のHDDのシェアは7%。
2007年度の売上高は前年度比0.9%増の3,327億円。
連結売上高の6%強を占める主力事業の一つだが、
営業損益は数十億円の赤字だったもようだ。
パソコンやゲーム機、DVDレコーダーなどデジタル家電の急速な価格下落に伴い、
これらの機器に搭載するHDDの採算は悪化している。
生き残りには生産規模の拡大が欠かせなくなっており、
富士通は自力での事業継続を断念する。
ウエスタンデジタルの世界シェアは27%と
米シーゲイト・テクノロジー(33%)に次ぐ2位。
富士通の事業を買収するとシーゲイトとほぼ肩を並べる規模になる。

株価は買収よりも撤退のほうにプラスインパクトが与えられるケースが多い。
買収はシナジー効果が働くかどうか不透明であるし、
そもそも買収価格に妥当性があるかどうかは、意見が分かれることもある。
しかし、撤退は、不採算事業の分離であることが多く、
収益改善期待や集中戦略による経営の方向性が分かりやすくなることで、
株価はプラスに反発する。

本日の株価下落の中、富士通株価は逆行高している。
リストラ銘柄はこれからも引き続き投資家から注目を集めることになるだろう。

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3.米政府の低利融資実現

(出所)2008年10月2日付日本経済新聞朝刊11面ほか

 ●30年ぶり、ビッグスリーが資金支援を受ける
 ●米個人消費の悪化は、相当なレベルに
 ●GM、フォードは復活するか?

ビッグスリーが政府の資金支援を受けるのは二度目だ。
一回目は30年ほど前。
経営破綻の瀬戸際にあったクライスラーを生き延びさせるための
正真正銘の「政府救済」だった。

ただし、状況は芳しくない。一日まとまった9月の米新車販売台数は
前年同月比26.6%減の964,873台と、17年ぶりの低水準に落ち込んだ。
前年割れは11カ月連続となる。

米調査会社オートデータがまとめた年率換算の9月の販売台数は1,250万台だった。
湾岸戦争で個人消費が低迷した1991年(1,230万台超)以来の低水準。
米メディアによると、単月での百万台割れは93年以来、15年ぶり。

日米大手六社では、ゼネラル・モーターズ(GM)が大掛かりな割引販売で
減少幅を15.5%に食い止めたものの、フォードやクライスラー、
トヨタや日産自動車は減少幅が30%を超えた。
トヨタの減少幅は87年7月以来最大。
このところ販売が堅調だったホンダも24%の減少。

製造業も金融業と同様にみなす必要がある企業が多い。
低利融資は実現可能という見方が強かったとはいえ、
実際に実現したということは大きい。引き
続き、GMやフォードは「復活」をキーワードに見ていきたい。

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◇発行人/編集人  
木下晃伸(きのしたてるのぶ)  (社団法人)日本証券アナリスト協会検定会員
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