◇ 期間延ばしてワク削る = 金融庁がNISA(少額投資非課税制度)の改正に乗り出した。NISAというのは、毎年120万円を限度に、株式や投資信託への投資で得た売買益や配当を非課税にする制度。14年1月にスタートし、ことし3月末には口座数が1012万件に達した。だが最近は口座数がほとんど増えなくなったため、金融庁が制度を改正しテコ入れすることになった。
改正案の内容は、現在5年間となっている非課税期間を20年に延長する。その代わり、いまは毎年120万円となっている預け入れ限度額は年60万円程度に縮小するというもの。この2点を軸に財務省ともすり合わせ、来年度の税制改正大綱に盛り込む方針。非課税の期間は延ばすが、利用できる限度ワクは縮小する。これでは優遇措置が強化されたのかどうか、きわめて判りにくい。
政府はことし4月から、ジュニア版NISAも発足させた。こちらは未成年の子どもや孫を名義人とし、親や祖父母が非課税で投資できる制度。毎年80万円が限度で、教育資金の積み立てや生前贈与の促進を狙っている。ところが成績は絶不調。5月末で4万8600件しか利用されていない。業界では、名義人が18歳になるまで引き出せない規制がネックになったと指摘している。
だがジュニア版がスタートした4月から5月末までに、日経平均はわずかではあるが下落している。こうした環境では、投資はしにくい。おとな版NISAが伸び悩んだのも、株価の低迷が響いているのだろう。金融庁は姑息な改正案よりも、株価を上昇させるような政策を考えることが本道と心得るべきだ。
≪25日の日経平均 = 下げ -41.35円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫