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2月10日の海外株式・債券・為替・商品市場

2月10日の海外株式・債券・為替・商品市場
2016/02/11 08:10 JST




◎NY外為:FRB議長証言でボラティリティ上昇、1ドル=113円台に

10日のニューヨーク外国為替市場ではボラティリティが2012年以来の高い水準に上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は金融市場の混乱が続いた場合、政策当局が予想する2016年における複数回の利上げという道筋から外れる可能性があることを明確にした。

円は対ドルで2014年10月以来の高値水準に上昇。ドルの指数は3カ月ぶりの低水準に達した。ユーロ・ドルの1カ月物インプライドボラティリティ(IV、予想変動率)は2カ月ぶりの高水準となり、ドルに対する円の変動を示す同様の指標は13年7月以来の高水準付近で推移した。

12月16日の利上げから8週間経過し、米金融当局者らは金融市場の混乱や海外の見通し悪化が米経済見通しと追加の金融政策引き締めの必要性を弱めるのかどうか、判断に苦しんでいる。市場が織り込む年内の利上げ確率は50%未満に低下している。

サクソバンクの通貨戦略責任者、ジョン・ハーディー氏は「これはリスクテーク意欲にとって総じてマイナスだ」と指摘。「米金融当局に対する期待が大幅に巻き戻されているのを見ると、市場はこれ以上のことを強く求めていた」と述べた。

オプション市場の動向によると、ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロ・ドルのボラティリティは12%に上昇。円のボラティリティは13.3%となっている。JPモルガン・チェースの世界の通貨ボラティリティ指数は11.9%と、終了ベースでは2012年6月以来の高い水準となった。

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.3%下げて1217.08。円は対ドルで1.5%高の1ドル=113円40銭。

オッペンハイマーファンズのグローバル・マルチアセット・グループのマネーマネジャー、アレッシオ・デロンジス氏は「ややリスク回避のセンチメントが広がる今の状況は変わらないだろう」と指摘。「引き続き円の支えになるのは確実だ」と述べた。

中国の減速が世界のその他の地域の成長抑制につながるとの懸念を背景に、為替や債券、株式市場ではボラティリティの高い状況が続いている。イエレン議長は中国の経済見通しや為替政策をめぐる不透明感により「世界の成長に対する懸念が増幅」され、原油など商品の直近の価格下落につながったと指摘した。

イエレン議長は3月利上げの可能性は残したものの、政策引き締めの予定や次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合など具体的な言及はなかった。次回FOMC会合は3月15、16両日に開催される。

イエレン氏は「米国の金融環境は最近、経済成長への寄与度が低下してきている」と発言。「そうした状況が根強く続いた場合、経済活動や労働市場の見通しを圧迫する可能性がある」と続けた。





◎米国株:S&P500種4日続落、FRB議長で売り止まらず

10日の米国株は総じて下落。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)の議会証言は、米国株への売り浴びせを止められるほどハト派的ではないと受け止められた。S&P500種株価指数は4日続落。この日は取引終了1時間前に騰勢を失った。

イエレン議長は株式市場の混乱で利上げ予定が後ずれする可能性を示唆したが、市場参加者の間では金融市場の混乱が経済をリセッション(景気後退)へと引きずり込む恐れの方が強かった。

S&P500種株価指数は0.1%未満下げて1851.86 。ナスダック総合指数は0.4%上昇。ダウ工業株30種平均は99.64ドル(0.6%)安の15914.74ドル。ダウ平均銘柄ではウォルト・ディズニーやIBMが売られた。 
LPLファイナンシャル(ボストン)のチーフ経済ストラテジスト、ジョン・カナリー氏は「今週最大の材料がイエレン議長の議会証言で、それも終了した。今は再び原油や欧州金融機関、春節休暇明けの中国に関心が集まっている」と述べた。

イエレン議長はこの日の議会証言で、株式市場やその他市場での相場下落が景気見通しの重しになる可能性があると示唆。議長は10日、下院金融委員会で証言。事前に配布された原稿によれば、議長は「米国の金融環境は最近、経済成長への寄与度が低下してきている」と指摘した。

イエレン議長の発言は株式市場に根強くある懸念を反映している。つまり株価の上昇力が失われると景気や低迷する消費者信頼感、抑制されている個人消費が悪影響を受けるかどうかだ。イエレン議長は金融市場の大きな変動を認識しているが、米国と世界の経済成長に著しい落ち込みは見られないと述べた。

センター・ファンズのジェームズ・アベート最高投 資責任者(CIO)は「イエレン議長は世界経済や金融市場の動向、さらに金融機関にかかる負荷について無関心でいるのではない」と述べ、「議長は基本的には景気が改善しているとの前提に固執しようとしているが、恐らくは予想していたペースではなく、緩やかな利上げ軌道でしか正当化されないと考えている」と続けた。

四半期決算の発表もシーズンの3分の2を過ぎた。これまで発表したS&P500種構成企業のうち約77%で利益が予想を上回ったが、売上高が予想を上回ったのは47%だった。アナリスト予想ではS&P500種採用企業の第4四半期利益は4.5%減と、1月15日時点の予想(7%減)からは改善した。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は1%未満下げて26.29。年初来のVIXは44%上昇している。

この日はS&P500種産業別10指数の8指数が下落した。素材株やエネルギー株、金融株はいずれも下落。ヘルスケア関連株は続伸した。





◎米国債:10年債上昇、イエレン議長が緩やかな利上げ示唆

10日の米国債市場では10年債が上昇。利回りは1年ぶりの水準に下げた。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が緩やかなペースで政策金利を引き上げるとの当局の予想をあらためて示したことが手掛かり。

国債は今年に入り大きく上昇している。世界的な成長減速懸念が広がる中、株式・商品市場の混乱で国債需要が高まっているためだ。インフレ期待の低下が期間が長めの米国債を支えており、2年債と10年債との利回り格差はここ8年余りで最小となっている。この日の10年債入札では最高落札利回りが2012年以来の低水準となった。

イエレン議長は下院金融委員会での証言で、市場の混乱が影響し、政策当局者らが予想する2016年における4回の利上げが実施できなくなる可能性があるとの認識を示した。先物トレーダーが織り込む次の利上げの確率は低下。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合は3月15ー16日に開催される。

ブリーン・キャピタルのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏(ニューヨーク在勤)は「イエレン議長は4回の利上げが選択肢から外れており、3月の可能性はかなり低くなっているとのメッセージを明確に送った」と分析。「ただ市場は経済について、金融当局よりずっとネガティブな見方を抱いている」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.67%。これは15年2月2日以来の低水準。同年債(表面利率2.25%、2025年11月償還)価格は17/32上げて105 7/32。 

2年債利回りはほぼ変わらずの0.69%。2年債と10年債の利回り格差は、日中としては2007年12月以降で最小。利回り格差の縮小はつまり、イールドカーブのフラット化ということになる。

三菱UFJセキュリティーズのジョン・ハーマン氏は「イエレン議長は極めて緩やかな引き締めサイクルに入っていることを伝えている。つまり議長にはなおフロントエンド引き上げのバイアスがかかっていることを意味し、それがイールドカーブのフラット化に寄与している」とし、「同時に議長は、経済が今の低成長から抜け出す可能性は低いという事実を強調した」と述べた。

この日の10年債入札(発行額230億ドル)では最高落札利回りが1.73%と、前回1月13日の入札での2.09%から低下。1.65%となった12年12月以来の低水準だった。また投資家の需要を測る応札倍率は昨年8月以来の低水準となった




◎NY金:1200ドルが壁となり6営業日ぶり反落、利益確定の売り

10日のニューヨーク金先物相場は反落。中国が春節(旧正月)の連休となる中、需要が減退した。金は約30年ぶりの大幅高となっていることで、上げ一服感も出ている。

オプションセラーズ・ドット・コム(フロリダ州タンパ)の創業者、ジェームズ・コーディアー氏は電話インタビューで、「金は数年ぶりの大幅上昇となったことから、利益確定の動きが見られる」と指摘。「イエレンFRB議長が年内の利上げについてなお論じているという事実は、他の中央銀行が反対方向に進んでいる中で、金の支えにはならない」と述べた。

ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比0.3%安の1オンス=1194.60ドルで終了。今年に入ってからは13%上昇と、1980年以来の好調なスタートとなっている。

銀先物3月限は1.1%下げて15.282ドル。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のプラチナは下落。パラジウムは上昇した。





◎NY原油:続落、3週間ぶり安値-在庫減は一時的との見方で

10日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が続落、3週間ぶり安値に下げた。先週の米在庫が予想外に減少したのは一時的な現象に過ぎないとの見方が広がった。高い生産ペースが続いているため、在庫は再び積み上がるとみられている。米石油受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫は過去最高を記録した。

シティ・フューチャーズ・パースペクティブ(ニューヨーク)のエネルギーアナリスト、ティム・エバンス氏は電話取材に対して、「原油在庫が大きく水準を下げたのは、輸入が急激に減少した結果に過ぎない」と分析。「輸入は先送りされた可能性があり、翌週は反動で増えるだろう。長い目で見れば輸入減少は一度限りで終わり、季節要因での在庫増加はさらに進むだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は前日比49セント(1.75%)安い1バレル=27.45ドルで終了。終値ベースで1月20日以来の安値。この5営業日続落で15%下げた。





◎欧州株:ストックス600指数は8営業日ぶり反発、銀行株が上げ主導

10日の欧州株式相場は銀行株が急騰し、2013年以来の安値から反発した。銀行の信用力をめぐる懸念が後退した。

指標のストックス欧州600指数は前日比1.9%高の315.19で取引を終え、8営業日ぶりに上昇に転じた。指数を構成する19業種では銀行株指数が最大の上昇率。ドイツ銀行が一部債券の買い戻し検討を関係者が明らかにしたことで10%高となったほか、コメルツ銀行が8.2%高。イタリアのインテーザ・サンパオロとポポラーレ・ディ・ミラノ銀行も大きく買われた。
オールド・ミューチュアル・グローバル・インベスターズの欧州株責任者ケビン・リリー氏(ロンドン在勤)は「地合いがこれほど悪いときは、たいてい買いの好機だ」と指摘。「銀行株のバリュエーションは割安に見える。だが、信頼感の大きな危機を経験したばかりで、長期的な反発は依然として中銀の政策や全世界のマクロ指標に極めて左右されると思う」と続けた。

この日は米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、金融市場の混乱の中で米当局は利上げを急がないと示唆。この発言を受けてストックス600指数は一時2.9%高まで上値を伸ばす場面もあった。先週の米原油在庫で予想外の減少が明らかになったことも相場を後押しした。

このほか個別では、デンマークのビール会社カールスバーグが4%高。10-12月期の減益幅が予想より小さく、今年の増益見通しを示したことが材料視された。
4カ月にわたりドイツ不動産会社ドイチェ・ボーネンの買収を画策したものの、買収に必要な株式を買い集められなかったと発表した同業のヴォノヴィアは4.9%高。ドイチェ・ボーネンは3.9%高で引けた。



◎欧州債:イタリア債が反発、投資家は再びECB追加緩和に期待

10日の欧州債市場ではイタリア10年国債が5営業日ぶりに上昇。利回りを3カ月ぶり高水準に押しあげていた銀行不安が和らいだ。
スペイン10年債も値上がりし、ドイツ債に対する上乗せ利回り(スプレッド)はここ2週間で最も縮んだ。一方で、ポルトガル10年債は5営業日続落。クーレ理事ら欧州中央銀行(ECB)の当局者らはこのところ、3月の定例政策委員会で現在の緩和プログラムが十分かどうかを検証する方針を示している。
BNPパリバ(パリ)のシニア債券ストラテジスト、パトリック・ジャック氏は「ECBが3月に利下げだけでなく、資産購入絡みも含め何らかの決定をする必要があるのは明らかなようだ。これで特に周辺国債が幾分支えられている」と指摘。その上で、「安定化の兆しはあるが、非常にもろいままだ」と付け加えた。
ロンドン時間午後4時9分現在、イタリア10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.64%。同国債(表面利率2%、2025年12月償還)価格は0.39上げ103.30。利回りは前日1.77%に上昇し、昨年11月9日以来の高水準となっていた。
スペイン10年債利回りは3bp低下の1.72%。ドイツ債とのスプレッドは148bpに縮まった。ポルトガル10年債利回りは4bp上昇して3.71%。前日は一時、14年以来の高水準となる3.73%に達していた。ドイツ10年債利回りは1bp上昇の0.25%.



ブルームバーグ抜粋
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