「ミステリ・マガジン」三月号が昨年度の翻訳ミステリの回顧特集をおこなっていて、
〈私のベスト3〉という三十人の回答をならべている。
本誌の読者が知っているであろう名前をあげれば、
たとえば村上春樹氏は、
1「ファイアスターター」(S・キング)、
2「レイチェル・ウェレスをさがせ」(R・パ-カー)、
3「魔性の殺人」(L・サンダース)で、
とくに、スティーブン・キングを称揚している。
(文芸誌、週刊誌の書評家が、ミステリをせめて五百冊ほど囓っていれば、
「羊をめぐる冒険」の結末をバラしてしまう等という心ない真似はしなかっただろう。)
(略)
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★「地獄の読書録」
小林信彦著 ちくま文庫 1989.5.30.第1刷 P.464~465より抜粋
ミステリ界の閻魔大王・小林信彦は、
他の箇所でも「ファイアスターター」について、
同作家の「クージョ」とともに触れている。
映画のシナリオも手がけるようになったS・キングが、
そこで掴んだテクニックを小説にも反映するようになったというその作風には、
一読の価値があろう。
読書前のオードブルとして少しずつ読んできた「地獄の読書録」も、
とうとう読み終えてしまった。
閻魔大王は、ダメなものはダメ、イイものはいいとはっきり言う。
彼がイイと推しているものには、ちゃんと理由も付されている。
そういう一行に付箋を貼り付けてきたのだが、
ざっと数えてみたら75枚ほどになっていた。
それを一覧表にして、購入・既読リストを作っていくと、
それは、なかなか楽しい読書行程になるだろう。
PS:書中、戸川昌子にも触れた二箇所があって、
閻魔大王はなかなかに褒めていた。
新聞書評で、戸川昌子の作品がセレンディピティにも、
文庫になったという記事を視たので、
これも読んでみたい。