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エッセー妄想

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 来週の「新エッセー岡部塾」に提出する作品「エッセー妄想」ができた。これは少し前にこのBlogで書いたものに手を加えてエッセー作品としたもの。

 今まで翔年は、どちらかと言えば内容第一主義で、言いたいことがキチンと書けていればそれでよしとして、あまり書き手と読み手との関係には配慮してこなかった。ところがあらためて作品として提出するとなると、誤字脱字のチェックは勿論のこと、読者を頭に思い浮かべながら、分かりやすく、共感をよぶように文章を推敲しなければならない。今回のは何回読み返しただろうか? 1600字の字数制限内で、自分なりにあれこれ文章の表現を工夫していると、これまでBlogにかいてきた文章には雑なのが多くあることに思い至った。 Blogは鮮度が命、思い浮かんだ意見をすぐさま反映したいという思いは強いが、エッセー教室で文章術を学んでいくことで、少しは分かりやすく、共感をよぶ文章に近づけたいと思うようになっている。


 27日に提出する作品「エッセー妄想」です。なにやら哲学のように見える高みに引き揚げておいて、ジェットコースターみたいに急転直下、下ネタに急降下する仕掛けです。

      エッセー妄想     
 不思議なことが私におこりはじめた。「新エッセー岡部塾」を受講しはじめてから、エッセーという言葉やエッセーの材料らしきものにやたら反応する。本や新聞からはエッセーという文字が目に飛び込んでくるし、面白い話を聞いていたら、「エッセーのネタになりそうや」とふっと思ったりする。

 最近読んだA・J・ジェイコブスの「驚異の百科事典男」では「エッセー」のいわれを知った。これは一五八〇年にモンテーニュが作った言葉だそうで、フランス語のessayerには「試み」とか「試行錯誤」という意味があるという。
 こうなるとモンテーニュの「随想録(エセー)」をどうしてもひも解きたくなる。


「第八章 無為について
 われわれも見るとおり、どんなに豊穣で肥沃な土地でも、遊ばせておくとそこにいろんな種類の無益な雑草が繁茂する。これを役に立つように働かせるには、秩序ただしく何かの種を播いてやらねばならない。また、女は一人でも形のない肉塊を生むことができるけれども、立派で自然な子供を生むには別の種を植えつけてもらわねばならない。精神についてもこれと同じことが言える。精神は何か自分を束縛するものに没頭させられないと、あっちこっちと、茫漠たる想像の野原にだらしなく迷ってしまう。」


 さすがエッセーの元祖、なにやら深遠な思索を展開している。こんな難しい題材でエッセーの書き方を勉強するのはとても無理。私にはもっと柔らかい材料こそふさわしい。
 おあつらえむきにジェイコブスが先の本のなかで、モンテーニュ崇拝者第一号のマリー・ド・グルネーは「随想録」を読んだ時、興奮のあまり卒倒したと書いている。なんと素晴らしいイメージだろう。きっと文章の力がグルネー嬢の感性に大きな作用を及ぼしたに違いない。


 ところで、女性の「卒倒」と言えば、私には他にも思い出すことがある。一つは中学生の頃のこと、クラスメートに田舎には珍しい上品な風情をたたえたSさんがいた。ある時、どういうわけか「Sさんのお母さんはミミズで卒倒しやはる」という噂が流れた。ガキだった私は「きっと都会育ちなんや、そんな上品な女がどんな格好で倒れはったんやろ?」と強い興味を覚えた。そしてミミズかナメクジで大人の女を驚かしたいというヘンな欲望を抱いたことがあった。
 もう一つは、数年前のこと、好意を持っていた男からある短歌を贈られて、シビレて寝込んでしまった女性がいたという噂。それがきっかけで、その女は不倫の恋に落ちたという興味ある情報だった。くだんの歌は男歌といわれる佐々木幸綱氏の

噴き出づる花の林に炎えて立つ一本の幹、お前を抱く

 だったと記憶するが、あるいは

ゆく水の飛沫渦巻き裂けて鳴る一本の川、お前を抱く

 だったかもしれない。幹であれ、川であれ、歌が女を直撃したことは間違いない。

 ここからは素人の想像にすぎないけれど、文章にしろ、ミミズにしろ、歌にしろ、原因は何にしろ、何かに興奮したり、びっくりしたり、強く感動した時、卒倒したり、失神したり、失禁したり、腰を抜かしたり、その他にもあるかも知れないが、そういう事態に陥る身体反応は、男より女の方が数倍強いように思えるが、どうなのであろうか。        
 文章に興奮したフランス女性とミミズでびっくりのSさんのお母さんと歌にシビレた女のたった三例で結論付けられるものではないけれど、男から見たらこれだけで十分なような気がしないでもない。
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