yuhsanさんのブログ
NISAあれこれ
来年から、11年間続いていた10%の証券税が20%に引き上げられ、代わりにNISA(小額投資非課税制度)が導入されます。
証券税制は、株式投資をする際には、売買手数料などと同じく、基本的な投資環境の構成要素です。今回、10%の課税額を20%にするというのですから、単純に考えれば倍になります。上げる立場からすると、今まで優遇されていた証券税制を、ほかの金融商品並みにするだけで、新たな優遇措置としてNISAを導入するといっています。
私は今回の制度変更は、ほとんどメリットのない飴で、投資家の利益を巻き上げたとしか考えられません。2003年の改正時点にさかのぼって、なぜ証券税制が優遇されていたかを検証してみると、今回の制度改悪が個人投資家にとって大変な損失であることが分かります。
2003年以前の証券税制は、配当金については20%でしたが、売買益については、大口の投資家以外は無税でした。それをすべて20%としようとしたのですから、証券会社を中心として大きな反対が起こりました。結局、個人の株式投資を支援しようという見地から、売買も配当も当面10%に減額され、損金の3年間繰越や、他の金融商品との相殺などが認められ、個人と法人取引の格差が多少なりとも是正されました。
以後この考え方は踏襲され、当面の措置を延長して11年間、証券税制は10%が継続されてきました。10%が他の金融商品に比べて数字の上では優遇されているようですが、投資がリスクを伴う以上、他の商品と同列に扱う必要はなく「優遇」されているものではありません。
昨年、自民党政権が発足し、株価を意識した経済運営が図られるようになり、私としては、当然再延長されると踏んでいましたので驚きです。民主党政権下でも再延長されていた制度が、証券投資のより積極的な安倍政権で、こんなにすんなりと制度改定に繋がったのか理解できません。
何よりも驚きは、政権に一定の影響力を持っている証券業界が、NISAのような子供だましの制度に飛びつき、増税にあまり反対しなかったのが不思議です。証券会社にすれば、新しい投資家を呼び込めば、従来からの投資家の声を無視しても、そちらのほうがメリットありと読んだのでしょうか。
税制面からは、20%に引き上げることによる増収分が、NISAによる減収分の5倍程度に膨らみます。その分個人投資家の負担増、つまり増税になります。国の財政が逼迫した状況下で、証券業界も収支改善に手を貸したのでしょうか。本来投資家の味方であるはずの証券会社が、今回は財務省側に擦り寄ったようです。
NISAのような使い勝手が悪く、射幸心を煽るだけで、メリットが少ない制度と引き換えに、投資が持つ優位性を放棄したのかが理解できません。
とはいっても、決まった以上制度の中で最大限のメリットを生かすより仕方ありません。
NISAは、読んで字のごとく、小額投資非課税制度です。100万円の枠を限度一杯に使い、投資資金には手をつけず封印し、5年間利息を受け取り、大きく値上がりした資金を回収したとき、節税効果が出ます。小額の投資家は優遇されますが、投資で老後の暮らしを支えようとしている多くの投資家にとっては、ないよりまし程度のメリットです。
100万円限度で5年間有効の貯金箱(NISA口座)が、20歳以上の個人に毎年1個づつ配給されると考えると理解が容易です。ただ、この貯金箱の使い方には、いろいろ制約があるので注意が必要です。
貯金箱に納める商品は、国内株式、外国株式、投資信託、積立投資と幅があり、組み合わせも可能です。限度まで納めた株式等には、配当金にも売却の際にも税金は掛かりませんが、売却すればその貯金箱には、新たに株を入れることはできません。貯金箱の大きさは100万円と決められていますので、最低単位の時価がこれを超える銘柄は対象になりません。株価が下がるのを待つより方法がないようです。
貯金箱に収める証券は、購入時の支払金額で確定されますので、その後の値下がりで貯金箱に隙間ができても、追加購入はできません。購入しても貯金箱に隙間がある場合には、後で100万円までなら追加できます。
この貯金箱は、一般の口座とは分離されますから、信用取引やFXの保証金代用にはなりません。貯金箱を解約して損失が出ても、損失の繰越やほかの口座間での損益通算はできません。貯金箱どうし、あるいは他の金融商品との融通や損益の通算も駄目です。
従来の投資家が、手持ち株を貯金箱に移し変えようとするには、株式を一旦売却して、貯金箱の口座で購入しなくてはいけません。そのため、その間の手数料と、手持ち株売却益(ある場合には)の20%の税金を考慮する必要があります。そのほか、貯金箱の保有者は20歳以上の個人でなくてはならないとか、一度決めた貯金箱の証券会社は4年間変えられないとか、などなど……。お役人が、徴税に都合のいいように勝手に決めたルールといった感じです。
私もまだ口座を開設していませんので、細かいことは分かりませんが、NISA口座の開設には、証券会社に総合口座を開設し、取り寄せた資料に必要事項を書き込み、住所氏名を確認する書類を添付し、審査を受けた後に開設されるようです。
とはいっても、従来の投資家にとっても、ないよりましのメリットはあります。100万円分をNISAに入れれば、その分だけ手取り配当金は増えます。20歳以上で株式投資をしていない家族がいたら、長期の値上がりを期待して安値の株を仕込み、5年後に10倍になっていれば、相当の節税効果が期待できます。高配当で長期にわたって安定的に成長する安値の株を買いたいものです。
いい話は少ないのですが、110万円までの贈与に対する非課税枠を利用して、20歳以上で特別にお世話になった人(たとえば親戚、看護師さんなど)などへの、プレゼントとして利用するのはどうでしょうか。使い方の指導書と5年間の封印をつけ、玉手箱として贈ります。5年後に開けたときには、思わぬ大金を手に入れるかもしれません。ロマンがあって、いい贈り物と思いますが……。配当利回りが高く超長期に持って不安が少ない株、医薬品、自動車、商社、通信などを推薦することになりますが。
「ちょと、ちょっと……、あなた! あの看護師さんと特別に……」と突然奥さんからの声。
「別に…、ただ半年間、親身になって面倒を見てくれたじゃないか、そのお礼だよ」
「それだったら、現金か小切手で100万円渡せばいいじゃない。私の目の前で」
「それじゃロマンがないだろ!」
「あの人だって、へんに思うわよ。それに口座開設の手続きが面倒で、あの人にできるかしら……」
「やっぱ、やめとくわ」
これからは、NISAをめぐり、わずかばかりの節税に頭を使う人と、税務署の争いがしばらく続くかもしれません。
私としては、とりあえず口座の開設はしますが、運用するかどうかは相場次第です。来年3月時点で、持株のうち売却益が出ない銘柄があれば、それを売り初年度の貯金箱に入れます。そうでないときは年末までに、5年間に最低でも2倍になる銘柄を発掘して購入し、玉手箱として保管します。来年以降についてはそのとき次第です。
現在、個人株主の市場売買は、2割程度といわれていますので、仮にこの制度によって新たな市場参加者を増やしたとしても、市場へのインパクトはほとんどないと見ています。
売るほうの立場からしても、「売ってしまえばおしまいで、次の年にならないと商売にならない」商品でどれだけ顧客を増やし、売買を増やせるか……疑問です。
そんなことより証券税制変更が、来年以降の相場に与える影響については……。これはまた明日。
かつ
すごく参考になる日記でした。
ついでにyuhsanが
NISAで買われる倍達成銘柄名も
日記に書いて頂けると
も~っと参考になりますが
な~んちゃって笑
明日のNISAが相場に与える影響に対する考察日記
おおいに楽しみにしております(^-^)v
さらり♪さん
コメントありがとうございます。
NISAの活用、正直言って迷っています。
どうも、配当金よりも値上がり益のほうが、節税効果が高いようです。
1年間かけて、なんとか5年間で「絶対に」倍になる銘柄を発掘しましょう。
さらり♪さんも、がんばってください。
こんばんは
>一度決めた貯金箱の証券会社は4年間変えられない
「2013年12月現在、制度の利便性向上を目的として、金融機関を1年単位で変更できるようにする改善策が税制大綱に盛り込まれています。」みたいです。。
NISAは証券会社各社が、国内株式・投資信託・海外ETFなどの手数料0円で口座開設のサービスを競ってますよね。。
本当に、何を買うのか難しい宿題がまた出てしまった感じです(-.-)
こちゅ子ちゃんさん
コメントありがとうございました。
NISAの評判、いまいちのようなので、いろいろ手を打ってくるのでしょうね。
まあ流れは、銘柄の発掘と買い入れに時期のようです。
私はいつも流れに逆らってしまいますので、無駄な努力をする羽目に……。
おはようございます
個人投資家はNISAに組み込もうとしているのは大化け期待銘柄でしょうね。
新興株なんかの。
1年に1回噴火すればいいという考えで。
上がることしか頭にないですし。
仮に5年間で100万円が2倍の200万円になったとして税金20万得する・・・・
・・・・・・あれ?・・・・僕もあがる今年か考えてないジャン!
毎年100万の貯金箱は1年ごと一つ増えて、書く貯金箱は5年間有効というところがミソなかんじがします。
オリンピック銘柄なんかいいかもしれませんね。
税金20%すんなり決定は、yhuさんと同じで僕も「意外」でした。
もりぎんさん
おはようございます
コメントありがとうございました。
今回の税制改正、土壇場でがたがたしましたが、どうせ上げるなら、
せめて100万円までの売買配当はは10%、それ以上は20%、
とするような激変緩和措置をつけておけば、こんなに混乱はしなかったと思いますが。
株のことを知らないお役人が、どこかの国の例を持ちこんだのでしょうが。
ともかく決まった以上は、流れに逆らっても仕方ありません。
私も、もりぎんさんのように、5年後に10倍になる株を狙います。
でもそれまで生きているのかな。
貯金箱に、これは「さゆり」、これは「ひかり」にと、ラベルをつけておくとしましょうか。