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二つのバイオ燃料-由々しき問題

 この2月に沖縄の宮古島に行ったとき、バイオエタノール燃料に2種類あって、宮古島は環境省が推す「E3」を販売中だけど、石油連盟が別のバイオエタノール燃料を推進しているので、宮古島でサトウキビの搾りかすからつくる「E3」の普及が危ぶまれているという報道に接した。その時は宮古島特有の問題かと思っていたが、大きな認識間違いだった。

 今日の読売夕刊に「バイオ燃料ナニワの陣」、「環境省・府『E3』をテコ入れ」、「石油連盟独自方式来月にも」の見出しで、宮古島についで、ここ大阪でも問題が発生している。これはわが国の将来にとって大きな問題を孕んでいる。目先の損得だけでどちらかのバイオ燃料に決める事は許されないと思った。

 まず、新聞記事から二つのバイオ燃料を比較してみたい。

  主団体     製造方式       販売地域(※は予定)  
E3 環境省    バイオエタノールの直接混合  大阪、沖縄 

ETBT 石油連盟 バイオエタノールを石油ガスと化学反させた後混合 東京、神奈川、千葉、埼玉(※宮城、群馬、茨城、静岡、大阪)  


   長所         短所         他国
E3  混合比率を上げやすい 新たな設備投資必要 アメリカ、ブラジル(100%混合)

ETBT 品質が安定している  混合比率を上げにくい フランス、ドイツ


 なんじゃ、これは。政府と石油連盟は全く別の事を始めているではないか。わが国は地球温暖化対策として2010年までに原油換算で年間50万Klをバイオ燃料で賄う目標を立てている。その内、21万キロは業界が請け負うとして、既存のガソリンスタンドを設備がそのまま利用できるとして昨年4月から一般車向けに販売している。

 新聞記事によれば、環境省に協力してE3を試験販売を始めた大阪府の担当者は石油連盟の攻勢を知ったのは先月中旬で「寝耳に水」だったと語っている。そんな馬鹿な話はないはず。翔年は2月に宮古島でこの問題がある事を知っていたのだから。(判断は甘かったが)

 これは利権がからんだ問題に見える。まず、省庁の縄張りあらそいがある。即ち、環境省がE3、経済産業省がETBTを支援しているのだ。裏には業界の利権があるとにらむ。業界がなぜETBTを推進するかを考えれば、よくわからない利権がおぼろげながら見えてくるのではないか。

 一つは、ETBTは既存のガソリンスタンドの設備がそのまま使える。即ち、目先の出費が不要であるから、業界はこれに賛成するんだろう。二つは、勘ぐりたくないことだが、エタノールの混合割合が上ってくるのは石油業界にとってうまみがだんだんなくなると判断して、E3の普及を妨害しているのではないか?

 新聞記事ではE3とETBTのコストが比較されていないので何とも歯がゆい。情報が公開されていないことが問題。このような問題は当面のコストだけでなく、将来にコストがどう変化するか、エネルギー資源に乏しいわが国はどの道を選択すれば一番よいか、こういう問題をこそ、シッカリ議論すべきだ。政治家は日銀総裁や副総裁の人事のような小事にはうるさいほど議論するが、わが国の将来を見通したエネルギー論のような大事はだれもやらない。やれる政治家がいないことこそが大問題である。
 

※バイオエタノール=植物を原料jとするアルコールアルコール燃料のエタノールをガソリンなどに混ぜたもの。製造コストは割高。宮古島はサトウキビの搾りかすを、大阪は廃木材を原料にしたものを使用している。
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