中国、天津にて(4)

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中国、天津にて(4)

 中国への香港返還10周年で、日本でも少し、中国経済について触れる、テレビ報道もありました。
 記念式典と市民のデモの映像が何度か流されていました。

 私も香港が好きで、20年も前から遊びに出かけていましたが、狭い地に何とも言えない雑多で迷路のような楽しさ、何よりも生活者の活気と喧噪に圧倒されて、行くたびに元気を貰って日本へ帰ることが出来ました。

 しかし、その当時からすると、香港は大きく様変わりしてしまいました。返還後の変化は、街角の様子からも伺えます。
 まず、商店の飾り付けや店員の対応も変化しましたし、何よりも中国本土人の観光客の多さに、何しろ驚かされます。
 返還の97年当時に230万人の年間観光客数が、06年には1360万人にも達し、何とその6,7割が本土からの観光客なのだそうです。

 そう言えば、我が天津の友人や知り合い連中の中にも、香港へ観光に出かけた人が結構います。

 企業や役所の重責を担う人や、一般市民の中でも、金銭的に余裕のある立場の人は、その子息も含めて、かなりの確率で香港経験者がいるのです。

 香港は、中国に返還されて、領土に組み込まれましたが、1国2制度の下、本土人が自由に越境することは出来ません。しかし、本土政府は、国を挙げて、香港渡航の規制を緩めて、交易や交流の円滑化を進めており、こうした施策が返還後の香港経済の好調を後押ししています。

 天津で、香港経験者の意見や印象を聞くと、一様に明るい表情で、声のトーンも高く「発展の速度が速い」というような返事が返ってきます。

 本土人は、香港の現状を、将来の自分たちの立場と重ね合わせて考えている節があります。いつか、そう遠くない将来、自分たちの向かう方向は、香港である、と考えている人も多いのです。

 今の中国は、自らのモデルとなる姿を、身近な台湾や香港に見ています。そこでの風景や生活態度、習慣、言葉遣いまでもが模倣の対象で、ここ天津でも街角のあちらこちらに溢れてきています。

 何しろ、今の都市部の中国本土人には、「経済が発展していく」事への、明るい明るい希望がありますね。


 
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