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国会のていたらく -日銀人事

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 政府・与党は日銀総裁人事で、武藤敏郎副総裁(64)の総裁昇格が参院で不同意となったことを受け、17日に人事案を改めて提示する方針を決め、民主党に伝えた。与党は日銀総裁が空席となる事態を回避しようとする姿勢らしい。

 日銀の正副総裁人事は衆参両院の同意が必要であるが、国会の同意はこのような結果になっているから何ともややこしい。

           衆院     参院
武藤敏郎総裁     ○       ×
伊藤隆敏副総裁    ○       ×
白川方明       ○       ○

 正直なところ、翔年は武藤氏が日銀総裁にふさわしい方かそうでないか、判断材料を持ちません。民主党がいう財務省出身者だからダメというのは、全然筋が通らないと思う。出身母体がどうだこうだよりも、その人の今までの経歴と信念にもとずく行動で判断すべきだと信じます。

 それに、そもそも、参院の存在理由は人事のチェックなどにあるのではないと信じているので、おおもとから論理をキチンと整理して物申したい。


1 日銀総裁は1998年の改正日銀法施行で同意人事の対象となった。この時衆院の優越は当初から法律に書き込まれていなかった。即ち欠陥法律なのですね。憲法にうたっている二院制のあり方をいかしていない法律をつくったことがそもそも間違い。国会議員は自分達で不備な法律を作っておきながら、今日の事態にになって「大変だ」とか、「世界の信認を失う」とか、「政局にするのはけしからん」とかいって騒いでいる。

 自民党が民主党に伝えた日銀改正案は「総裁の任期が切れても、後任が決まるまでは職にとどまることが出来る」とするもので、これは言うなれば安全弁の設置であるが、いかにも姑息な法案であると思う。

2 憲法では国会を二院制にして、参議院には内閣の不信任決議が与えられていないし、再可決条項(59条2項)もあるのだから、この問題は衆議院に優越を与えるような形で決着させるべきと思う。憲法からの筋論ではこうなるはず。 


※第五九条【法律案の議決、衆議院の優越】
1 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

 上の憲法の主旨に従って、スッキリした日銀法を作っておれば何の問題もなかったのですから、日銀の人事問題発生は議員達の迂闊さが原因なのです。

3 それにつけても腹立たしいのは、最近の参院には独自性が見られないことです。参院も政党中心の活動をしており、衆議院で決まったことを参院でも同じように議論し、通過させている。
 日本国憲法が制定されたとき、国会で、参議院が衆議院と重複するような機関にたらないようにしなければならないという決議がなされているが、その決議に反し現状は重複した機関になっていると思います。参議院独自性と議員のレベル向上が図られないのなら、国民は二院制自体を見直したほうが余程スッキリした国会になると思う。
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