３人の死刑執行、１年８か月ぶり

[arama-さん]

　１年８か月ぶりに死刑が執行されました。小川法務大臣は、下関通り魔事件の上部死刑囚ら死刑囚３人に対し、刑を執行したと発表しました。

　「本日、死刑囚３名について死刑を執行しました。裁判員裁判でも国民から死刑が支持されている。法律の規定どおり（法務相の）職責を果たす」（小川敏夫 法相）

　小川法務大臣は午前１１時に臨時の記者会見を開き、２９日朝、死刑囚３人に対し刑を執行したと発表しました。

　死刑が執行されたのは、１９９９年にＪＲ下関駅で５人が死亡、１０人が重軽傷を負った通り魔事件で死刑が確定した上部康明死刑囚ら３人です。死刑が執行されたのは、おととし７月に千葉元法務大臣が執行を命じて以来、１年８か月ぶりで、野田政権のもとでは初めてです。

　死刑についてはおととし７月、それまで死刑制度に反対の立場をとってきた千葉元法務大臣が一転して執行を命じるとともに、刑場を公開したうえで法務省内に勉強会を設置するなど、議論の高まりが期待されていました。

　しかし、勉強会はその主旨や位置づけがあいまいなうえ、千葉元大臣のあとに就任した４人の法務大臣は、勉強会で議論されていることなどを理由に執行を命じなかったため、一部で「職務放棄」との批判も出ていました。今年１月に就任した小川法務大臣は、これまでの大臣とは一線を画し、「議論と執行は別」としたうえで、執行について「重大な職責と認識している」と繰り返し述べて、命令に肯定的な考えを示していました。

　厳罰化の流れを受け死刑判決は増加傾向にありますが、そのときの大臣によって執行件数にばらつきがあるため、死刑確定囚は現在１３２人と過去最多の水準を維持しています。今回の執行命令は小川法務大臣個人の強い意志を示したものとはいえますが、これまでの法務大臣の言動との間に整合性はなく、民主党政権の足並みの乱れはここでも顕著だと言わざるを得ません。（29日11:14）