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NYダウ とドル建て日経平均

円高で日本株は本当に出遅れていたのか? 
「ドル建て」の日経平均はダウと一致して上昇していた
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト

 

日経平均株価は11月18日に1万円台を回復した。わずか3週間で約10%もの急上昇である。つい先日まで、日本の株価は、欧米株価に比べてパフォーマンスが大きく出遅れていたはずだが、この短い期間にいったい何が起こったのだろうか。

 今回は、最近の日経平均株価の変化の背景にある、興味深い事実をご紹介すると共に、今後の日本株の行方を占ってみよう。


 この変化に関して、筆者から1つ考える材料を提示してみたい。それは、ドル建て日経平均株価が、NYダウ工業株とほとんどぴったり一致して動いているグラフである(右グラフ参照)。

 このグラフは、ギリシャ危機が悪化し始めた2010年5月3日を基準時点にして、ダウとドルベース・円ベースの日経平均株価の株価変化を、それぞれ3本で描き出したチャートである。

 ダウは8月末をボトムに上昇してきて、日経平均株価との間に大きな乖離が生じたように思えたが、不思議なことに、日経平均株価をドル建てで見たときには、「日本株は全く出遅れてはいなかった」ことになる。

 円ベースの日経平均株価は、夏頃から円高進行によって、ドルベースの日経平均株価に比べて、大きく下回るような値で推移するようになった。それが11月に入って、為替が一転して円安ドル高に修正されたことで、ダウ上昇と相まって、日経平均株価の急上昇になったと見られる。

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