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長期トレンド

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ダウの大幅な下げは、果たしてアメリカの景気が不況に戻ってしまう兆しなのであろうか。今日は長期指標をみてみたいと思う。
 ダウの月足チャートをみてみよう。まず一目均衡表とMACDでトレンドをみてみると、2009年3月にボトムを打ったあと、7月に一目均衡表では転換線を上に抜け、同じ月にMACDもシグナルを上に抜けて反転局面にはいり、2009年12月に基準線を越え2010年10月にMACDがプラス圏に浮上、2010年12月に雲を上に抜け、同じころ基準線が上昇に転じている。しかし2011年8月に転換線を割り込み、今月に入って上昇する基準線10996をきりそうになっており、MACDも5月に頭を打って、今月シグナルをきってきている。基準線はまだ上向きであり、MACDもシグナルはプラス圏を上昇していることから、上昇トレンド自体が完全に崩れたというわけではないが、今の水準を下に切ってくるとトレンドが崩れかねないというぎりぎりの状況にあるといっていいであろう。
 一方オシレータ系の指標をみてみると、月足のボリンジャーはマイナス2σを下にきってきて、バンドが広がりつつある。マイナスσあたりで戻してくるのであれば、(正規分布を仮定すれば)統計的にTPからの68%の確率の範囲にあり、いわば通常のふれの範囲に収まっているといえる。マイナス2σの範囲ならば、95%の確率の範囲にあるので、ふれが大きいものの、まだTPの方向が変わったかどうかは、はっきりしない。実際、2010年の7月はマイナス2シグマにつっかけながら、すぐ大きく戻してバンドは広がらなかった。しかし今回はマイナス2σを本格的にした抜けてバンドが広がっている。このことからみるとい、早々に大きく戻してこない限り、5%の危険率で、通常のふれから逸脱し、TPが下向きに変わったたのではないか、と考えざるをえない状況にある。またRCIをみてみると、RCIは6月に天井から下降し始め勢い強く下降を続けており、このままだとボトムまで突っ込む気配で、そうすると数ヶ月から半年は下降圧力が続くことになる。
 つまりダウの長期的な上昇トレンドは崩れかけているか、もう崩れ始めている水準にあるということになるのではないだろうか。
 一方ファンダメンタルズをみてみよう。カンファレンスボードの消費者信頼感指数をみると、09年にボトムを30%を下回ってボトムをつけたあとに上昇に転じ、11年の2月に70%で天井をつけたあとは一直線に下降して50%を割り込んでいる。自動車販売台数も2月で頭を打って下降、小売と個人消費はまだ上昇しているように見えるが、住宅の新築住宅着工件数は2009年以来、6000千戸前後をいったりきたりしてまったく改善の様子がみえない。
 中でも最も深刻なのは雇用ー非農業部門雇用者の増減だろう。グラフをみると一目瞭然だが、力強い雇用の回復は2010年の前半だけで、あとはがっくりとモメンタムが落ち、いまやゼロに落ち込み。とても本格的な景気回復にともなう雇用者増がおきているとはいえない惨状だ。
 なぜこんなことが起こるのか。金利は明らかに十二分に低いわけだから、企業が資金繰りにこまっているはずはなく、低金利にもかかわらず、企業は新たに投資をし従業員を雇用して生産を拡大する意欲に乏しいということになるだろう。つまりドル安による輸出産業の競争力回復にもかかわらず、グローバルに展開している企業は国内の雇用の拡大にはきわめて慎重で、住宅市場のこげつきとあいまって、バーナンキ自慢の超低金利政策も、結局はジョブレスリカバリーをもたらしたにとどまり、その効果が一巡してしまった今は、動きが取れなくなっているというところなのだろうか。
 そのメカニズムはともあれ、どうやらアメリカ景気の腰折れの危険は現実のものになりつつあるようだ。財政政策や金利政策で景気の循環をかなりの程度コントロールできると思われてきたが、どちらも限界にきているようにもみえ、グローバル化した経済の中では、そうした手法そのものの効果が限られてきているのかもしれない。G7になんら具体策がでないのは、それを象徴しているのではないか。そうだとすると、アメリカ経済の日本化、いや先進国経済全体の日本化、長期低迷というのも、あながち冗談ではなくなるかもしれない。ともあれ、最悪のシナリオを念頭におきながら、アメリカの経済指標に一喜一憂する日々が続きそうだ。(グラフは以下のサイトより)
http://www1.odn.ne.jp/keizai/America.htm

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