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米債務合意に残る格下げリスク、S&Pが懸念表明も

[東京 1日 ロイター] 米財政赤字削減をめぐり、7月31日夜(日本時間1日午前)にまとまった民主、共和両党指導部による合意案には、なお多くの障害が待ち受けている。

 米下院共和党の中でティーパーティー(茶会党)に属する議員がそろって反対すれば、下院で否決される可能性も残る。さらに合意案では、当初の財政赤字削減規模が1兆ドルにとどまっており、十分な財政赤字の削減を求めている格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が安定的な米国債の利払いに懸念を示せば、米国債格下げを決める可能性がある。米債務上限問題の行方は、事前の予想通りに格付け機関の判断が帰すうを決めることになりそうだ。


 <合意は2段階、両党に造反勢力>


 オバマ米大統領が31日に発表した合意案の特徴は、財政赤字の削減が2段階になっていることだ。当初は10年間で1兆ドルの赤字を削減し、さらに1.5兆ドルの削減を検討する特別委員会を設立。数カ月以内に結論を出すとしている。また、1兆ドルの削減には増税は含まれておらず、共和党内で根強い増勢反対の声に配慮している。ただ、70人程度いる共和党の茶会党メンバーが反対に回れば、これに同調する共和党議員が出る展開も予想される。


 今回の合意案では、2段階目の赤字削減の対象として、社会保障給付や増税なども含まれているため、米下院民主党内には、福祉政策を軽視しているとの不安もくすぶっている。このまま2012年の米大統領選と上下両院選に突入すれば、民主党議員に不利との思惑が広がり、共和党内の茶会党の造反だけでなく、民主党内からも反対票が出る可能性がある。その意味で、合意案が下院で可決されると断定できない要素が残っている。


 一方、増税実施を排除した結果、財政赤字削減の幅は、当初目指していた4兆ドルから大幅に後退し、2段階目の合意が形成されても合計2.5兆ドルにとどまる。ここがこの合意案の弱点だろう。もし、S&Pがこの点を重視し、米国債の利払いが安定的に行われないと判断すれば、どこかの段階で格下げの決定を下す可能性がある。 


 <他国の格下げと同一視できない米国債の立場>

米国債のデフォルト(債務不履行)が回避できても、米国債格付けが最上位のトリプルAから滑り落ちれば、米市場を起点にした世界規模の市場混乱リスクが生じるだろう。一部の市場関係者は、日本やその他の国の国債格下げ時に大きな混乱がなかったことを材料に、今回も大きな混乱が起きないという見方をしているようだ。これは日本経済への打撃が小さいシナリオで、多くの市場関係者の期待を反映していると思える。  

 だが、米国債は市場の中で最も安全と思われてきたアンカーであり、いわば地形の高さを測量する場合に用いられる水準点の起点となる「水準原点」にも匹敵する。その水準原点が移動すれば、他の高さの測量にも影響してしまう。米国債の格下げは、単に米国債の信認低下を示すだけでなく、世界の金融市場における信認の序列の基礎がくるってしまうという事態を招く。その結果、生じる世界規模の市場の混乱は、初めて経験するだけに事前の予想が難しいと考える。


 今後、予想される米債務上限をめぐる動きの中で節目になるのは、1日に予定されている合意案の米下院での採決と、S&Pの米国債に対する対応だ。1日の東京市場で日経平均は1万円を回復し、ドル/円も上昇に転じたが、その後の動きが鈍ったのは、現時点での不透明さを意識したためだろう。ドルの買い戻しや株価の反発が継続するのかどうかは、S&Pなど格付け機関の対応を見てからでないと判断できない。

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