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借り物 ペルー経済危機?
ペルーに左派政権誕生で中南米各国市場に警戒感
【リマ】ペルーの大統領選決選投票で左派系ナショナリストのオジャンタ・ウマラ候補(48)の勝利が確実になった。これを受け、中南米各国の株式市場と財界では、ここ数年同地域でも輝かしい経済成長を達成したペルーで、様々な社会主義的改革が断行されるのではとの警戒心が一気に高まっている。
投票日の5日、ウマラ氏はこれまで同様の民族主義的で貧困撲滅をテーマにした演説で聴衆をわかせたが、勝利が確定した6日、この問題についてそれ以上の声明を出すことはしなかった。
しかしウマラ氏の経済政策アドバイザーの一人であるカート・ブルネオ氏はこの日、12年連続の経済成長をもたらした前政権の経済政策の枠組みを維持することを強調、市場の不安打ち消しに躍起になった。
「(ウマラ政権下で)放漫財政が起こることなんてまったく有り得ない」、ブルネオ氏はラジオ番組でこう述べた。
同氏はさらに、ウマラ氏が成長と投資を重視する現行政策を忠実に継承し、その結果生み出される税収を使い、同氏の提唱する各種社会保障支出の増額を賄うことになる、と話した。「経済が1%成長すれば税収は1.2%伸びる。成長持続がカギだ」とブルネオ氏は付け加えた。
トレド前大統領の中道政権で経済副大臣を務めたブルネオ氏は投資家の間で高い評価を得ている。ただ同氏はトレド前大統領が最初の大統領選の投票で破れた後、決選投票段階でウマラ陣営に加わっているだけに、新政権でブルネオ氏の意見がどこまで聞き入れられるか疑問の声も上がる。
アナリストによると、ウマラ氏を選挙戦当初から支えた左派的な政策アドバイザーたちと決選投票段階で加わったアドバイザーの間には、たびたび不協和音が生じているという。
実際、当初からの「チーム・ウマラ」の一員である左派系エコノミスト、フェリクス・ジメネス氏は5日のテレビ番組でも、なお最初の投票の選挙期間中に投資家を震え上がらせた197ページに及ぶ規制色の強い政策提言を擁護する発言を行った。決選投票段階ではこの提言が、5ページの市場主義に近い提言へ変更されたにもかかわらずである。
ウマラ氏の勝利は結局、中南米で長く経済政策運営上の対立点となっていた「市場主義」か「国家(介入)による大衆迎合主義」の論争を再燃させるものになりそうだ。
ここ数年は市場主義に近いペルー、ブラジル、チリなどの国々の経済の方が、大衆路線のベネズエラやエクアドルなどの国々より好調ではある。ただウマラ氏が当選できたのは農村部での貧困の継続など市場主義の問題点が明らかになり、既存の政治に対する不信感が芽生え、中道派で統一した候補を出すことができなかった結果だ。
今後ペルーでどちらの路線がいいか、模索が続くことになりそうだ。
記者: Matt Moffett