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トリウム原発とレア・アース

トリウムを使った安全性の高い原発の記事を見た。あまり話題にならないが、冷戦や国際政治力学が絡んだ背景があるようだ。要点だけを抜いてみた。

 

このトリウム溶融塩炉方式の原子炉は原子炉自体で安全が守られる構造になっている。もし過熱し始めると、小さな栓が溶けて溶融塩は鍋の中に排出される。コンピュ-タ-も電動ポンプも不要である。

 

有害廃棄物はウランより1000分の1以下になる。同じ量の燃料からウランの約90倍のエネルギーが取り出せるので効率がよくコストが安い。

 

1965年から1969年まで無事故で成功裏に実証試験を終えている。しかし、米ソ冷戦時代、核兵器をつくるのに必要なプルトニウムが出ない原子燃料では困る。

 

「燃料棒の取替えで儲ける仕組みになっているのに、液体燃料の溶融塩炉では企業としてうまみがない」と米GEの社長が証言した。

 

トリウムの燃焼は溶融塩炉だけでしかできないわけではない。既存のウラン型原子炉にもトリウムは装荷が可能。

 

米国がトリウム原子力を視野に入れている状況証拠はいくつも出てきている。ただし、今のところオバマ大統領は一言もトリウムに言及していない。政治的な配慮であろう。

 

米国にはウランはない。しかし、世界一のトリウム資源保有国である。

 

今年1月25日、中国はトリウム溶融塩原子炉の研究開発を行うと公式に発表した。中国では内モンゴル自治区の世界最大のレア・アース鉱山に、厄介な廃棄物としてすでに推定4000トンのトリウムが堆積している。

 

インドの西海岸に多量に賦存するモナズ石という鉱物の中にトリウムが 6~9%入っている。そのモナズ石の中には50%前後レア・アースが入っている。トリウムの副産物としてレア・アースが取れる。
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