【NISHIMURAの眼】 2009年5月8日号

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【NISHIMURAの眼】 2009年5月8日号

今週の株式市場はゴールデンウイークの大型連休明けの2日間のみだった。昔からまとまった休みの後には連休ボケが出て相場が閑散とするものだが、今回はどうやら違ったようである。本稿を書き始めた7日(木)の午前は米国株式市場の上昇を好感して大幅に上昇、日経平均の前場終値は前日比401円高の9,378円となった。1万円の大台復帰が見えてきた感じがする。

先週の本欄でも指摘したように、株式市場は好材料に素直に反応する地合になっている。このままの地合が続けば、かなりのネガティブ材料になると思われた上場企業の09/3期決算発表(および10/3期の業績見通し)シーズンも無事に乗り切れるかもしれない。但し、7日昼過ぎに行われた松井証券の決算説明会の席で同社の松井道夫社長が、「新年度に入って楽観論も出ているようだが、とてもそんな気持にはなれない」と逆に警戒感を強めていたのが印象的だった。
読者の皆様は大型連休中はどのようにお過ごしになられただろうか。近場の温泉に行かれた方や新型インフルエンザを心配しつつ海外旅行された方もおありだったと思う。私は、(毎年いつものことなのだが)この連休期間中は大半が自宅でコンピュータに向かう毎日だった。本決算が発表された企業のレポートを執筆していたことに加え、株価モデル関連の仕事でExcelと格闘していたのである。自宅で書いたレポートはベネッセコーポレーション(9783)で、09/3期決算説明会の情報を踏まえたものである。TIWでは7日にリリースした。

レポートでは同社株の上値が期待できるとの見方を継続した。その理由として、(1)10/3期の会社計画(前期比5%営業増益)が保守的で上振れ余地がある、(2)国内教育事業で11年度から導入される新学習指導要領が自宅学習の増加に繋がる可能性が高く同社へのフォローの風になりうる、(3)海外事業(中国・韓国)が順調に拡大中で数年先からの収益貢献が期待できる、(4)中期的には関連事業のM&Aが視野に入っている、の4点を挙げた。

本稿ではレポートに書ききれなかった新学習指導要領について触れたいと思う。文部科学省では、2011年度から小学校、2012年度から中学校において新学習指導要領を実施する方針だ。これに関しては、同省HPで保護者や教師向けのパンフレットがダウンロードできる。それを見たところ新学習指導要領のテーマは「生きる力」となっており、それをはぐくむため言語や理数、伝統文化などの教育が充実される。例えば小学校では国語・社会・算数・理科・体育の授業時間数が6年間で約1割増加し、週当たりの授業時間数は1~2年生で週2時間、3~6年生で週1時間増加する。また外国語活動も5~6年生で週1時間新設される。

これまで日本人学生の理数系(数学、化学、物理、生物など)離れが将来の国力の低下に直結すると議論されてきただけに、理数系の授業時間数が増えるのはプラスに作用すると期待される。かくいう私の大学受験の時は、共通1次試験で5教科7科目が課された。その当時は何でこんな多くの科目を勉強しなくてはいけないのかと嘆いたものだった。しかし、社会人となった後の実務の上では意外にも数学や化学の知識が結構役立っている。やはり、こうした基本的な知識習得は重要なことだと思われる。

その新学習指導要領はこの4月から小学校と中学校で一部先行実施されており、小学校では算数・理科・体育が、中学校では数学・理科の授業時間数が増加した。授業時間数が増えると、それに対応するため家庭における自宅学習の増加が見込まれる。これは明らかに「進研ゼミ」へのフォローの風と言えよう。塾や家庭教師についても同じことが言えそうだが、「進研ゼミ」の場合は塾や家庭教師に比べ価格面で割安感があるので、このご時世では競争優位にあるのは間違いない。

実際、先に開催されたベネッセの09/3期決算説明会で福島保社長は、「ゆとり教育の見直しで家庭学習が重要視される風潮が出てきた。この4月の進研ゼミ小学講座の会員数が伸びた(166→171万人)のはそうした環境変化が後押ししたと思われる」とコメントしている。新学習指導要領が全面実施される数年後にはさらに家庭学習(=進研ゼミ)熱が高まる可能性が高い。

同社の09/3期決算説明会資料に掲載されていた2018年度(19/3期)の売上イメージは8,000億円で、これは09/3期の売上高4,127億円を起点にCAGR(年平均成長率=Compound Annual Grouth Rate)7%に相当する。過去20年間の平均CAGRが7%だっただけに、あながち荒唐無稽の数値ではなかろう。成熟感のある国内教育市場で競争力を高めていることに加え、海外でも順調に拡大している同社の総合力を評価する。

今週のTIWレポートからは、日信工業、SBIホールディングスの銘柄を取り上げる。

日信工業(7230)同社はホンダ系列のブレーキ製造メーカーで、2輪車ブレーキでは世界最大手。ホンダグループ向けの売上比率は7割以上を占める。ホンダの大幅減産を受け、同社業績も厳しい。09/3期は前期比41%営業減益となった。続く10/3期はさらに大幅な減益(会社予想は前期比92%減の10億円)を余儀なくされる見込みである。しかし高田シニアアナリストは、「逆風下での黒字確保は評価できる。2輪車向け製品の比重が高く、またアジア・南米の伸びが下支えしている。アルミ軽量化技術をベースとした中期成長ポテンシャルも大きく、PBR1倍割れの株価水準は評価不足と考える」とポジティブに見ている。

SBIホールディングス(8473)同社CEOはあの北尾吉孝氏。同氏は最近、立て続けに「何のために働くのか」や「君子を目指せ 小人になるな」などのビジネス本を出された。私など年配者にはいまさら読んでも遅いのかもしれないが、一度読んで勉強させていただきたいと思っている。リーマンショック以降の金融マーケットの混乱で、同社の09/3期業績は経常利益がわずか3,700万円、純損失が183億円まで落ち込んだ。しかし、堀部シニアアナリストの結論は、「同社の企業価値は1株当たり約17,500円と試算される。足元の株価はそれを26%下回っており、株価は評価不足」とポジティブ。業績面では、10/3期の急回復は難しいものの、最悪期は脱した模様であるという。

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コンテンツ提供元 : 株式会社TIW http://www.tiw.jp/
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