日銀も早ければ年内にテーパリングに着手する可能性が噂されています。
ただ日銀の場合は、およそ53兆円もの日本株ETFを保有しているため
出口戦略を実行するに当たっては、株価への影響が気掛かりです。
ところで日銀のETF年間買い入れ枠(直前まで6兆円)は
2020年3月、新型コロナウィルスのパンデミックを機に12兆円に拡大され
同年3月=1.55兆円、4月=1.23兆円と巨額の買い入れを行っています。
(2020年度の年間買い入れ総額=7兆1366億円)
しかしその後、世界的に株価が上昇したこともあり
2021年度の年間買い入れ総額は僅か8734億円に止まりました。
市場ではこの現象(買い入れ縮小)をステルステーパリングと呼んでいますが
実際のテーパリングでこの様な姑息な手法は通用しません。
そこで53兆円分のETFを、株価を下げずに売却する方法が検討されています。
その一つは大学ファンドの運用額を10兆円(現在4.5億円)に増額し
6割~7割を日本株で運用するというもので
当面は日銀が保有するETFを6~7兆円分買い取るという案です。
二つ目は、残る46兆円分のETFを、個人に一定期間売却しないことを条件に
インセンティブを付与して市場外で譲渡する方法です。
因みに、日本の個人が保有する金融資産はおよそ1900兆円で
そのうち株式と投信が占める割合は1割強だと言われています。
つまり個人が保有している有価証券は、総額で約200兆円程度と推察され
日銀が保有する46兆円分のETFを買い取るには、相応の資金調達が必要です。
ところで現在の日経平均株価は、日銀のETF爆買い?によって
4000円程度嵩上げされていると言われていますが
それを、株価を下げずに全て売却することなど本当に可能でしょうか?
答えはNO!です。
その理由ですが、一つは市場心理(投資家心理)です。
株価は需給で成り立っているので、投資家の警戒心が強いと買い手不在となり
株価は急落する恐れがあります。
もう一つの理由は、日銀が保有するETFを買い取るために
資金調達が必要になり現有株式を売却することも充分考えられ
日経平均は勿論、個人が集中する新興市場への影響も避けられないと思います。
以上、あくまでも個人的な予見なので想像の域を脱していませんが
FRBの早期利上げに刺激された日銀が、テーパリングを早める可能性もあるので
そろそろ事前対策を考えて置く時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
<私が考えるテーパリング対策>
①日銀がETFの購入枠撤廃を決めた時点で株価は急落する恐れが高いため
日銀金融政策決定会合後の黒田総裁記者会見は一言一句聞き漏らさない
②テーパリング開始が近いと感じたら、ポジションを落とすかヘッジを強める
特に新興市場は乱高下相場に巻き込まれ易いこと
さらに現状が金融相場から業績相場への移行期であることを踏まえれば
グロース株のウェイトを減らし、バリュー株へシフトして置く方が賢明
③日銀がETFを個人に譲渡することが決まれば
持ち株を売却して譲渡に応募する選択肢もある。
しかし元々日銀が買うという安心感で買われていたのも事実だと思うので
全て個人に譲渡されることになれば
購入後、暫く価格が下がり続けることも予想される。
つまりインセンティブ付の有利な条件で購入するより
もう一段の下げを待って、売却制限無しの市場で買う方が得な場合も有り得る。
ただ長期保有が前提なら大差はないと思いますが。。。
もし日銀がETFの売り出しを決めた時点で株価が暴落すれば
そこは千載一遇の買い場だと考えています。
無論買い値よりさらに下がる恐れも充分ありそうですが
多少のフライングは誤差の範囲でしょう。
個人的には10%以上の下落を希望していますが、さてどうなりますか?
何れにしても、早く膿を出し切って健全な市場になって欲しいものです。